犬種ごとの平均寿命
2021年(令和3年)に一般社団法人ペットフード協会が行った『全国犬猫飼育実態調査』の結果によると、犬全体の平均寿命は14.65歳です。大型犬よりも小型犬のほうが長生きの傾向にありますが、平均寿命は犬種によっても異なります。
そこで今回は、アニコムホールディングス株式会社が公開している『アニコム家庭どうぶつ白書2021』のデータを元に、6犬種の平均寿命をご紹介します。
1.トイ・プードル(15.3歳)
国内の人気犬種ランキングで長年1位の座に君臨し続けているトイ・プードル。ぬいぐるみのようにかわいいだけでなく、賢さも兼ね備えています。そして平均寿命が15.3歳と長いです。
平均寿命が長いトイ・プードルですが、かかりやすい病気が意外と多いです。まず遺伝的に白内障になりやすく、若年齢で発症することもあります。飼い主が初期の段階で気づくのは難しいため、若いうちから定期的に獣医師に目のチェックをしてもらい、早期発見に繋げることが大切です。
白内障以外にも、糖尿病やクッシング症候群(副腎皮質機能亢進症)、流涙症、膝蓋骨脱臼などの好発犬種とされています。
2.チワワ(13.8歳)
純血種の中で最小サイズのチワワの平均寿命は13.8歳。小さくて華奢な体つきとは裏腹に活発で、いざというときには飼い主を守ろうとする勇敢さも持っています。その一方で、繊細で臆病な一面も。
チワワがかかりやすい病気は水頭症、膝蓋骨脱臼、低血糖症、僧帽弁閉鎖不全症などです。そしてチワワは体が華奢で骨が非常に細いため、ケガにも注意が必要です。ちょっとした段差から飛び降りただけでも骨折してしまうことがあります。
また、頭蓋骨の頭頂部(泉門)が開いたまま成犬になっても融合しない場合もあります。泉門が開いている場合は特に硬いものに頭をぶつけたりしないように注意しなくてはいけません。
3.ミニチュア・ダックスフンド(14.9歳)
胴長短足が特徴のミニチュア・ダックスフンドはおっとりしているように見えますが、実は活発で好奇心旺盛。元々は猟犬のため、勇敢さも持ち合わせています。ミニチュア・ダックスフンドの平均寿命は14.9歳で、長寿傾向です。
胴長短足の体型は、椎間板ヘルニアを発症しやすいと言われています。椎間板ヘルニアを予防するため、肥満にならないように注意し、階段やソファなどの昇降はなるべく避けるようにしましょう。
ミニチュア・ダックスフンドは、進行性網膜萎縮症の好発犬種です。この病気は、遺伝性と考えられています。網膜が萎縮して正常に機能しなくなって視力が低下し、最終的には失明します。
残念ながら現在のところ、治療法はありません。進行性網膜萎縮症と診断されたら、愛犬がなるべく不安やストレスを感じないように、生活面を工夫してあげることが大切です。このほか、外耳炎などの皮膚疾患にもなりやすいので注意しましょう。
4.柴犬(14.8歳)
縄文時代から日本人とともに生きてきた柴犬。日本犬らしい精悍な顔立ちと巻き尾が印象的です。飼い主に忠実で、日本のみならず海外でも人気を博しています。柴犬は比較的長寿な犬種で、平均寿命は14.8歳。
ほかの犬種と比べると丈夫と言える柴犬ですが、アトピー性皮膚炎や外耳炎、緑内障、白内障などに注意が必要です。
そして柴犬をはじめとする日本犬は、認知症になりやすいと言われています。頭を使った遊びをしたり、散歩コースを毎日変えたりして脳を活性化させ、認知症予防をしましょう。
5.ゴールデン・レトリーバー(10.9歳)
見るからに優しそうな雰囲気のゴールデン・レトリーバーは、温厚でフレンドリーな性格。日本では大型犬の中で人気No.1の犬種で、平均寿命は10.9歳です。
元気でたくましい犬ですが、遺伝性疾患が多く見られます。特に、股関節形成不全や白内障が遺伝性の要因で発症する確率が高いです。
また悪性腫瘍、すなわちガンになりやすい傾向もあります。いずれも日々の健康チェックと定期的な健康診断で早期に発見し、的確な治療を受けることが重要になります。ほかにも甲状腺機能低下症やアトピー性皮膚炎、外耳炎などにもかかりやすいです。
6.ラブラドール・レトリーバー(12.9歳)
穏やかで友好的な性格のラブラドール・レトリーバー。家庭犬として優秀な犬種ですが、賢く従順な面を活かして、盲導犬や警察犬、災害救助犬などとしても活躍しています。
ゴールデン・レトリーバーと外見や性格が似ていますが違いも多くあり、平均寿命も若干異なります。ラブラドール・レトリーバーのほうが平均寿命がやや長く12.9歳。
かかりやすい病気は股関節形成不全や悪性腫瘍、アトピー性皮膚炎、糖尿病、外耳炎などです。また白内障や進行性網膜萎縮症といった目の疾患も多く見受けられます。
愛犬に長生きしてもらうための秘訣
愛犬には少しでも長生きしてもらいたいですよね。犬種ごとに平均寿命は異なりますが、愛犬に長生きしてもらうためにすべきことは同じです。ここからは、愛犬に長生きしてもらうための秘訣をご紹介していきます。
1.適切、適量な食事
適切な食事を適量与えることは、犬の健康と長生きの基本です。適切な食事とは、その犬に必要な栄養素をバランスよく摂取できる食事のことを指します。それを叶えるのが『総合栄養食』と記載されたドッグフードです。
総合栄養食の表示のあるドッグフードを新鮮な水とともに適量与えれば、必要な栄養素を過不足なく摂取することができるでしょう。ドッグフードには子犬用、成犬用、シニア犬用がありますが、愛犬の年齢に合ったものを与えることが大切です。
シニア期になったら、低カロリーで消化のよいシニア犬用のドッグフードに切り替えていきましょう。もし病気の治療の一環として獣医師から療法食の指示が出たのならば、それに従いましょう。
毎日手作り食にする場合は、犬の栄養について知識を深めてからでないと栄養の過不足が生じ、健康を害してしまう恐れがあるので注意が必要です。また人間用に調理された食事は、犬には栄養バランスが悪かったり、塩分やカロリーが高すぎたりするので適切ではありません。
2.適度な運動
適度な運動は、犬の心身の健康を維持する上で重要な役割を果たします。犬の運動と言えば散歩ですが、散歩は運動になるだけではありません。におい嗅ぎをしたり、いろいろな人や犬と交流したりすることが脳の刺激になったり、ストレス解消になったりします。
また散歩は、筋力の維持や肥満の予防にも有効です。肥満は糖尿病や心臓疾患、関節疾患などさまざまな病気の原因となり、肥満の犬は肥満でない犬よりも寿命が短くなると言われています。毎日の散歩で適度に運動をして、愛犬の健康と長生きに繋げていきましょう。
3.安全で快適な生活環境
愛犬に健康で長生きしてもらうには、生活環境を安全で快適に整えることも大切です。今はほとんどの犬が室内で生活していますが、室内にも危険は潜んでいます。飼い主が生活環境を整えてあげなければ、思わぬ事故に繋がる可能性があります。
実際、室内での熱中症、高所からの転落、誤飲、感電、やけどなどによって、犬が命を落としてしまうケースがあります。では愛犬が安全で快適に過ごすために、飼い主はどうしたらいいのでしょうか。
例えば
- エアコンなどを使って快適な温度をキープする(夏場は26℃前後、冬場は20℃前後が目安)
- キッチンや階段など危険な場所へは立ち入れないようにゲートや柵を設置する
- 愛犬専用の落ち着ける場所(クレートなど)を用意する
- フローリングで滑らないようにカーペットを敷いたり、滑り止めワックスを塗ったりする
- 誤飲の恐れのあるものは愛犬の届かないところに置くか、引き出しなどにしまう
- 電気コードは家具の後ろなどに隠すか、カバーをつける
- こまめに掃除をする
といったことを実践しましょう。そして視力や足腰、認知機能が衰えるシニア犬になったら、段差や障害物をなくしてバリアフリーにするなど、シニア犬向けに生活環境を整えてあげましょう。
4.定期的な健康診断
愛犬が元気そうにしていると、なかなか健康診断を受けさせる気にならないかもしれません。でも愛犬に長生きしてもらいたいのなら、定期的に健康診断を受けさせましょう。
定期的に健康診断を受けていれば、病気に罹患しても早期発見と早期治療で大事に至らずに済む可能性が高いです。また健康診断は、愛犬の生活習慣を見直すいい機会になるでしょう。
健康そうに見えても病気が潜んでいることがあります。成犬期までは1年に1回、シニア期(小・中型犬は7歳頃から、大型犬は5歳頃からが目安)からは半年に1回は健康診断を受けさせるようにしましょう。
日頃から愛犬をよく観察して、様子がおかしいと感じたら、早めに動物病院を受診することも大事です。
まとめ
今回は、6犬種の平均寿命をご紹介しました。ご紹介した以外の犬種の平均寿命を知りたい場合は、インターネットで『〇〇(犬種名) 平均寿命』と入力して検索してみてください。
愛犬の犬種の平均寿命が短くても長くてもそれにとらわれすぎず、少しでも長生きしてもらえるように工夫したり、努力することが大切かと思います。長生きへの近道はありませんので、ぜひご紹介した秘訣を愛犬が若いうちからコツコツと実践して、長生きに繋げていってくださいね。