車のエンジンの種類は乗っている犬に影響を及ぼすだろうか?
ガソリン価格の高騰や環境への影響から世界的に電気自動車の需要が伸びています。オンライン中古車マーケットプレイスを運営しているカー・グールーズが、イギリスのリンカーン大学の獣医行動学のチームと共同で犬と電気自動車についてのユニークな調査を行い、その結果が発表されました。
犬の中には自動車でのドライブが大好きな子もいますが、車の中で過度に興奮したり怖がる犬もいます。
電気自動車はエンジン音やギアチェンジがないため、人間にとっても静かでスムーズに感じられます。電気自動車のこのような特性が犬にどのような影響を及ぼすのか(または何の影響もないのか)という調査は今まで行われていませんでした。
電気車とディーゼル車で犬とドライブ実験
調査のための実験には4台の自動車が使用されました。ジェネシスGV70の電気自動車とディーゼル車、フォルクスワーゲンID.3(電気)とフォルクスワーゲンT-Roc(ディーゼル)です。
犬たちは犬種もサイズも様々な20頭が参加しました。犬は心拍数モニターを装着して車に乗ります。エンジンはかけるが走行しないで基準のベースラインとなる2分間の心拍数を測定します。
次に犬は10分間の短いドライブに出かけ、戻った時にエンジンをかけたまま再度2分間の心拍数を測定します。自動車には観察者が同乗し犬のストレス行動を記録、さらに走行中の様子はビデオ撮影されて後から観察分析が行われました。
犬は10頭ずつ「最初に電気自動車、後からディーゼル」の組と、「最初にディーゼル、後から電気自動車」の組に分けられました。
電気またはディーゼル車で10分のドライブ実験を終えた後に1時間の休憩をはさんで、最初に乗ったのと違うタイプの車で同じ手順の実験を行いました。
仮説として、電気自動車ではエンジン音が聞こえないので犬がよりリラックスできるとも考えられますが、電気自動車に搭載されている大きなバッテリーが出す低周波の磁場が犬の不安や興奮を増大させるという可能性もあります。
実験の結果はどのようなものだったのでしょうか。
電気自動車では犬がリラックスしていた
ドライブ中の犬の行動やボディランゲージを観察分析した結果、犬たちは電気自動車に乗っている時の方がリラックスした様子を示していました。
エンジンの種類に関係なく、犬たちは車内では伏せの姿勢を取っていることが多かったのですが、ディーゼル車では電気自動車に比べて1.5倍以上の頻度で伏せの姿勢から立ち上がったり向きを変えたりといった行動が見られました。
ディーゼル車に乗っている時はよりソワソワし、リラックスしていないことが伺えたということです。
ドライブ後の心拍数測定では、有意と言えるほどの差ではありませんでしたが、電気自動車の方が心拍数が少なくなっていました。
実験に参加した犬のうち2頭はドライブ中の行動に、唇を舐める、パンティング、よだれの分泌など車酔いと見られる症状を示したのですが、この2頭が電気自動車に乗った時にはこれらの症状が著しく少なく心拍数も減少していました。
また電気自動車が有害な影響を与えることを示す証拠はありませんでした。バッテリーの磁場が犬に影響を及ぼしている可能性は低いと言えるそうです。
研究チームはこの結果について、犬が電気自動車をより好むという証拠であることと、このテーマについてさらに調査研究する価値があると述べています。
まとめ
イギリスで行われた小規模な調査から、犬はディーゼル車よりも電気自動車に乗っている時によりリラックスしていたという報告をご紹介しました。
この研究は企業からの依頼に研究チームが協力したもので、正式な学術研究ではありません。しかし調査結果を受けて「さらに研究する価値がある」と研究者が述べていることから、さらに深く追求した調査が行われることが期待されます。
車を購入する際に愛犬が快適かどうかも重要だと考える飼い主さんは多いですが、今後はそこにエンジンのタイプも考慮されるようになるかもしれないですね。
《参考URL》
https://www.cargurus.co.uk/Cars/articles/dogs-and-electric-cars-study