1.匂い
知っている方も多いと思いますが、犬は五感の中でも特に嗅覚が優れていると言われています。微かなにおいでもかぎ取れるという能力だけでなく、私たち人間ではわからないようなにおいの違いにも敏感で「かぎ分け」が得意です。
そして、その優れた嗅覚は、人の認識や記憶のためにも使われています。人間は汗や皮脂などによる体臭があるため、そのにおいで相手を覚えると考えられているのです。そのため、相手が顔を隠していたり、暗い場所で人に会ったりした場合でも、においを嗅ぐことで相手が誰かを把握できます。
また、人間そのものから発せられている体臭だけでなく、使っているシャンプーや化粧品、香水、洋服についた洗剤の香りなども犬はかぎ取っています。それらが合わさったにおいで人を認識しているため、飼い主さんのようにいつも一緒にいる人ではない場合、においだけではわからなくなってしまうこともあるようです。
ちなみに、犬はにおいを強く感じる傾向があるため、香水のように人工的な香りが強すぎる人に対して、やや苦手意識を持つこともあるので注意してあげましょう。
2.声や足音
犬の優れた感覚として嗅覚を紹介しましたが、それと並んで高い能力を発揮するのが「音」に対する反応です。犬は聴覚も優れているため、においと同様に多種類の音の聞き分けが得意だと考えられています。
その能力によって、声でも人を認識すると考えられ、姿が見えない状態で飼い主さんが話しかけても喜んで反応する様子が見られることはめずらしくありません。
また、きちんとした話し声だけでなく、咳払いやため息のほか、歩いているときの足音やドアを閉める音のような動作によって発せられる音も個人の認識に役立ちます。飼い主さんの足音や車のエンジン音、鍵の音などを聞き分けて、帰宅を察知する犬も少なくないのです。
3.顔などの外見
嗅覚や聴覚など犬の優れた能力を使うと、人に対しての認識や記憶をしっかりと行えると考えられていますが、人間と同じように視力を使って覚えることもあります。実際、国内外で犬の視力に関する様々な研究が行われていて、顔写真によって飼い主さんを選別できたという結果も出ています。
犬の視力は人間でいうと0.2~0.3程度とされているため、あまりよくないため、遠くの人の顔は認識しづらいと思います。と考えられています。ただし、目の前にいる人であれば顔などの外見で違いを把握できるでしょう。
4.動き
通常の視力はあまりよくないものの、犬の場合は動体視力が優れています。つまり、動いているものであれば、人間以上に優れた視覚で捉えることができるのです。
また、顔や体型そのものだけでなく、動作で個人を判断することもあります。姿勢や歩き方など、人が無意識でしているようなことを犬はよく見ています。そのため、顔は見えないような距離にいても、歩いている姿を見て飼い主さんや大好きな人を見つけたりすることがあるのです。
まとめ
犬が人を判断する方法は、見た目やにおい、声など様々なものが考えられます。外で会った人などに対しては、私たち人間と同じように相手の顔や体型などの見た目で判断することが多いでしょう。それは、声やにおいに比べて、ある程度離れた距離からでも認識しやすいからです。
しかし、犬の視力はあまりよくありませんし、人間は洋服や眼鏡、帽子などの影響で見た目の印象が大きく変わる場合もあり、犬も確実な判断ができなくなってしまいます。そのような場合、犬の優れた嗅覚や聴覚を使って、正確に判断しようとするのです。
このように、犬は様々な感覚を駆使して人のことを記憶したり、把握したりしていると考えられています。