犬の寿命が年々延びている5つの理由!しかし長生きの影響で様々な問題も

犬の寿命が年々延びている5つの理由!しかし長生きの影響で様々な問題も

毎年行われる犬の平均寿命の調査結果を見ると、少しずつですが年々延びており、この10年間では約1歳延びています。小中型犬にとっての1年は人間の4歳分、大型犬の場合は7歳分に相当しますので、たかが1歳と馬鹿にできません。今回は犬の寿命が年々延びている理由や、長生きになったがために出てきている新たな問題点について考えてみたいと思います。

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記事の監修

山口大学農学部獣医学科卒業。山口県内の複数の動物病院勤務を経て、ふくふく動物病院開業。得意分野は皮膚病です。飼い主さまとペットの笑顔につながる診療を心がけています。

犬の平均寿命

様々な犬達

あるペット保険会社が2021年に公開した統計情報によると、2009年〜2019年の10年間で、犬の平均寿命は13.1歳から14.1歳へと1.0歳延びていました。

また別の公益社団法人が発表した統計情報では、1980年の犬の平均死亡年齢は2.6歳でした。調査機関が異なるため単純に比較はできませんが、2019年の平均寿命14.1歳は、1980年の5倍以上です。

1980年当時の犬は、番犬として庭につながれた状態で、人の残飯を食べて暮らしていた犬も多かったでしょう。病気の予防も今ほど進んでおらず、子犬のうちに命を落としてしまうケースも多かったはずです。

しかし、今や日本の犬は人と同じく超高齢化社会を迎えています。犬の半数以上が7歳以上の高齢犬で、犬の一生の約半分が高齢期だというのです。

今回は、犬の平均寿命が延びている理由とともに、犬が長生きすることで新たに起こっている問題についても考えてみたいと思います。

犬の寿命が年々延びている理由

人と犬の絆

1.ご家族の意識の変化

昭和の頃までの家庭犬は「番犬」が普通でした。家の外に犬小屋が置かれ、不審者を敷地内に侵入させないために飼われていたのです。当時ももちろん犬達は家族から愛されていましたが、現在の家庭犬に対する愛情とは少し質が違っていたように思います。

1970年代にアメリカで生まれた『ヒューマン・アニマル・ボンド(人と動物の絆)』という考え方が1980年代後半に日本に入ってきました。そこから少しずつこの考え方が広がっていき、今では犬は「飼うもの」ではなく「一緒に暮らす家族」だという感覚が浸透してきました。

と同時に犬と一緒に暮らす環境に対しても、犬の習性や安全性を考慮するようになり、愛犬が心身ともにストレスフリーな生活ができるようにと心がけているご家族が増えたのです。

2.良質なフードの普及

昭和の頃にもドッグフードはありましたが、白いご飯にお味噌汁をかけたような食事が普通に与えられていました。人のための食事がベースですから、犬の健康維持に必要な栄養バランスは満たしていませんでした。

その後次第にドッグフードが普及していきました。一時期は安全性が疑問視されたこともありましたが、今では愛玩動物用飼料の安全性に関する法律も整備され、輸入品や国産品で良質なドッグフードが広く普及しています。

愛犬のライフステージに合わせた栄養バランスが整っている総合栄養食、特定の疾患の治療目的で処方される療法食、嗜好性を高めたおやつなど、用途に合わせて選ぶことができます。

またインターネットやスマホの普及もあり、犬にとって禁忌となる食材の知識などを誰もがすぐに検索できるようにもなりました。

3.獣医療の発展とご家族による健康管理意識の向上

動物病院の数も非常に増えました。一次診療、二次診療、専門病院、夜間救急、24時間診療など形態も多様化しています。

ワクチン接種や寄生虫予防、定期的な健康診断といった予防医療も普及し、歯磨きなどのご家庭でのケアをしっかりと行うご家族も増えています。

4.動物薬の進化

動物用医薬品も進化しました。少ない投与頻度で効果を発揮したり、苦くて飲ませづらい薬を飲ませるための補助ツールなどが開発され、ご家族の看病も以前より楽になりました。

5.動物関連サービスの充実

人間の医療費と比べて高額になりがちな愛犬の治療費を補うためのペット保険が普及したことで、安心して愛犬を動物病院に連れて行けるようになりました。

ペットシッターやペットホテル、ドッグラン、ペット可のレジャー施設など、生活やレジャーに於いても、多忙なご家族に変わって愛犬を世話してくれる、愛犬と一緒に楽しめるようなサービスがどんどん増えてきています。

平均寿命が延びていることで起こっている問題

老人と老犬の散歩

ここからは、ご家族も愛犬も供に長生きできるようになってきたからこそ生まれた新しい問題について考えてみたいと思います。

老犬の介護

犬も歳を重ねることで老化が進み、さまざまな体調不良に見舞われます。犬にも、人間の認知症によく似た症状があらわれることがあります。

昼夜の逆転、同じ場所をグルグルと回り続ける、狭いところに入り込んで出てこられないなどの症状があらわれたら、認知症が疑われます。

老衰により寝たきりになり、介護が必要になることもあります。床ずれ予防の寝返り、食事介助、下の世話など、ほとんど1日中そばを離れることが難しくなる場合もあり得るのです。

老老問題

愛犬と一緒に暮らしておられるご家族も愛犬も、供に高齢であるという老老問題が増えてきています。

ご高齢者が認知症や老衰で寝たきりになった愛犬の世話をするのは、とても大変なことです。体力的に世話ができない、病気やケガで入院が必要になった、老人ホームなどの施設へ入らなければならない、愛犬より先に亡くなってしまうなど、さまざまなケースがあり得ます。

ペットロス

愛犬と一緒に長く過ごせることは、ご家族にとってとても幸せなことです。しかし、一緒に暮らした時間が長ければ長いほど、愛犬を亡くした時の悲しみは深くなるでしょう。

ペットロスの影響が心身の健康に悪影響を及ぼしてしまうご家族も少なくありません。

まとめ

愛犬と老夫婦

犬と一緒に暮らすご家族の意識や食事、医療の変化や各種サービスの充実などにより、犬の平均寿命は年々延びてきていますが、それ故に新たに出てきた問題もあることがお分かりいただけたと思います。

こういった問題への対応として、老犬ホーム、ペット可サービス付き高齢者向け住宅、ペット可老人ホーム、ペット信託といったような新たなサービスを提供する施設なども登場してきました。

ご自身と愛犬が供に老後の生活を安心して過ごすためには、常に最新の情報を収集し、対策を検討できるようにする姿勢が求められているといえるでしょう。

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