1.体に触る、体を揺さぶる
犬のてんかんの症状として、痙攣や失神などがあります。
それまで元気に過ごしていた愛犬に突然そのような様子が見られると、ほとんどの飼い主さんが驚いてしまうでしょう。特に初めてのてんかん発作の場合では、何が起きたのかわからず不安になったりパニックになったりすることもあると思います。
しかし、このときに犬の体に触れたり、体を揺さぶって意識を戻そうとしたりすることは絶対にやめましょう。てんかんは脳機能が障害を起こしている状態なので、正常時とは全く異なり興奮状態にあると考えてください。
体に触れたり揺さぶったりすることで刺激が加わって、痙攣が長引いてしまったり、さらなる発作を誘発してしまったりする可能性があります。また、体に触れたことで反射的に近くにあるものを噛んでしまうこともあるので、飼い主さんが怪我を負うことも考えられます。
このような状態では、犬には理性が効いておらず力加減もできないので、人間に対して大きな怪我をさせてしまう可能性も。そのため、愛犬にてんかんの発作が起きていると思われたら、少し離れて見ているようにしましょう。
犬が痙攣を起こし始めたら、抱っこしたり移動させたりはせず、倒れたときに怪我をしないよう周囲を片付けたり、柔らかいマットを敷いたりする等の配慮をされることをおすすめします。
2.口の中に何かを入れようとする
痙攣を起こしているときなど、犬が自身の舌を噛んでしまうことがないように口の中にタオルを入れようとする飼い主さんがいます。それは愛犬を守る気持ちから起こす行動だと思いますが、発作が起きているときは口元に触れると、反射的に噛まれてしまう可能性があるので危険です。
また、発作を起こしている愛犬を見て心配になり、水や薬を飲ませようとする飼い主さんもいるようですが、同様の危険があるのでやめておきましょう。発作中に何かを飲ませようとすると誤嚥を起こして、さらに体調を悪化させることも考えられるので注意が必要です。
3.発作の様子を観察しない
犬がてんかんによる発作を起こしたとき、飼い主さんがすべきことは「様子をしっかりと観察する」ことだと言われています。
- どの程度の時間痙攣していたか
- 痙攣の様子はどのようなものだったか
- 目や耳の状態はどうだったか
- 失禁があったか
このように、愛犬の発作時の詳しい状況をきちんと把握することが必要です。
発作がおさまってから獣医師に診察してもらう際、発作時の詳細を伝えることは診療の役に立つでしょう。可能であれば、スマホなどで動画撮影をしておくことをおすすめします。
発作が起きたとき、愛犬がかわいそうだからと目を背けてしまったり、慌てて獣医師に連絡しようとして電話をかけに行ったりするのはNGです。大切な愛犬を守るために、発作を起こしている愛犬のそばにいて、その様子をきちんと見ていてあげてください。
犬がてんかんを起こしているときの症状
そもそもてんかんとは、脳機能障害のひとつで脳の一部または全体に異常が起こる疾患です。何らかのきっかけで脳神経が刺激されて興奮状態に陥り、部分発作や全身発作が起きてしまいます。
発症する症状は異常が起きている脳の部分によって異なりますが、以下のようなものが見られます。
痙攣
てんかんの症状として、最も多く見られるのが「痙攣発作」です。痙攣には目元や口元などに異変が起こる部分痙攣と、全身が脱力して震える全身痙攣があります。
軽度の場合は瞳孔が開いたり、あくびのような仕草を頻繁にくり返したりする様子も見られます。
体の硬直
痙攣と同様に、体が硬直する症状もよく見られます。
突然全身が硬直して動かなくなり、バタンと横に倒れてしまったり、体がピンと伸びてのけぞるような状態になったりします。
失神
てんかんによって痙攣や硬直を起こした後、そのまま失神してしまうこともめずらしくありません。意識を失って、失禁や脱糞を起こすこともあります。
数十秒~数分で自然と意識を取り戻すことがほとんどですが、重症の場合意識がもうろうとした状態が長く続いたり、何度も失神をくり返したりします。
まとめ
てんかんは一過性のこともありますが、不定期に症状が起こるとされています。一度発症すると、投薬などを行いながら長い期間上手に付き合っていく必要があります。
痙攣や失神などの症状が起こると、驚いたりパニックになったりするとは思いますが、大切な愛犬を守るために、気持ちを落ち着けてしっかりと様子を見ていてあげてください。