犬はどんなことをストレスに感じるのか
荒い息遣いや同じ場所をずっと舐めているなど、愛犬の様子がいつもと違う場合はストレスが溜まってきているサインかもしれません。そのままにしておくと、自分の体を傷つけたり人に飛びかかったりといった、問題行動に発展してしまうことが多いので対処が必要です。
知能が高く社会的な動物である犬は、さまざまなことでストレスを受けてしまいます。しかし、一切ストレスを受けない暮らしなど、犬にも人にもあり得ません。一緒に暮らしているご家族としては、愛犬にストレスを溜めさせないようにすることが求められます。
犬の祖先は、群れを作りグループで狩りをしながら生きてきました。その性質を強化して、人と一緒に狩りをしたり仕事をしたりするように品種改良され、現在の犬になりました。そのため、犬には運動欲求にみあった運動量と社会性のある暮らしが必要です。
つまり、犬にとって大きなストレス要因として挙げられるのは、「運動不足」「退屈」「孤独」ということになります。毎日の散歩は運動になり、さまざまな刺激も受けられ、コミュニケーションも図れる、ストレス解消に最適な習慣だといえます。
犬のストレスを室内で解消する方法
天候不良やご家族の体調不良など、さまざまな理由で外に出られない日が続くこともあります。そのような時には、室内で上手に愛犬のストレスを解消しなければなりません。
今回は、室内で愛犬のストレスを解消できる遊びをご紹介します。
1.引っ張りっこ
ロープ状の丈夫なおもちゃの端を愛犬に咥えさせ、反対側の端をご家族が握って引っ張り合いをする遊びです。大抵の犬が夢中になってくれる遊びです。
同時に「ハナセ」「チョウダイ」などの指示で、咥えた物を離せるように教える場にも使えます。この指示は、誤飲防止などに役立ちます。
2.宝探し
1粒のおやつを入れた小箱やお皿を、クッションの下や家具の裏などに隠します。「サガセ」などの号令で、隠したおやつを探させるゲームです。
愛犬が見ていない時に隠す、複数隠す、ニオイだけしか頼れない場所に隠すなど、徐々に難易度を上げていきましょう。
犬は知能の高い動物なので、頭を使うことでもストレスを発散します。また、犬の五感の中でも特に発達している嗅覚を使うため、本能的な欲求に応えられ、脳にも良い刺激となるのでおすすめの遊びです。
3.障害物
ご家族の足や腕などを使い、下をくぐらせたり上を飛び越えさせたりする遊びです。運動ができるだけではなく、スキンシップも図れます。
お住まいが集合住宅の場合は、愛犬がジャンプすることで下層階に迷惑をかけてしまう可能性があるので、時間帯には配慮しましょう。
4.スクワット
「オスワリ」の指示を出して座らせ、座ったらご褒美をあげます。しばらく経って愛犬が立ち上がったら再び「オスワリ」をさせるという、とてもシンプルな遊びです。
とても簡単な遊びですが、下半身の筋力を維持・強化させる効果も期待できるため、老化予防にもなります。
5.体幹ストレッチ
ごつごつとした樹の根が地上に出ているような不安定な場所での散歩を、室内で再現できます。不安定な場所を歩くと適度な負荷が足腰にかかり、体幹を鍛えられます。
クッションなどのフカフカした素材のものを毛布やタオルでくるんで床に並べ、その上を歩かせます。少し平べったいクッションから始めると、抵抗なく始められるでしょう。
犬と一緒に遊ぶ時のコツ
ではここからは、犬と一緒に遊ぶ際のちょっとしたコツをご紹介します。愛犬と一緒に遊ぶときにぜひ試してみてくださいね。
小休止を挟んで複数の遊び
長時間遊ぶと興奮しすぎてご家族の言うことが耳に入らずにケガをする、物を壊すといった事故につながる場合があります。
そこで、同じ遊びを長時間続けるのではなく、短時間の遊びを複数組み合わせて多くの刺激を与えるような遊び方が理想的です。
10分程度遊んだら小休止を挟み、別の遊びをまた10分程度行うといった遊び方をおすすめします。小休止を挟むことでクールダウンでき、さまざまな種類の遊びを組み込めます。
散歩に行けなかった日は、この方法でいつもの散歩時間分は遊ぶようにすると良いでしょう。
安全の確保
いくらクールダウンしても、遊んでいる最中はどうしても夢中になってしまい、勢い余って家具や襖などにぶつかってしまいがちです。遊ぶ前にはできるだけ片付けたり家具を寄せたりして、広くて安全な場所を確保しましょう。
またフローリングなどの滑りやすい床は、足腰に掛かる負担が大きくなります。普段から、マットを敷く、滑り止めワックスを塗るなどで対策しておきましょう。さらに、誤飲しそうな物や壊れやすい物をおもちゃにしないといった配慮も必要です。
ご褒美のおやつ
遊びの中でご褒美としておやつをあげる場合、あげすぎに注意しましょう。おやつは別腹ではなく、1日に必要な摂取カロリーの中におやつのカロリーも含めます。おやつで摂取してもよいカロリーは1日の必要カロリーの10~20%です。あげすぎには注意です。どれくらいあげたか分からなくなることがあります。1日にあげてよいおやつを小分けにし、あらかじめ準備しておくとよいでしょう。
またカロリーだけではなく、栄養バランスもとても重要です。おやつとして一般食やおやつ用のフードを与えている場合は、1日の総カロリーの10〜20%程度におさめましょう。あくまでも主食は総合栄養食です。
まとめ
犬は、一緒に暮らしているご家族に合わせて暮らしています。しかし、犬の感覚と人間の感覚は必ずしも一致しているわけではないため、私達には思いもよらないことが愛犬のストレス要因になっていることも多いのです。
「もう我慢できない!」という状態が続くと、犬は「動かなくなる」か「逃げ出す」か「攻撃する」ようになります。
そうなる前に、日常生活の中でしっかりとストレスを解消できる時間や場所を作りましょう。そのためには、室内での遊びも上手に利用してください。