犬が寝床を作る時にクルクル回る理由や心理は?
皆さんは愛犬がベッドの上などで眠る前、クルクルと回る行動を見かけることはありますか。この不思議な行動には、専門家の間でもいくつか説が唱えられています。
ここでは犬が寝床を作る時にクルクル回る理由や心理について、現段階で唱えられている説を解説していきます。
1.「寝床周辺の安全を確認する」という野生の習性
現在、人間と共に暮らしている犬たちも、元々は野生動物として生活していた時代がありました。現在でも野生時代に培われてきた習性は受け継がれているものが多く、この犬が寝床を作る時にクルクル回る行動もそのうちの1つだと考えられています。
野生時代、犬にとって就寝中は最も敵に襲われやすい危険な時間帯でした。そのため、眠る前に寝床周辺に敵がいないか、危険性はないかを確認するためにクルクル回ることで、寝床周辺をチェックしていたのではないかと言われているのです。
この頃の習性がいまだに残っており、寝る前に自分の寝床の周りを確認するようにクルクルと回っているのではと唱えられています。
2.寝床にある危険物を取り除く習性の名残
野生時代の習性が影響しているもう1つの理由として、寝床にある危険物を取り除く習性の名残では、という説も濃厚です。
屋外で生活していた頃、毒蛇や有毒な成分を持つ虫などが多数存在していました。それらと共存しなければいけなかったため、寝床の安全性を確保する意味でも危険物を取り除いておく必要があったのです。
したがって、クルクルと回る行動には寝床の周辺の安全確認だけではなく、寝床にいる危険な存在を排除するという役割もあったのでは、と考えられています。
3.寝心地が良いように寝床を整えている
やはり、犬にとっても寝心地の良さは重要です。そのため寝床を作る時にクルクルと回る行動は、寝床を自分にとって寝床地が良いように整えているのでは、という原始的かつ現代的でもある理由が挙げられます。
例えば、お気に入りのブランケットなどが寝床に置かれている場合、犬はそのブランケットを自分の理想的な形に整えるような行動を見せることがあります。枕のように使うこともあれば、平らにして敷布団のように使う子もいるでしょう。
クルクルと回る行動は、このように寝床を自分にとって居心地が良いように整えるための動きの1つではないかと考えられているのです。
実際に行われた実験結果でも唱えられている説が濃厚に!
実は、数年前までこれらの説を裏付けるような実験は行われていませんでした。しかし、心理学者のスタンレー・コレン博士が犬62匹とその飼い主さんに協力してもらうことで、以下のような実験を行ったのです。
『平らなラグ』を敷いた環境と『凹凸やシワなどがあるラグ』を敷いた環境、2つの異なる環境を用意します。同じ犬にこの2つの環境を用意したケージに入ってもらい、その時の行動を観察するというものです。
すると、『平らなラグ』を敷いたケージ内では全体の19%が、『凹凸やシワなどがあるラグ』を敷いたケージ内では、なんと全体の55%の犬が寝る前にクルクルと回る行動を見せたのです。
つまり、犬は安全で寝心地の良い環境を確保するために、寝床を作る時にクルクルと回っているのではないかという説が立証されたのです。
愛犬が落ち着いて眠れるように専用ベッドは少し大きめのものを
上記で紹介した実験により、犬の寝床を作る際の不思議行動は、自分にとって安全で寝床地の良い環境を整えるためであることがわかりました。つまり、犬にとってクルクルと回る行動は、安眠するために必要な行動でもあるのです。
寝床でクルクルと回るためには、スペースにそれなりの余裕がなくてはいけません。寝返りを容易に打てる環境を考えても、犬の専用ベッドは心持ち犬の体格よりも大きめのものを選んであげると良いでしょう。
ただし、あまりにも大きすぎるベッドは犬が落ち着かなくなってしまうので、適度に余裕のある大きさのベッドを用意してあげることが重要です。
まとめ
いかがでしたか。犬が寝床を作る時にクルクル回る理由は、最近になって「自分にとって安全で寝床地の良い環境を整えるため」という説が立証されました。この理由に伴い、愛犬が安心して眠れるよう少し余裕のある大きさのベッドを用意してあげましょう。