犬の体重が増える原因は?
秋から冬にかけて、おいしいものを食べ過ぎてしまうことがあります。
摂取カロリーが高くなることで、自然と体重が増えることがあります。そこから冬の寒い日が訪れ、散歩が減ることから運動不足に繋がると、食事指導が必要になる犬も中にはいます。
ほかには、去勢や避妊による基礎代謝の低下や老化による基礎代謝の低下が原因で、体重が増えることがあります。
たくさん食べていないのに、体重が増えるときは?
食事量を増やしていないのに体重が増加し続ける、あるいは体重増加以外に気になる症状がある場合などは、疾患の可能性も考えられます。
副腎皮質機能低下症(クッシング症候群)、甲状腺機能低下症、肝臓疾患(科不全による腹水の貯留など)、循環器疾患(心疾患によるむくみ、腹水の貯留など)、消化器疾患(便秘など)は、これらの疾患が原因で体重が増えることがあります。たくさん食べていないのに体重増加が気になったときは、動物病院の受診を検討しましょう。
動物病院を受診した際は、どういった経緯で体重が増加していったか、食事やおやつの内容を含めて詳しく問診をおこない、疾患の疑いがありそうな場合は血液検査を実施します。その上で、必要がある場合にはレントゲンや腹部超音波を実施し、上記疾患を診断していきます。
急に体重が増えたら、どんな対応や治療が必要?
ただの食べ過ぎによる摂取カロリーの過剰が原因の際は、食事指導をおこない、場合によっては療法食(※)の提案などもする場合があります。通常の食事のままだと糖尿病や循環器の疾患を招く恐れがあるからです。
食べ過ぎではなく疾患が原因で体重増加をしている場合は、その疾患に対する治療をそれぞれ実施します。
副腎皮質機能低下症(クッシング症候群)は、副腎皮質ステロイドホルモンを抑える薬を投与します。甲状腺機能低下症は、甲状腺ホルモンの補充が必要になります。肝臓疾患や循環器疾患、消化器疾患は、どのような症状が出ているかによって治療法が異なります。
犬の症状によって投薬治療をおこなうこともあれば点滴をすることもありますし、入院が必要なこともあります。愛犬の異変を感じたら、まずは動物病院を受診してください。
※療法食:栄養成分の量や比率が調整された一般的な健康維持食ではない特別なペットフードのこと。
まとめ
寒い時期は運動不足などにより体重が増えがちなため、そこに隠れている疾患を見落としてしまうことがあります。これまでと同じ食事量やおやつしかあげていないのに急激な体重増加がある際は、念のため動物病院を受診しましょう。
また、単純な食べ過ぎで体重が増加している場合にも、病気に繋がるリスクが上がることがあります。おいしいものを一緒に食べたい気持ちもほどほどにし、健康的な食生活を心がけてください!
執筆者
アニホック往診専門動物病院
総獣医師長/株式会社TYL 取締役
藤野 洋(ふじの ひろし)氏
日本大学生物資源科学部(旧 農獣医学部) 獣医学科卒業後、獣医師としてペットの総合商社に入社。主に獣医師として小動物臨床に従事しながら、ペット用品及び生体販売、フランチャイズ展開の知見を深める。2007年3月に株式会社フジフィールド創業。動物病院とトリミングサロンのドミナント多店舗展開を行い、複数店舗の開業/運営を果たす。2017年3月に株式会社フジフィールドをファンドに株式譲渡。動物病院のグループ化とIPOの土台を築くために、譲渡先であるファンド出資の会社にて代表取締役としてM&A推進と既存グループ動物病院及び店舗の運営全般を行う。2021年2月TYLに取締役として参画。