過剰過ぎる愛犬家とは
あまりご自身のことを積極的に「愛犬家です」とアピールされる方はいないかもしれません。それでは、愛犬家とはどのような方のことを指すのでしょうか。辞書的に考えると、「犬を愛する人」や「特に犬を可愛がる人」を指す言葉です。
つまり犬と一緒に暮らしていなくても、その方が犬のことを好きだということが分かれば、「愛犬家」と言っても良いでしょう。しかし実際には、犬と一緒に暮らしている方のことを指す場合が多いようです。
しかし、時々「あの方は過剰過ぎる愛犬家だからちょっと…」と言われてしまう方も見かけます。あまり良い意味で使われていないように聞こえる「過剰過ぎる愛犬家」とは、どういう愛犬家を指すのでしょうか。
「〜過ぎる」とは、通常の水準を超えている時に使われる表現です。つまり、普通の犬好きを通り越して犬が好きな方、いわゆる「バカが付くほど」犬が好きな方ということになるでしょう。
元々「好き」というのは個人的な感情を指す言葉です。それが度を越しているということは、常識の枠を遥かに超えて独りよがりな部分が突出してしまっているとも考えられます。今回はそういう観点で「過剰過ぎる愛犬家」の特徴について考えてみたいと思います。
過剰過ぎる愛犬家の特徴
1.周囲の方への配慮に欠ける
愛犬家にとって、一緒に暮らしている愛犬は目に入れても痛くない程可愛い存在です。しかし、世の中には犬を好まない方もいれば、好き嫌いに関係なくペットアレルギーを持っているため近付けない方、犬を見ると恐怖を覚える方もいらっしゃいます。
過剰過ぎる愛犬家の場合、そんな方達の気持ちを考えられなくなってしまう場合があります。そうすると、悪気がなくても「非常識な飼い主」の典型といわれるような行動をとってしまうケースもみられます。
例えば「この子はおとなしい子だから大丈夫」だと言って、公園でリードを外して自由に遊ばせてしまうとか、「この子は健康だし衛生的だから予防接種など必要ない」と言ってきちんと病気や寄生虫の予防をせずに公共の場に連れて行ってしまうなどの行動です。
愛犬と一緒に公共の場にいる時は特に、周囲に迷惑をかけないような行動が求められます。ご自身や愛犬のことだけではなく、周囲の方達への配慮ができることも、愛犬家として求められる大切なことです。
2.犬を私物化
過剰過ぎる愛犬家の場合、在宅中は常に愛犬とベッタリと一緒に過ごされる方も多いようです。ちょっと姿が見えなくなると愛犬を呼びそばに呼び寄せたり、常に横に座らせて撫でていたりと、に横に座らせて撫でていたりと、飼い主さんのことが大好きな犬にとっても、そんな暮らしは嬉しいことかもしれません。
しかしこういった状態が長く続くと、愛犬の飼い主さんへの依存度が高くなり過ぎてしまいます。飼い主さんの姿が見えなくなると不安でたまらなくなり、戻ってくるまで何時間でも吠え続けたり、家中の物を壊したり、自分で自分の体を傷つけたりといった問題行動を起こす、分離不安症を引き起こすことに繋がります。
愛犬とは、適度な距離感を持って接することが大切です。
3.「この子のため」と言いながら独りよがりな判断
犬と一緒に暮らしていると、何をするにも「この子のため」が口癖で、物事の判断基準はすべて愛犬となってしまう場合もあります。ただし過剰過ぎる愛犬家の場合、ご自身は愛犬のためだと思っていても、実は愛犬のためになっていない場合もあるようです。
愛犬にやって良いことと悪いことをきちんと教えられないと、人間社会の中で居心地良く暮らせる犬にはなれません。また、欲しがるままに食事やおやつを与えてしまうと、肥満になりさまざまな病気にかかりやすくなります。
しつけや健康管理の面は、目先の愛犬の気持ちだけを考えていてはできません。その場の状況だけで「この子のため」という安易で楽な結論を出してしまわずに、その場では可哀想だと思えるかもしれませんが、長い目で見て本当に愛犬のためになる厳しい判断もできることが、真の愛犬家だといえるでしょう。
まとめ
よく、「動物好きな人に悪い人はいない」という言葉を目や耳にすることがあります。本当にそうでしょうか。
「愛犬のため」だと思ってやっていることも、本当の意味では愛犬のためになっておらず、好き過ぎる自分の気持ちに溺れてしまい、単なる自己満足な対応をしているだけという事になってはいないでしょうか。もしそうなら、それは決して「良い人」ではありません。
人間と犬とは、全く別の種族です。それぞれの体の構造や習性には違いがあります。それを正しく知った上でルールを作り、きちんとしつけをすることで、犬と人間は一緒に快適に暮らせるようになるのです。
そのために必要な知識を身につけた上で、独りよがりではなく、本当に愛犬のためになることを考えながら暮らせるような「過剰すぎない愛犬家」を目指したいものです。