愛犬を惹き付けることで生まれる信頼関係
愛犬を家に迎え入れた時、まず飼い主さんが考えるのは「早く信頼関係を築きたい」ということだと思います。
そのために飼い主さんがまずすべきことは何でしょうか。例えば、ひどい環境で暮らしていた保護犬を家に迎え入れた時、その犬は過去のトラウマもあり、なかなか新しい飼い主さんに心を開かないだろうことは、想像に難くありません。
保護犬の例は極端だと思うかもしれませんが、慣れ親しんでいた環境から離れ、全く知らない人ばかりのいる新しい環境に連れて来られた犬は、どんな環境から来た犬でも簡単に心を開いてくれないのが普通でしょう。
硬く閉ざした心を開かせ、そこからさらに信頼関係を築いていくためには、まず飼い主さんがその犬の気持ちを惹き付けなければなりません。そのうえで、飼い主さんに対する良い感情を蓄積させることで信頼関係が築けるのです。
愛犬との間に信頼関係が大切な理由
ところで、なぜ飼い主さんと愛犬との間に信頼関係が必要なのでしょうか。最近の研究で、愛犬と飼い主さんとの間の関係は、親子関係によく似ていることが分かっています。飼い主さんは愛犬のことを子どものように、愛犬は飼い主さんのことを親のように思うのです。
なぜ、親が子どものためなら何でも出来るのかと言えば、子どもに対して愛情があるからです。なぜ、子どもが親のいうことを聞くのかと言えば、親を信頼しているからです。親子や家族の強い絆というのは、愛情や信頼があるから成り立っているのです。
しかし、その愛情や信頼にゆるぎが生じると、いくら本当の親子や家族であっても、良い関係を維持することができずに断絶してしまうということもあります。親子だから、また飼い主さんと飼い犬だからというそれだけの理由では、決して信頼関係は生まれません。お互いの努力が必要なのです。
愛犬を惹き付ける飼い主さんの行動とは
それでは、愛犬を迎えた飼い主さんが、愛犬を惹き付けるためにとると良い行動についてご紹介しましょう。
安心させる
相手が犬だろうが人間だろうが、一緒にいて安心できない相手とは一緒にいたくありません。それは犬にとっても同じことです。まずは、愛犬に「この人と一緒にいれば、安心して暮らせるな」と思ってもらえるような行動をとることが大切です。
毎日ちゃんとご飯を貰える、トイレをしてもキレイにしてくれる、暖かくて心地よいところで眠れる、敵が現れても守ってもらえるなど、愛犬に安心してもらえるきっかけとなる行動はいくつかあるかと思います。まずは、どうすれば愛犬に安心してもらえるかを考えて行動しましょう。
楽しませる
次に、一緒にいると楽しいと思ってもらえるように行動しましょう。一緒にいて楽しい相手とはずっと一緒にいたいですし、いつも怖くて何をされるかわからない相手とは一緒にいたくないものです。
遊ぶときは飼い主さんも一緒になって本気で楽しく遊んでください。いろいろなことを教えなければいけませんが、その時も叱るのではなく、良いことをしたら褒めるということの積み重ねで教えてあげましょう。
飼い主さんと一緒にいると、楽しいことや嬉しいことがたくさん起こると思わせるような行動が大切です。
3.頼れる
やってはいけないことや、やってほしいことを教えるのも、飼い主さんの役目です。その時に、飼い主さんの中で「やって良いこと」と「やってはいけないこと」の基準が曖昧だと、愛犬はどうして良いかわからなくなります。
飼い主さんにしてみれば、自分と愛犬だけの時はお行儀が悪くても良いけれど、人の前ではお行儀よくしてほしいなど、基準が明確なのかもしれません。でもそれは、愛犬にとっても分かりやすい基準でしょうか。
やって良いことと悪い事の基準が明確で、飼い主さんがそれを愛犬にわかりやすく教えてくれる。飼い主さんの指導に従っていれば良いと、飼い主さんのことを頼れると思わせる行動が、愛犬を惹き付けるためにはとても重要なポイントになります。
愛犬から信頼されるために意識したいこと
飼い主さんが愛犬から信頼されるために意識すべきことは、子育てとよく似ているかもしれません。「自信をつけさせる」「密なコミュニケーションを図る」「明確なルールと一貫性のある態度」の3つが意識すべきことだといわれています。
自分に自信が持てない犬は、初めての出来事に出くわす度におどおどし、強いストレスを抱えてしまいます。自信をつけさせ、いつでも冷静に対処できるようにさせるためには、叱らずに褒めるしつけを繰り返して小さな成功体験を積み重ねさせましょう。
また、愛犬に「自分は飼い主さんから愛されている」と思わせることも大切です。自信をもたせることにも繋がります。そのためには、優しく話しかける、撫でられると喜ぶ部位を撫でる、名前を呼びしっかりとアイコンタクトを取り意思の疎通を図るといった、積極的なコミュニケーションが大切です。
最後に大切なポイントは、やはり明確なルールを決めて一貫性のある対応を貫くことです。ご家族も一緒に暮らしている場合は、ご家族間でそのルールを共有し、誰もが愛犬に対して一貫性のある態度をとるようにしましょう。
もちろん、同じ人が感情に流されて一貫性が保てなくなるのはもってのほかです。ご自身も感情に流されないようにトレーニングしてください。
まとめ
犬は、一緒に暮らす飼い主さんやご家族の気持ちをしっかりと受け止められるように、五感をフルに活用して、常に飼い主さんやご家族に注意を向けています。飼い主さんも、愛犬の気持ちを自分に惹き付け、信頼されるように意識しながら接してあげてください。
そうすることで、愛犬との間にしっかりとした信頼関係を構築することができ、豊かで楽しい生活を送れることでしょう。