犬は飼い主の顔を認知しているのか?
犬は、どうやって他の人と飼い主を見分けているのでしょうか?
犬の目はあまり良くなく、だいたい視力は0.2~0.3程度だといわれています。少し離れた場所から飼い主を見つけ、嬉しそうな様子を見せる愛犬に「顔の判別はついているの?」と疑問に思う人もいるでしょう。
結論からお伝えすると、犬は飼い主の顔を認知しています!
以前は、犬の視力では飼い主の顔はぼやけて見えており、顔の見分けはついていないのではないかといわれていました。犬は飼い主を匂いや動きだけで見分けていると思われていたのです。
しかし、犬に関する研究が進み、さまざまな実験が行われたことで、現在では『犬は飼い主の顔を認知できている』ということが判明しています。
では、その判断をするために研究機関ではどのような実験が行われたのか、ご紹介しましょう。
イタリアのパドヴァ大学の実験
まずご紹介するのは、2010年にイタリアのパドヴァ大学で行われた実験です。
この実験では、犬がいる部屋に飼い主と犬の知らない人を交互に登場させた後、ドアから出て行ってもらい犬の反応を見ます。
飼い主が入ってきた場合の犬は飼い主の顔を長く見つめ、飼い主が出て行ったドアに近寄るなどの行動を見せました。
一方、知らない人が入ってきた場合は犬はあまり顔を見つめようとせず、ドアにも近寄らない結果となりました。
さらにこの実験では、飼い主がマスクを着けた状態でも同じことをおこなったところ、マスクが無い時よりも顔を見つめる時間が減り、ドアに近づくことも少なくなったそうです。マスクをしている人物が飼い主であるか、犬は100%の自信が持てなかったのでしょう。
これは、たとえ匂いがしていても顔が見えない場合、犬は飼い主を判別しづらくなることを示しています。「犬は飼い主を顔でも判別している」という結果になったのです。
フィンランドのヘルシンキ大学の実験
もう一つ、犬と飼い主の顔に関する実験をご紹介しましょう。
フィンランドにあるヘルシンキ大学では、犬が飼い主の顔を画像でも認識できるかの実験が行われました。
実験は、『スクリーンに犬の飼い主の顔と犬がまったく知らない人の顔を交互に映し出し、犬の反応を見る』という内容です。実験の結果、犬は知らない人の顔が映し出された時よりも、飼い主の顔が映し出された時のほうがスクリーンを長い時間見つめることがわかりました。
また、同じように「同居している犬の顔」と「知らない犬の顔」を交互に映したところ、どちらも人間の顔を映した時よりも長くスクリーンを見つめることが判明。人間よりも、同じ種族である犬に強く反応する結果になりました。
この結果から、犬は目で相手の姿や顔を、それがたとえ画像であっても認識していることがわかったのです。犬は顔つきだけでも飼い主かどうか判断できるんですね。
犬は聴力や嗅覚でも飼い主を見分けている
犬は顔を見て飼い主かどうか判断していることをご紹介しましたが、前述のとおり犬の目はあまり良くありません。代わりに、犬は人間よりもはるかに優れた嗅覚と聴力を持っています。
そのため、犬は視力だけでなく匂いや足音、動く様子で総合的に飼い主かどうかを判断していると考えられます。
その証拠に、犬に飼い主の姿を映したスクリーンを見せながら、知らない人の声を聞かせると不思議そうな表情を浮かべることが実験で判明しています。「飼い主さんの顔なのに声が違うぞ??」と戸惑ってしまったんでしょうね。
犬は五感を使って、大好きな飼い主を見分けているのです。
まとめ
『犬は「飼い主の顔」を認知しているのか?どうやって他人と見分けているのか?』を解説しました。
犬はしっかり飼い主の顔を認知しており、匂いや足音、仕草などで総合的に他人と見分けています。愛犬が、ちゃんと私たち飼い主の顔を認知してくれているのは嬉しいですよね。
マスクをしていると見分けづらくなってしまうようなので、愛犬が不安そうな様子であればマスクを外して安心させてあげましょう♪