犬にとってテレビはどう見えている?
犬からテレビの映像はどのように見えているかということについては、基本的に私たち人間から見た映像と特に変わりはないと考えられています。
犬の視力に関する研究は多数行われていて、犬は映像や画像もきちんと認識できていて、そこに映っている人の区別をすることもできると考えられています。
ただし、犬は人間ほど色をはっきり見分けることができず、特に赤や緑は見て取ることができません。
オレンジや黄色、緑は「くすんだ黄色」に、青と紫「青っぽい色」に、その他の色は白と黒の濃淡が異なる「グレー」に見えていると考えられています。そのため、テレビに映る映像も、現実世界と同じように黄・青・グレーの世界で見えているのです。
また、犬は動体視力が良く、動いているものを視覚で感知することに優れているため、1秒間に60コマ点滅する仕組みの旧式テレビの映像は、「コマ送りの状態」で見えると考えられています。
犬はテレビの内容を理解している?
犬がテレビで放送されている番組の内容そのものを理解しているかということについては、基本的には「NO」です。犬は人間の言葉を断片的にしか理解していませんし、ドラマやバラエティ番組などを見ても、何をしているのか当然理解できないでしょう。
ただし、映像を見たり、音声を聞き取ったりすることはできるので、映像に映っている犬を見て「犬だ!」と認識することはできますし、犬の吠え声を聞いて反応することもあると思います。
犬はストーリーや話の展開などを理解することは基本的にないものの、知っているものが映っている映像や、気になる音声などに興味を持つことは十分考えられます。実際、テレビに犬や猫が映るとテレビに向かって吠える犬もいますし、特定のCMソングが流れてくると嬉しそうにする犬もいます。
留守番中、テレビはつけっぱなしがいいって本当?
犬が留守番中に寂しい思いをしないように、テレビをつけておくという飼い主さんもいるのではないでしょうか。
確かにそれは間違いではありませんが、部屋をにぎやかにすることで寂しさをまぎらわすというよりも、テレビをつけることで「飼い主さんがいるときと同じ雰囲気を作る」ことに意味があると考えられています。
家にいるときはいつもテレビをつけている飼い主さんが外出をするとき、テレビを消して出かけてしまうと、飼い主さんがいるときといないときの雰囲気の違いが大きくなってしまいます。その落差による寂しさが強調されないように、いつもの家の雰囲気を演出するためにテレビをつけるというのは効果的でしょう。
そのため、いつもはあまりテレビやラジオをつけていないのに、留守番時にあえてつけたとしても、犬の寂しさやストレスを軽減する効果は少ないと考えられます。
まとめ
犬にとって、テレビに映る映像やテレビから聞こえてくる音声は特別なものではなく、現実に見えているものや聞こえているものと変わりなく認識しているようです。
ただし、犬にとって興味を引きやすいにおいがしませんし、番組の内容を理解しているわけではないので、あまり熱心に見る犬はそれほど多くないでしょう。犬の鳴き声や動物の映像など断片的に興味を持つことはあっても、人間のように楽しみながら何時間も見続けることはほとんどありません。
いつもテレビがついている家庭で育った犬にとっては、テレビの音や映像もごく自然な日常風景のひとつです。留守番練習に利用することもできるので、必要に応じて上手に活用してみてください。