犬から見た世界は人間が見ている世界と違うの？
愛犬が何かをじっと見つめている時、あるいは旅行先などで景色を眺めている時、「愛犬も自分と同じように見えているのだろうか」と疑問に思うことはありませんか。
犬の瞳は人間と構造が少々異なるため、犬から見た世界と私たち人間から見た世界では、視界が少し違うのです。
元々犬は嗅覚と聴覚が優れているため、そちらの感覚器官を優先的に活用していると考えられています。対して、視覚は人間よりも劣る部分が多いため、視覚を聴覚や嗅覚で補助している、という感覚だと言われています。
犬から見た世界と人間から見た世界の違い4つ
では犬から見た世界と人間から見た世界では、どのような違いがあるのでしょうか。様々な部分で違いが見られるので、愛犬が暮らす環境を整えたり与えるおもちゃ選びの参考などに活用してください。
1.人間よりもやや視野が広い
草食動物に比べて肉食動物の視野は狭いと言われています。実際、犬の視野角は左右の目を動かして見える範囲は250度〜290度、両目を使って見える範囲は80度〜110度と言われています。
人間の視野角は、左右の目を動かして見える範囲は180度〜220度、両目を使って見える最大範囲は120度と言われているため、両目を使って見える範囲はほぼ同じですが、片目で左右を見れる範囲は犬の方が広いことがわかります。
よく犬が見えていない方向から悪戯をしようとすると、すぐに気づかれてしまうという話がありますが、これは左右の目を動かして見える視野角が広いという要素も1つの理由です。
2.通常の視力は0.2〜0.3程度と人間よりも悪い
昼間、犬が見えている世界はほとんどぼやけていると言われています。これは犬の通常視力が0.2〜0.3程度と、人間の平均的な視力よりも格段に悪いからです。
大人の人間の視力平均は0.5と言われており、良い人だと1.0〜1.5の視力を持つ人も珍しくありません。対して犬たちの平均視力は0.2〜0.3程度なので、どれほど視界が悪いかわかるでしょう。
もちろん、犬にはコンタクトレンズを入れたりメガネをかけたりする習慣もないので、それ以上に視力を日常的に改善する方法はありません。視力だけではかなり生活が不便であることがわかります。
3.暗闇では人間よりも識別能力が高い
通常の視力は0.2〜0.3程度と悪い犬たちですが、夜や暗闇など暗い場所では識別能力が高くなります。これは犬が元々夜に行動する夜行性動物だからという理由が関係しています。
暗闇での識別能力は人間の約5倍も高くなるため、普段よりも動きが良くなったり、反応が良くなったりする犬は多いです。
これは犬の網膜の奥にある「タペタム層」という組織が、目から入ってくるわずかな光を反射させることで、暗闇でも識別能力を高くしているのです。
4.色彩感覚が違う
人間は多くの色を見分ける能力を持っていますが、犬はそうではありません。人間にも犬にも錐状体という組織が目にありますが、人間は「赤」「青」「黄」の波長を検出することができますが、犬は「青」「黄」の2種類しか検出できないのです。
すると人間が検出できる「赤」を認識できないために、赤は暗いグレーなどに見えており、黄色と緑は同じ色として認識していると考えられています。
カリフォルニア大学の研究によると、緑や黄色、オレンジは「黄色っぽい」、紫や青は「青っぽい」、そして赤は「暗いグレー」として見えていることがわかっており、人間よりも色彩感覚に乏しいことがわかっています。
まとめ
いかがでしたか。今回は、犬から見た世界と人間が見ている世界の違いを紹介しました。視野角や視力、暗闇での識別能力や色彩感覚など様々な違いがあります。これらの知識を活かしておもちゃ選びや、落ち着いた生活ができる環境整備を行うと良いでしょう。
