そもそもカルシウムとは
カルシウムはミネラルの一種で、タンパク質、脂質、炭水化物、ビタミンと合わせて「五大栄養素」と呼ばれます。体内にあるカルシウムの99%が骨と歯の中に存在し、残りの1%は細胞と血液中に含まれています。
カルシウムが健康な骨や歯を生成・維持しているのはよく知られている事実ですが、実はわずかに含まれる細胞内でも情報伝達に大きな役割を果たしています。
必要不可欠!カルシウムが不足するとどうなる?
カルシウムが絶対に必要である理由を、不足したときに起きる症状や異常から見ていきましょう。
1.骨がもろくなる
骨は体を構成して支えるために欠かすことのできないものですが、血液中にカルシウムを供給するための貯蔵庫としての役割も果たしています。
「骨」と言うと一生変化のないもののように思うかもしれないですが、古い骨を壊して血液中にカルシウムを送る一方で、体外から摂取したカルシウムで新たな骨を作り出し、常に新しいものに置き換わりつづけているのです。
そのため体外からのカルシウムの摂取が不足していると、骨内のカルシウムが一方的に血液中に放出されていってしまい、新しい骨を形成することができずにもろく弱くなってしまうのです。
2.痙攣やてんかんが起きる
カルシウムは細胞内でさまざまな役割を担っていますが、神経伝達、筋肉の収縮・弛緩に欠かせないミネラルです。
そのためカルシウムが不足すると脳への神経伝達が上手くいかなくなったり、筋肉の収縮・弛緩が正常に行われなくなったりすることで、筋肉の痙攣やてんかん発作が起きるリスクが高まります。
3.イライラしやすくなる
イライラしている人がいると「カルシウムを摂った方がいいんじゃない?」とふざけて言ったりしますよね。実はカルシウムといらいらには科学的な因果関係は認められていません。
ですが先にご紹介した通り、カルシウムが神経伝達に大きな役割を果たしていることは事実ですから、カルシウム不足で脳が興奮してイライラしてしまうことはあるのかもしれません。
カルシウムの与え方
1.パピー期
パピー期には人間のおよそ20倍のスピードで成長しますからカルシウムの必要量も多くなり、体重の1.0〜2.5%のカルシウムが必要だとされています。
これはパピー期だけでなく全年齢を通して言えることですが、カルシウムはリンとのバランスが非常に大切です。
リンはタンパク質の一種であるため肉を食べることで摂取されますが、「成長には肉だ!たくさん肉を食べて大きくなれ!」と肉ばかり与えているとリンが過剰になりカルシウム不足を招きます。また、カルシウムやリンが不足してしまうと、骨に湾曲が起こるクル病を引き起こすことがあります。
ただその一方で、カルシウムの過剰摂取もまた害となるので注意が必要です。特に大型犬の場合にはカルシウムを与えすぎると成長速度が異常に速まってしまい、その結果、骨軟骨症や股関節形成異常などの整形外科疾患を引き起こすリスクが高まります。
成長期には特に必要な栄養素が偏らないように、バランスよく与えることが重要です。
2.成犬期
成犬期のわんこのカルシウム必要量は0.8〜2.5%とパピー期よりはやや少なくなるものの、全体的にはさほど変わりません。パピー期から引き続き、意識的に摂取させるようにしましょう。
3.妊娠・授乳期
赤ちゃんが生まれると、どうしても赤ちゃんの方に意識がいってしまいがちですが、この時期の母犬にはカルシウム摂取がとても大切です。母乳は、母犬血液が原材料になります。
母乳に含まれるカルシウムを赤ちゃんは摂取しているので、母犬自身のカルシウムが不足しがちになるからです。授乳期用のフードだけでなくサプリメント等も必要に応じて活用すると良いでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?幸いなことにチーズやヨーグルトといったカルシウムを多く含む食品は、わんこが好んで食べてくれるものが多いのです。過剰摂取には注意が必要ですが、毎日適量を与えることでわんこの健康を保っていきたいですね。