犬が飼い主を噛んでくる心理は?
飼い主が愛犬に噛まれてしまうことがあります。犬の噛みは大きく分けると『甘噛み』と『本気噛み』の2種類があります。甘噛みは犬が軽く噛むことを言い、『遊び噛み』や『じゃれ噛み』などと呼ばれることも。
本気噛みは文字通り、犬が本気で強く噛むことです。犬に本気噛みをされた場合、跡がつく程度で済めばいいですが、ざっくりと切れて流血し、縫合が必要になることもあります。
甘噛みであっても本気噛みであっても、犬が飼い主を噛んでくるときは何らかの心理が働いています。では一体どんな心理が働いているのか、一緒に見ていきましょう。
1.歯茎がむず痒い
犬も人と同じように、乳歯から永久歯に生え変わります。犬は生後2ヵ月頃に乳歯が生え揃い、生後4ヵ月頃になると乳歯が抜け始め、生後6〜7ヵ月頃には永久歯への生え変わりが完了します。
乳歯が生えてきたり、永久歯に生え変わってきたりする時期は歯茎がむず痒くて、何かを噛みたくなるのですが、それが飼い主の手であることも。子犬の歯は細くて鋭いため、甘噛みでも痛みを感じたり傷になったりすることがあります。
永久歯に生え変わるまでのことだからと、飼い主は甘噛みを許してしまいがちですが、これはNG行為です。歯茎のむず痒さ解消のために手を噛ませていると、そのまま噛み癖がついてしまう可能性があります。
噛めるおもちゃを用意して、それを噛ませるようにしましょう。おもちゃは壊れにくく、安全なものを選んであげてくださいね。
2.遊びたい
子犬は、親やきょうだいと甘噛みをしてじゃれ合って遊び、この遊びを通して噛む力の加減を学んでいきます。
そして子犬が飼い主と一緒に遊びたいときも、甘噛みをして遊ぼうとします。飼い主がこれに応えていると「噛むと遊んでもらえる」と覚えて、成長しても構ってほしいときに噛む行動を取ってしまうことがあるので注意が必要です。
甘噛みは犬には自然な行動ですが、人に歯を当てるのはよくないことなので、子犬のうちにやめさせる必要があります。
甘噛みで遊ぶのをやめさせるには、無視が効果的です。甘噛みをしてきたら子犬だけを部屋に残して、飼い主は部屋から出て行ってしまいましょう。
一緒におもちゃで遊んでいる最中に興奮して甘噛みしてくる場合も、噛んだ瞬間に遊びをやめて部屋から去ります。「噛むと構ってもらえない」ということを子犬が理解するまで、根気よく続けましょう。
3.驚いた
犬は無防備に寝ているときにいきなり触られると、びっくりして反射的に噛んでしまうことがあります。人も寝ているときに急に触られると驚いてしまいますよね。
この噛みつきに関しては、飼い主のほうが気をつけなくてはいけません。愛犬が寝ているときは、そっとしておいてあげましょう。どうしても触らなくてはいけないときは、声をかけたり音を立てたりして、起こしてから触るようにしましょう。
4.取られたくない
愛犬からおもちゃを取ろうとしたり、愛犬の食事中に近づいたりしたときに飼い主を噛むのは、おもちゃやフードを取られたくないからです。
飼い主が無理やりおもちゃを取り上げたり、食事の邪魔をしたりすることを繰り返すと、おもちゃやフードを守ろうとする意識が強くなるので要注意です。
おもちゃは無理やり取り上げずに『ちょうだい』を教えましょう。愛犬がおもちゃをくわえているときに「ちょうだい」と言って、おもちゃを離したらほめておやつを与え、またおもちゃで遊びます。
これを繰り返していると「ちょうだい」を指示語として覚え、危険なものをくわえてしまったときにも役立ちますよ。
愛犬の食事中は愛犬を触ったり、じっと見つめたりするのはやめましょう。愛犬が安心して食べられる環境をつくってあげることが大切です。
5.やめてほしい
愛犬にブラッシングや歯磨きなどをしようとしたときに噛まれた経験がある飼い主は少なくないでしょう。お手入れが苦手な犬は、噛むことでお手入れをやめさせようとするのです。
お手入れをやめてほしくて噛んでくる場合は、おやつを与えながらお手入れを行ってみましょう。おやつを使って、お手入れにいい印象を持たせていく作戦です。
どのお手入れも最初のうちは、愛犬がおやつを食べている間にお手入れの道具(ブラシなど)を体に当てるだけでおしまいにして、愛犬の様子を見ながら徐々にお手入れの時間を延ばしていきましょう。
爪切りや肛門腺絞りなど難易度の高いお手入れは無理をせず、トリマーや獣医師にお願いするのも手です。
6.痛みがある
これまでは触ると喜んでいた愛犬が急に噛むようになったときは、病気やケガが原因かもしれません。病気やケガで体のどこかに痛みがある場合、その場所を触られると反射的に噛んでしまうことがあるのです。体に触ろうとしただけで噛んでくることもあります。
飼い主に噛みつくほどの痛みは相当だと思われるので、どの場所を触ると噛もうとするのかを把握して、早めに動物病院を受診しましょう。
愛犬が噛んできたときに絶対やってはいけないことは?
愛犬に噛まれると、カッとなってしまうこともあるかもしれません。しかし怒りに任せて叩いたり、マズルを強くつかんだりするのは絶対にNGです。人の手や飼い主を怖がるようになり、恐怖心から余計に噛むようになる恐れがあります。
噛みつきは放置してはいけない問題行動ですが、飼い主では対処しきれないケースも少なくありません。困ったときは、ドッグトレーナーや行動診療科の獣医師などの専門家に相談しましょう。
まとめ
今回は、犬が飼い主を噛んでくる心理を6つご紹介しました。愛犬が飼い主を噛んでくるときは、必ず理由があるはずです。愛犬の心理をよく考えて、その心理に合わせた対処法を試みてみましょう。根気よく行っていくことが大切です。
ただし無理は禁物です。自分では無理だと感じたら、大ケガを負う前に専門家に相談しましょう。また噛みつきに対して体罰を与えると状況が悪化するので、絶対にやめましょう。