長ねぎ
冬に旬を迎える長ねぎは、鍋や煮物の食材などに頻繁に使われるため、常備している家庭も少なくないでしょう。
しかし、長ねぎを含むねぎ類は「犬が食べてはいけない食材」の代表格で、多くの飼い主さんが知っているものだと思います。長ねぎには有機チオ硫酸化合物という成分が含まれていて、これを含む食材を食べることで犬は中毒を起こしてしまうということがわかっています。
具体的には、血液中の赤血球が破壊されて溶血性貧血を引き起こし、貧血や嘔吐、下痢、血尿などの症状を引き起こします。さらに、頻脈や呼吸困難に陥ることもあり、最悪の場合死に至ることもあります。
長ねぎは食べてすぐに症状が出るとは限らず、2~3日後に発症する可能性もあるので、万が一食べてしまった可能性が考えられるときは数日にわたって様子をしっかりと確認してください。また、症状は出ていなくても獣医師に相談しておくことも有効です。
ちなみに、この成分は加熱しても破壊や分解が行われません。さらに、水分に溶け出すこともあるので、長ねぎを入れて煮たスープや煮汁を飲むだけでも中毒を起こすことがあります。
2.生のカニやエビ
本州では冬に旬を迎える品種が多いカニやエビも、犬に与える際には注意が必要な食材です。これらの食材は日常的には食べなくても、お正月にみんなで集まったときなどには場を彩る食べ物として食卓に出されることも多いでしょう。
生のカニやエビ、イカ、あさり、サーモンなどの食材には、チアミン分解酵素(アノイリナーゼ)と呼ばれる成分が含まれています。この成分は、ビタミンB1を破壊する働きがあるため、食べすぎると「ビタミンB1欠乏症」に陥ります。
初期の段階でだるさや疲労感を感じる程度ですが、重度になると食欲不振や歩行障害、けいれん症状などが出ることもあるので気をつけましょう。
チアミン分解酵素(アノイリナーゼ)は加熱することで不活性化するので、火を通したカニやエビであれば食べても問題ありません。しかし、消化しにくい食材のため、食べすぎると下痢や嘔吐を起こす犬がいるので与えすぎには注意が必要です。
3.餅
お雑煮やお汁粉など、冬は餅を食べる機会は増えると思います。とてもおいしい食べものではありますが、毎年餅を喉に詰まらせて高齢者や子どもが亡くなる事故が起きています。
これは、犬にも十分起こりうることなので、絶対に与えないようにしましょう。
よく伸びる餅は、喉に詰まりやすいうえ消化もしにくいため、犬の体に負担をかけやすい食材だと考えられます。特に、基本的に食べ物をよく噛んで飲み込むという動作をしない犬にとって、餅は大変危険な食材です。
4.冬のイベントを彩る食べ物
さらに上記以外にも、冬ならではのイベントで登場しがちな食べ物の中にも犬にとってNGなものを紹介します。
クリスマスチキン
クリスマスには、骨付きチキンを食べる家庭も多いと思います。
加熱した鶏の骨は縦に割れてしまい、犬の喉や胃腸に刺さる危険性があります。骨を丸のみにしてしまった場合は、消化管閉塞を起こす可能性があります。
クリスマスチキンを犬にそのまま与える飼い主さんはいないと思いますが、食べ終わったあとの骨は犬にとって非常に危険なので、絶対に食べられることがないように気をつけてください。
チョコレート
チョコレートは、バレンタインにやり取りされるほか、家庭でも多く食べられるのではないかと思います。チョコレートをテーブルの上に置きっぱなしにしたり、作ったチョコレートスイーツをキッチンに置いておいたりしたすきに、犬が食べてしまうというトラブルが起こりやすいです。
チョコレートの原料であるカカオに含まれるテオブロミンを犬が摂取すると、中毒を起こして下痢や嘔吐、麻痺、不整脈・頻脈、神経の興奮など様々な症状を招きます。最悪の場合死に至る可能性があるので、絶対に犬が食べないようにしましょう。
犬が冬のNG食材を食べてしまったときの対処法
与えてはいけない食べ物を犬が食べてしまった場合は、迅速に獣医師の診察を受けることが大切です。その上で、「何をどれくらい食べたか」ということを把握し、診察時に伝えるようにしてください。加工品の場合は、原材料が書かれているパッケージなどを持っていくと確実です。
また、食べた直後に吐き出させようとして、口に手を入れて無理に吐かせようとしたり、インターネットで調べた知識で吐かせようとする人がいます。かえって危険になりますので、これはしないようにしてください。しっかり吐き出させることは難しく、飲み込んだものの種類によっては吐き出させること自体が危険なものもあります。また、口に手を入れて吐かせようとすることで、手を噛まれてしまうこともあります。
食べた後時間が経ってから症状が出ることもあるので、すぐに症状が見られないからと安心せず、必ず獣医師に相談することをおすすめします。
まとめ
冬に旬を迎える食べ物や、冬のイベントに欠かせない食べ物の中には、犬の体に害を与える可能性のあるものも少なくありません。
こうした食べ物は犬に取られてしまうことのないようしっかりと管理し、万が一食べてしまった場合は自己判断せず獣医師に対応の指示を仰ぐようにしてください。