性格は生まれつきの気質と経験で決まる
犬の性格がどのように決まるか、ということについては、基本的に生まれつきの気質(先天的要素)と経験(後天的要素)の両方の影響を受けると考えられています。
先天的要素は遺伝や性別が元となり、後天的要素には育った環境や周囲の人・犬との関わり、日々の体験などが挙げられます。
これらの要素が相互に影響し合うことで、性格が決まりますが、年齢をある程度重ねても経験や体験によって少しずつ性格が変化することも珍しくありません。
子犬の気質チェック方法『キャンベルテスト』
生まれ持った大まかな性格を判断するために、犬の気質テストが行われることがあります。これは『キャンベルテスト』と呼ばれるテストで、ウィリアム・E・キャンベル氏が提案したものです。
このテストでは、以下の5つの要素について判断することができます。
- 社会生活に対する興味
- 人についてくる性質
- 束縛時の支配性
- 社会生活での支配性
- 持ち上げられた時の支配性
これらは、犬と一緒に暮らす上でとても大切な要素なので、ブリーダーの元などで子犬を選ぶ際などに行う人も少なくありません。
では、ここからは、この『キャンベルテスト』で上記の5つの要素について調べるための方法と結果について具体的に解説していきます。
社会生活による興味テスト
子犬から数メートル離れてしゃがみこんで、犬に合図するように軽く手を叩きます。
<結果>
dd…尻尾を上げながらすぐに近づいてくる。その後、飛びついてきて手を噛む。
d… 尻尾を上げながらすぐに近づいてくる。その後、前足を出してじゃれる。
s…尻尾を下げながらもすぐに近づいてくる。
ss…尻尾を上げながら戸惑った様子で近づいてくる。その後に飛びついて手を噛んだりじゃれたりする。
i…全く近づいてこない。
人についてくる性質テスト
子犬のまわりをゆっくりと歩きます。
<結果>
dd…尻尾を上げながらすぐについてくる。その後、足を噛む。
d…尻尾を上げながらすぐについてくる。その後、足にまとわりつくようにじゃれつく。
s…尻尾を下げながらもすぐについてくる。
ss…尻尾を上げながら戸惑った様子で近づいてくる。その後、飛びついて噛んだりじゃれついたりする。
i…全く近づいてこない。どこかに行ってしまう。
束縛されたときの支配性テスト
子犬を仰向けの状態にして、胸のあたりに手を置いて約30秒間動けないようにします。
<結果>
dd…足をバタバタさせて激しく暴れる。押さえている手に噛みつく。
d…足をバタバタさせて激しく暴れる。
s…はじめに暴れるが、その後大人しくなる。
ss…静かにしている。押さえている手を舐める。
社会生活における支配性テスト
子犬を自分の前に座らせた状態で、背中や首、肩などを優しくなでます。
<結果>
dd…飛び上がって抵抗したり、唸る・噛むなどの様子を見せる。
d…嫌がって体を激しく動かす。
s…体をよじって軽く抵抗する。なでている手を舐める。
ss…仰向けになる。なでている手を舐める。
i…どこかに行ってしまう。
持ち上げられたときの支配性テスト
子犬の胸の下あたりに手を入れて、約30秒間体を少しだけ持ち上げます。
<結果>
dd…激しく暴れる。唸ったり噛んだりして抵抗する。
d…激しく暴れる。
s…やや暴れた後に静かになる。手を舐める。
ss…大人しくしている。手を舐める。
テスト結果からわかること
上記のテストをした結果から、以下の内容が判断できます。
【ddが2つ以上あり、dが1つ以上ある】
とても支配性が強いため、適切なしつけを行わないと扱いに困るようになってしますこともあります。初心者だけでは扱いきれない可能性もあります。
【ddが1つあり、dが3つ以上ある】
上記ほどではないものの、やや強い支配性を持っています。適切な接し方をしないとわがままさから攻撃性などを見せるようになることもあります。
【sが3つ以上ある】
家庭犬として問題なく飼育できる気質です。それなりにいたずらや反抗はするものの、きちんと対処すれば大きな問題にはなりにくいとされています。
【ssが2つ以上ある】
家庭犬として、とても飼育しやすい落ち着いた気質です。従順さがあるのでしつけもしやすいですが、臆病さもあるので怖がらせるような接し方に注意しましょう。
【iが当てはまる】
飼育するうえで基本的に大きな問題は起こりにくいものの、ddが1つでもある場合は頑固でわがままなタイプになる可能性があるので、甘やかしすぎないようにすることが大切です。
その犬の気質に合わせた接し方・しつけが大切
子犬の時期に、どのような気質を持っているかある程度把握できたら、それに合わせた接し方やしつけの仕方をすることが大切です。犬が持っている気質に「良い・悪い」はなく、あくまでも適切な接し方が異なるだけ、ということを覚えておいてください。
また、どのような犬に育って欲しいか、どんなドッグライフを一緒に送っていきたいかということを考えることも大切です。ドッグスポーツやお出かけをたくさんしてアクティブに過ごしたい場合と、子どもや高齢者がいる家庭で落ち着いて過ごして欲しい場合とでは、必要なしつけが異なる場合もあります。
犬の気質を判断したうえで、どう接したらいいかわからない場合や育て方に悩んでいる場合は、ドッグトレーナーなどの専門家に相談してみるといいでしょう。
まとめ
私たち人間と同様に、犬にも様々な性格・タイプがあります。それを決めるのは、元々生まれ持った気質と育て方の両方だと考えられています。
やや荒い気質を持っている犬も適切なしつけによって自信があって大らかな犬になる場合もありますし、大人しい気質を持っている犬がわがままで手がつけられなくなってしまう場合もあります。
大切なのは、元々の気質を把握したうえで、その犬に合った接し方をすることです。ぜひ愛犬の気質や性格を見極めて、上手に信頼関係を築いてくださいね。