叱りすぎる悪影響とは
しつけをするということを「悪いことをしたら叱ること」と思っていらっしゃる方も多いかもしれませんが、しつけは言い換えれば人間と共同生活を送るうえで守ってもらいたいマナーを学ぶことです。
そのため、犬と「叱る」ことに重点をおいた関わり方をしてしまうと、主な目的の「共同生活を送る」ことが困難になってしまうことがあります。
では、犬を叱りすぎることで考えられる悪影響とはなんでしょうか。
恐怖心を持つ
犬にとって人間は自分より体が大きく強そうに見える動物です。その相手が上から大きな声で怒鳴ったり、あるいは頭の上に手を落としてきたらどう思うでしょうか。
普通の動物であれば「怖い」と感じてしまうと思いませんか?
人の言葉がわからない犬にとっては声の高さや強さ、相手の表情からさまざまなことを読み取っています。高い声の場合は相手が喜んでいる、興奮していると考えますし、低い声であれば威嚇していたり怒っていたり感じるでしょう。
体の大きな相手から叱られ続け常時威嚇されていると感じれば、犬にとってずっと恐怖にさらされているも同然です。これはとても苦痛なことでしょう。その結果、いつも怯えた表情で人間に接するようになってしまうばかりか、追い詰められたパニックから攻撃に転ずる可能性もあります。
自信を喪失する
犬は飼い主が喜んだり、飼い主にほめられたりすることで学習して行動をするようになります。こうするとほめてもらえる、間違っていないということが分かると人間もその行動に自信をもって臨むことができますよね。犬も同じです。
反対にどんな行動も叱られ続けてみたらどうでしょうか。あれもだめ、これもだめ、なにか相手の機嫌が悪い、怒られるということが続けば、何をどうしてよいか分からなくなりパニックになりませんか?
犬も同じように、叱られ続けることで自分の行動に自信を失い、何をするにもびくびくとしたり、してほしくない行動をついつい繰り返したりするようになります。
ストレスがかかる
叱られるということはショックなことですし、一時的であってもぐっと気分が落ち込み無気力になります。また叱られ続けると常に緊張を続けることになるため、精神的に強いストレスを感じることになります。
犬も人間と同様に、叱られ続けることで強い精神的なストレスを感じていきます。また体罰などを加えてしまうことで身体的なケガやストレスにもなるでしょう。
この高ストレス状態が続くことは犬にとって様々な病気の原因につながることもあるため、注意が必要です。またメンタルの負荷がかかりすぎると自分でも感情や行動を制御できなくなり、余計にいたずらや粗相が増えてしまうこともあります。
正しい叱り方
いたずらや好ましくない行動をした犬に、事後にくどくど説明しても理解してもらえません。犬に理解してもらうためには行動をしたその瞬間を見逃さず、短く的確に「だめ」を伝えることが大切です。
例えば噛んではいけないものを噛んでしまったときも、現行犯逮捕をしなければ後から叱っても犬に分かってもらえません。噛んだそのときに「ダメ」といって行動をやめさせましょう。もちろん「噛む」という叱られる行動を起こさせないように、いたずらされたくないものはしっかり管理することも重要です。
外に向かって吠えるときも同様です。興奮して吠えているときは何を言っても火に油状態になるため、吠えやめてから叱る方も多いかもしれません。しかし犬にとってはやめたのに叱られた、となってしまうため逆効果になりかねません。吠える瞬間に注意をほかに向け、あらかじめ吠えさせないという方法もありますね。
まとめ
いたずらをされたり、何かのトレーニングをしているときに上手くいかないとついつい叱るを通り越して怒ってしまうこともあるでしょう。しかし感情的になっても犬たちには全く伝わらないばかりか、関係性を壊す原因にもつながってしまいます。
叱るという何か起こってからの対応を中心にしつけをするのではなく、犬が失敗しないで行動し褒められる環境を作ってあげる方法を取り入れてみると「叱る」回数がぐっと減るのでお勧めですよ。