犬の『爪切り』はコレを意識して!5つのコツやポイントを解説

犬の『爪切り』はコレを意識して!5つのコツやポイントを解説

野生の犬とは異なり、人と一緒に暮らしている犬にとって、爪切りは欠かせないケアです。しかし、体を拘束され、敏感な足先や指を掴まれる爪切りは、犬が嫌がるケアの代表と言えるかもしれません。今回は、犬の爪切りをする際に意識すると良いことや、爪切りのコツ、ポイントなどを解説します。

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記事の監修

  • 獣医師
  • 平松育子
  • (AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター )

獣医師・AEAJ認定アロマテラピーインストラクター・ペットライター
山口大学農学部獣医学科(現:共同獣医学部)卒業。2006年3月~2023年3月 有限会社ふくふく動物病院 取締役・院長。ジェネラリストですが、得意分野は皮膚疾患です。
獣医師歴26年(2023年4月現在)の経験を活かし、ペットの病気やペットと楽しむアロマに関する情報をお届けします。

犬の爪の構造

犬の爪の構造図

人間の爪は、指の先端の骨の上面に生えているため、平たい形状をしています。犬の爪は指の先端の骨を取り囲むように生えているため円錐状をし、しかも鉤のように少し内側に巻いたような形をしています。

人の爪は、途中までピンク色をしていて、先端だけが白いです。それは犬も同じです。ピンク色をしている部分には、血管や神経が通っているため、この部分が折れてしまうと出血し、痛みも感じます。しかし白い部分であれば、切っても出血せず痛みも感じません。

犬の爪切りで意識すべきコツやポイント

爪切りの瞬間

ではここからは、犬の爪切りの際に意識すべきコツやポイントを解説します。

1.爪切りのタイミング

文献により、週に1度、2〜3週に1度、月に1度など、異なる推奨頻度が提示されていますが、その犬の住環境や生活スタイルによって自然に摩耗する爪の量などが異なるため、一概に期間を設定するのは難しいです。

目安は『フローリング等の硬い床を歩いている時に、爪の当たる音がしたら爪切りのタイミング』です。もちろん音だけではなく、散歩から帰って足を拭く際などに、爪の状態も目視でチェックしましょう。

2.深爪をしないコツ

爪の中で血管や神経が通っているピンク色の部分を「クイック」といいます。爪切りでこのクイックを傷つけてしまうと、出血し痛みを感じます。そのため、深爪を経験した犬はトラウマとなり、その後爪切りを嫌がるようになることも多いようです。とにかく、深爪をしないことを常に意識してください。

白い爪の場合は、横から見るとクイックの部分が目視で確認できます。黒い爪の場合は目視では確認できません。爪の先端から少しずつ切っていき、切った断面がカサカサの状態から白くしっとりとした状態になったところでやめるというのが目安です。

そして万が一深爪して出血してしまった場合でも、決して慌てないことです。ご家族がパニック状態になると、愛犬も不安になってしまいます。

爪切りの際には、市販の止血剤を用意しておきましょう。万が一出血した場合は、止血剤を出血部に塗ることで止血できます。どうしても止まらない場合は、ガーゼなどで押さえて動物病院に連れて行きましょう。

3.愛犬に適した体勢を見つける

爪切りをされる小型犬

大切なのは、愛犬と、爪を切るご家族双方の安全確保です。そのためには、爪切りの最中に愛犬が動いてケガをすることのないように、しっかりと体をおさえて動かないように保定しなければなりません。

ただし、爪を切る時の体勢に決まりはありません。立たせたまま、伏せの姿勢、横倒しの姿勢、仰向けに寝かせるなど、愛犬と爪切りをされるご家族の最もやりやすい体勢を見つけましょう。

4.道具はすべて犬専用のものを使用する

爪の構造が異なるため、必ず犬専用の爪切りを使いましょう。小型犬から大型犬まで体格差が激しいので、体格に適したサイズや形状の爪切りを準備することがポイントです。

また、爪を切っただけだと断面がザラザラしていて引っかかりやすいため、爪ヤスリを使ってなめらかに仕上げると良いでしょう。

5.爪切りは楽しいことだと思ってもらう

保定されたり足先・指・爪などを触られたりすると、犬は不安や恐怖を覚えます。そのため、時間をかけながら段階的に爪切りができるように慣らしていくことが大切です。

拘束されて自由に動けない状態を好む犬はいないでしょう。そのため、爪を切る前の保定の段階で嫌がる犬も多いです。ケアする際には、怖がらせないように意識することが大切です。

具体的には、ご家族と愛犬の身体を密着させる、力づくで無理矢理おさえつけない、爪を切っているところが見えないようにするなどの工夫をしてみてください。

爪を切る音を怖がる犬も多いので、音に慣れさせる工程も組み込むと良いでしょう。爪を切る音とクリッカーの音が似ているので、クリッカーを活用するのも効果が望めます。

とにかく1つ目の段階がクリアできたら褒める、次の段階がクリアできたらまた褒めるといったように、とにかく「爪切りは楽しいことだ」と思ってもらえるようにトレーニングを進めましょう。

犬の爪切りはなぜ必要なのか

犬の足先

「野生の犬は爪切りなどしないのだから、一緒に暮らしている犬も散歩をさせていれば爪切りは不要だろう」と考えるご家族もいらっしゃるようですが、それは違います。犬の爪は、散歩をした程度ではあまり削れません。そのため、犬にとって爪切りは欠かせないケアなのです。

爪が削れる機会が少ないと爪がそのまま伸び続けていきます。そして、鉤状をしている爪が伸びていく先には、肉球があります。

爪切りをせずに愛犬の爪をそのままにしてしまうと、体重を支えきれなくなった爪が途中で折れたり、伸び続けた爪が肉球に刺さったりしてしまうのです。長くなった爪をどこかに引っ掛けてしまうと、根元から折れてしまうことがあり、出血して強い痛みを感じます。肉球に刺さった場合も、強い痛みを生じ感染が起こると腫れたり化膿してしまいます。

さらに、伸びた爪の犬と遊んでいたご家族が引っ掻かれてケガをしたり、ソファや絨毯などの家具類が傷つくこともあるでしょう。

犬の爪切りは、愛犬自身の健康維持、ご家族の安全確保、そして家具類を守るためにも必要なケアなのです。

まとめ

爪切りをされる犬

ご家族が不安な気持ちで爪切りをすると、その不安が犬にも伝わります。

まずは犬を落ち着かせる状況を作るとともに、ケアをされるご家族も落ち着いて自信を持つことが大切です。

とは言え、最初から完璧にできる人はいません。最初は動物病院やトリミングサロンに行き、プロのやり方を見たり教わったりしながら覚えていくことをおすすめします。

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