犬の睡眠
体や脳を休ませるために犬も人と同様に睡眠を必要とします。人の場合は1日6~8時間ほどの睡眠を必要としますが、犬はもっと多く12~14時間程度寝ています。
しかし一度に6時間ぐっすり眠る人間とは異なり、犬の場合は非常に浅い眠りで細切れに睡眠時間を取っています。室内飼いの犬たちはへそ天ポーズで白目をむいて熟睡するなどします。しかし、野外で危険にさらされながら生活していたころの名残で、音や振動ですぐに目を覚まして対応できる程度の浅い眠りを繰り返しています。
このように犬茶値は、長時間ぐっすりと寝るのではなく、浅い睡眠で寝たり起きたりを繰り返しています。そのため、必要とされる睡眠時間が確保できていなかったり、浅く質の良くない眠りが続くと、身体的・精神的に不調が出る恐れがあります。そのようなで点は人間と同じですね。
若い犬ほどよく眠りますが、年を取ってシニア犬になるとまた徐々に眠る時間が長くなっていきます。しかし、よく昼寝をしていたりうとうとする時間が長くなっている割に、夜寝なくなって困っているという飼い主さんも多いようです。
老犬が夜に寝ない理由
では、老犬が寝なくなってしまう理由には、一体どんなものがあるのでしょうか。
1.何か要求がある
老犬になると、自分の体を思うように動かせずに戸惑うことが多くなります。若い頃には飼い主を起こすようなことがなかった犬も、高齢になって水を飲みに立ち上がりたいのに上手く立てない、トイレに行きたいのに場所が遠いなどという場合に、きゅんきゅんと鳴いたり吠えたりして要求を伝えようとします。
また体が動かないことに何かしらの不安を感じている場合、夜泣きのように飼い主を呼び続けることがあります。若い頃はそうではなかった犬も、老犬になると分離不安のように飼い主の姿が見えなくなるとそわそわしだすようになったりもするようです。
これらのような眠れないほどの要求については、飼い主が早めの対処をしてあげることで犬も安心して眠れるようになるでしょう。強い不安を感じて眠れない様子の場合、飼い主さんの近くで眠れる環境を整えたり、マッサージやブラッシングなどのスキンシップを多くとるなどで安心させてあげてください。
2.体に痛みがある
年をとると体勢を変えるのがおっくうになり、ずっと同じ姿勢で横になっていたりすることがあります。しかしそうすると、体の一部(特に骨がでっぱっている部位)に負担がかかり、血流が悪くなって床ずれのような症状が出ることがあります。
また、老犬になればなるほど関節の異常や皮膚の乾燥などのトラブルも増え、常に体のどこかが痛かったり、かゆいなどというような症状が出ることも多くなるようです。
日中であれば飼い主が対応できることも、夜の場合はどうしても遅れます。そのため、「夜眠れない→昼寝が長くなる→夜眠れない」という悪いサイクルが出来上がってしまうことがあるのです。
痛い関節を気にしなくて良くなるようクッションを工夫したり、皮膚炎などがある場合は動物病院に相談するなど、寝ない理由が痛みの場合はその症状に合わせて対応してあげましょう。
3.認知症
老犬が夜に寝ない理由のひとつとして、「認知症」も挙げられます。
昼はずっとうとうとしているけれど、夜になると寝ない、うろうろ落ち着きなく歩き回る、何もないところに向かって吠える、食事の時間ではない時間に食べ物を要求するなど、若い頃とちょっと行動が変わった、ということがあれば認知症の可能性があります。
「そうはいっても年も年だから…」とその症状を放置してしまうと、ご近所迷惑になったり犬が転倒してケガをしたり、場合によってはすぐに介護が必要になることも。そのため(あれ?)と思ったら、早めに動物病院へ相談されることをおすすめします。
ご家庭でできる簡単な対処法としては、以下のような方法があります。
- 昼夜逆転を防ぐため、なるべく日中にお散歩をして太陽の光を浴びる
- 徘徊してもケガをしないように、愛犬の移動する動線にモノを置かない
- うろうろと歩けるよう、少し広めのサークルの中で夜過ごさせる
また、1日の食事を数回にわけて与えて「たべた」という満足感を与えるのも良いかもしれません。
まとめ
今回は、老犬が「夜に寝ない」理由と、原因ごとの対処法についてご紹介しました。
若い頃と違って、犬も高齢になってくると意思表示ひとつも難しくなり、不安が増してどんどん寝なくなる可能性も。原因が判明している場合はストレスになる前にすみやかに対応し、安心して熟睡できるようにしてあげましょう。
また、夜に寝ない理由として認知症の症状がみられるようでしたら、早めに動物病院へ相談することをおすすめします。