犬の尻尾の役割
1.体のバランスをコントロールする
犬の尻尾には、体のバランスをコントロールするという役割があります。
例えば、トリミングの時、愛犬が台の上に乗せられているところを見たことがあるでしょうか。犬は高い場所が苦手ですよね。
トリミング台に乗っている犬が落下してしまわないようにと、体のバランスをコントロールするために尻尾を上向きにしたり、下向きにしたり、左右に振るなどしていることが見て分かると思います。
人が高い場所に立った時、両手を広げて体のバランスをコントロールしようとしますよね。そのことと同じ役割が犬の尻尾にもあるのです。
2.泳ぐ方向を定める
犬の尻尾には、泳ぐ方向を定めるという役割があります。
まず、顎をクッと上向きにして進む方向をよく見ます。4本の手足を使って水をかき、尻尾を左右に倒しながら泳ぐ方向を定めて進みます。このように、船の舵と似たような役割があるのです。
レトリーバーには水鳥猟として活躍した犬が多く、ラブラドール・レトリーバーやゴールデン・レトリーバーは泳ぎが得意であるとされていますよね。
では、レトリーバーが泳ぐ姿を実際に見たことはありますでしょうか。もし無ければ、泳ぐ時の尻尾の様子をイメージしてみてください。実は、犬が泳ぐ時、尻尾は水面から出ていないことがほとんどです。
犬種や尻尾の特徴によって異なることもありますが、基本的には水面に真っ直ぐ伸ばすようにして泳いだり、やや下向きにして泳いだりします。
3.体を冷えや寒さから守る
犬の尻尾には、体を冷えや寒さから守るという役割があります。
寒い時、犬は体をキュッと丸めて眠りますよね。この時、尻尾を顔の辺りに巻き付けるようにしています。体が冷えてしまわないようにするためです。
- サモエド
- シベリアンハスキー
- アラスカンマラミュート
- セントバーナード
- ポメラニアン
- グレートピレニーズ
- バーニーズマウンテンドッグ
これらの犬種は、雪国が原産地とされている犬種です。
これらの犬種の尻尾が特徴的なのが分かりますでしょうか。体をキュッと丸めた時、顔全体を覆ってしまうことができるほど、モッフモフでボリューミーですよね。
4.虫を追い払う
犬の尻尾には、虫を追い払うという役割があります。
外で日向ぼっこを楽しんでいる犬の体にハエやハチや蚊が飛んでくることがあります。犬の耳には虫が羽をパタパタさせる時のブーンという音が聞こえています。
この時、あっちに行ってよ!と、尻尾をパタンッとすることで虫を追い払うことができるのです。虫が犬の体に止まった時も同じです。尻尾を何度もパタンッとすることで虫を追い払います。
犬の場合、お尻周りの糞尿のニオイに誘われて虫が飛んでくることがあります。とくに長毛種は毛に糞尿が付着しやすいですよね。普段から清潔を保てるようにお手入れしてあげると、尻尾で虫を追い払う必要もなくなると思います。
5.犬や人とコミュニケーションをする
犬の尻尾には、犬や人とコミュニケーションをするという役割があります。
尻尾で感情を表現するということです。犬の飼い主には、尻尾の動きだけでも愛犬の気持ちが分かってしまうほど重要な役割を持っていると思います。
もしも愛犬が尻尾で上手く感情を表現することができなくなっている、尻尾がずっと下がったままでいるなどの異常を感じた時は、神経の損傷や骨折を疑う必要があるかもしれません。
過度なお散歩や運動によって、尻尾が疲労骨折することがあるとされています。抱っこされている時間が長い犬の場合も、尻尾の同じ部分に弱い力が加わり続けることで疲労骨折することがあるとされています。
愛犬が尻尾を使って上手くコミュニケーションを取ることができているかどうか、日頃からチェックしてあげてください。
まとめ
犬の尻尾の役割を5つ解説しました。
- 体のバランスをコントロールする
- 泳ぐ方向を定める
- 体を冷えや寒さから守る
- 虫を追い払う
- 犬や人とコミュニケーションをする
人間にも尻尾の名残りのような尾骨という骨が存在しますよね。大昔、人間にも尻尾があったとされていますが、犬の尻尾が持つ役割を手・足・道具・言葉などに進化させてきたことで退化したのかもしれません。
今も断尾される犬種が存在しますが、尻尾の役割を十分に果たせていない可能性があります。愛犬の断尾を考えることがあれば、犬の尻尾の役割を考えてみてほしいです。