犬の足は冬でも寒くないの?
近年では、冬になると愛犬に防寒着を着せてお散歩をさせる人が増えてきています。特に、小型犬や下毛のないシングルコートの犬は寒さに弱いため、コートのような服を着せてもらっている場合も多いですよね。
しかしよく見ると、服を着ている犬も足にはなにも履かずに地面を歩いていることがほとんどです。
冬の地面を裸足で歩くと考えると、とても冷たくて寒そうに感じますよね。靴を履いたほうがいいのでは?と心配になる人もいるでしょう。
犬の足は冬でも寒くないのでしょうか?
犬の足は冷えにくい構造をしている
結論を述べると、基本的に犬の足は冬でも寒くありません。寒さ対策として靴を履かせる必要もないでしょう。
犬が冬でも裸足で地面を歩けるのは、犬の足が冷えにくい構造をしているためです。
犬の肉球は、脂肪や角質でとても分厚くなっています。この肉球がクッションとなるため、犬の足は冷たさを感じにくく冬の地面を歩いても平気なのです。
また、2011年発行の獣医学専門誌『Veterinary Dermatology』では、ヤマザキ学園大学の二宮博義教授らの研究グループが「犬の足が冷えにくくなっているメカニズム」を発表しています。
この発表によると、犬の肉球にある動脈と静脈はとても近い場所にあり、寒さで静脈が冷えても動脈の血流が増加して温度を上げるため、犬の足は体温を保ちながら地面を歩くことができるそうです。
この血管の構造を『動静脈吻合』(どうじょうみゃくふんごう)といい、イルカのヒレやペンギンのくちばし、ホッキョクギツネの肉球も同じ構造を持っています。
「犬が動静脈吻合の肉球を持っているということは、犬の祖先は寒い地方で生息していたのではないか」ともいわれています。
寒さに対応できる足を持つ犬は、地面が冷えていたり、少々雪が積もっているくらいなら靴や靴下なしでも問題ないのです。
冷たすぎる地面は要注意
犬の足が冷えにくい構造になっており、地面を裸足で歩いても平気だということがわかって安心した飼い主さんもいるでしょう。しかし、いくら冷えにくいとはいっても限度があります。
犬の靴や靴下専門のECサイト「dogdog」が北海道の犬の飼育者400名にアンケートを実施したところ、約4割の飼い主が冬場に乾燥やしもやけなど、愛犬の足のトラブルを経験しています。
雪がたくさん積もった道や路面が凍っている場所を長時間散歩すると、犬の足であっても冷えて炎症を起こしたりケガをすることがあるようです。豪雪地帯に住んでいる人や、出かけ先で犬と雪遊びをするという人は、愛犬の足にトラブルが起きないよう気を付けてください。
寒さに弱い小型犬、子犬や高齢犬、あたたかい地方が原産の犬の場合は特に要注意です。寒い時期に限ったことではありませんが、犬を外で歩かせた後は犬の肉球に異常がないかチェックしてあげましょう。冬場は保湿クリームでケアをすることも大切です。
基本的に犬に靴は必要ありませんが、ケガなどのトラブルを予防したい場合には履かせてあげるのも良いでしょう。いきなり靴を履かせると嫌がるワンちゃんが多いので、家で慣らす練習をしてからお散歩してみてください。
まとめ
犬の足は冬でも寒くないのか?を解説しました。
冬の歌に「犬は喜び、庭駆け回り♪」という歌詞がありますが、犬が冬の冷たい地面でも走り回れるのにはちゃんとした理由があったのですね。
もちろん犬にも個体差があるので、寒い日には愛犬の様子を伺いながらお散歩してあげましょう。