1.目をそらす、うつむく
犬が叱られているときに見せる仕草として最も多いのは、叱っている人から目をそらしたり、顔を背けたりするものです。
動物にとって正面から目を合わせることは、いわゆる「ガンをつける」というように敵意をあらわしていたり喧嘩をしかけたりする意味が含まれます。信頼関係で結ばれている犬と飼い主さんの場合は、愛情表現やコミュニケーションの一貫として目を合わせることもありますが、叱られているような場面であれば愛情表現として目を合わせることもなかなかないでしょう。
そのため、敵意や反抗の意思はないということを示すために、目を合わせないようにする犬は多くいます。また、そのような表情・態度を取ることで、飼い主さんが「この子は反省している」と認識して優しくしてくれるということを学習していることも考えられます。
2.あくびをする、体を掻く
いたずらなどの問題行動を叱っている最中にも関わらず、愛犬が目の前で何度もあくびをしたり、体を掻いたりしていて、余計に腹を立てたという経験はありませんか?
実はこのような行動は、犬のストレスサインとして叱っているときによく見られるものです。「カーミングシグナル」とも呼ばれる犬のボディランゲージのひとつで、不安やストレス、恐怖を感じたときにこうした行動を行うことで自分の気持ちを落ち着かせようとしているのです。
また、対峙している相手に対しても、「落ち着いて」と伝える意図もあると考えられています。
「カーミングシグナル」は約30種類程あるとされていて、あくびや体を掻くといったもの以外にも地面のにおいを嗅ぐ、弧を描いて歩く、背中を向けるなど様々な行動が見られます。
3.お腹を見せる
犬を叱っていたら、突然その場に寝っ転がってお腹を見せるということはありませんか?
基本的に動物がお腹を見せるのは、服従の意思や敵意がないことを表現するために行う行動だと考えられています。そのため、叱っている飼い主さんに対してお腹を見せる場合は、「もうわかったからそれ以上怒らないで」と言っているのかもしれません。
ただし、叱っているときにお腹を見せる犬に対して、その仕草の可愛さからつい笑ってしまったり、「仕方ないなぁ」とお腹をなでてしまったりすることはNGです。そのようなことをくり返すと、犬は叱られてもお腹を見せれば許されると思ってしまいます。
そうなると、叱られたことに対して反省したり考えたりすることがなくなってしまうので、十分注意しましょう。
4.飼い主の手を舐める
叱っている飼い主さんの手や顔を舐める犬も、お腹を見せる犬と同様に「それ以上怒らないで」「許して」と伝えようとしていることが考えられます。
他の犬や飼い主さんの手や口元などを舐める行為は、愛情表現であり「服従」の意思の表現でもあります。
野生の動物の場合、基本的にそうした行動は母親や群れのリーダーなど目上の相手に行うものです。そのため、叱られているときに舐めてくる場合は、「逆らわないからもう怒らないで」という意味が込められているのでしょう。
5.走り回る
飼い主さんは真剣に叱っているシーンで、犬が突然走り回ったり暴れたりする場合、それは決してはしゃいでいるわけではありません。「叱っているのに遊んでいる」と余計に起こってしまう飼い主さんもいますが、このような場合は犬が非常に緊張していたり、ストレスを感じたりしていることが考えられます。
その緊張感に耐え切れずに体を動かしてしまったり、ストレスを和らげるためにおもちゃをくわえたりすることもあるのです。
また、このようなときに犬が尻尾を振っていることもあると思います。尻尾を振っているのは決してうれしい・楽しいときだけではありません。緊張や不安から尻尾を振ることもあるので、それだけを見て「反省していない」とは決めつけないであげてください。
まとめ
犬と生活をしていると、どうしても叱る場面も出てくるでしょう。そのようなシーンでは、犬の性格によって様々な行動・仕草を見せると思います。
一見反省していないように見えたり、話を聞いていないように見えたりすることもあるかもしれませんが、決してそうとは限りません。叱っているときの緊張感は愛犬にきちんと伝わっているので、それによる不安やストレスから思いがけない行動を取ってしまうことがあるのです。
必要以上に叱ったり反対に甘やかしたりすることのないように、犬が叱られたときに取る行動や仕草をぜひ知っておいてくださいね。