年をとっても愛犬は愛犬のまま
若い頃は感情豊かだった愛犬も、歳をとると感情の起伏が平坦になり、何をしても張り合いがなくなったと感じている飼主さんもおられるかもしれません。反応が薄いので、喜んでいるのかうるさがられているのか、よく分からなくなってしまったと…
たしかに、歳をとってくると五感の感覚が衰え、反応も鈍くなってきます。でも、愛犬は愛犬のまま、その本質は変わっていないはずです。撫でられて嬉しい場所は、今でもきっと変わらずに嬉しいはずです。飼い主さんや一緒に暮らしている家族に対する愛情も、変わらないはずです。
ただ、愛犬自身も年を経る毎に変わってきている自分自身の変化に戸惑い、不安なはずです。だからこそ、飼い主さんには少しでも愛犬が喜ぶことをしながら、ゆっくりとした時間を一緒に静かに過ごしていただきたいと思います。
年をとった愛犬にしてあげると喜ぶこと
1.アイコンタクトを取りながら話しかける
思うように動けなかったり、昔ほど感覚が働かなくなってきた老犬は、自分自身に対する自信を失い、毎日を不安な思いで過ごしていることでしょう。そんな愛犬を、飼主さんは変わらずに見守っているということをしっかりと伝えましょう。
愛犬からの視線を感じたり、ふとした瞬間に目があった時には、アイコンタクトをとりながら優しく声を掛けましょう。「おはよう」「おやすみ」といった挨拶や、「今日はちょっと寒いね」のような一言でも構いません。笑顔を浮かべながら優しく声を掛けることで、いつでも自分を気にかけていてくれることが伝わり、愛犬は喜び、そして安心してくれるでしょう。
2.こまめにスキンシップを図る
声掛けと同じくらい、スキンシップも大切です。ゆっくりと声を掛けながら近づいていき、優しく声を掛けながら、愛犬が喜ぶ場所を優しく撫でてあげてください。よく観察し、リラックスしている時を見計らうと良いでしょう。
また、お散歩から帰宅した後には、体をよく拭き、足の付根や背中などを優しくマッサージしてあげるのも良いでしょう。とにかく、不安になっている愛犬を安心させるためには、しっかりとコミュニケーションを図ることが大切です。
3.安心して落ち着ける場所を作る
愛犬がひとりで不安そうにしていた場合は、側に行き優しく撫でながら声を掛けて落ち着かせてあげましょう。若い頃以上に愛犬がひとりでも安心して落ち着ける場所を作ってあげると喜ばれます。寛いでいるご家族が見える場所が良いでしょう。
犬は、少し薄暗くて狭い場所にいると、安心できます。愛犬のお気に入りのクッションや毛布などを利用して、そういう場所を意識的に作りましょう。愛犬の体力に合わせて、休息場所とトイレや水飲み場などを近付け、行動範囲がコンパクトにまとまるようにしましょう。
4.できるだけ食べやすい環境を作る
老犬だからこそ、食事は以前よりもずっと大切になってきます。食欲をしっかりと維持することで、必要な栄養を摂りいつまでも元気でいてもらえるのです。愛犬にとって、食べることが最後まで楽しいことになるようにしてあげたいものです。
今まで通りの環境だと、徐々に愛犬は食事を摂りづらくなっていきます。例えば、頭を下げて床に直置きしたお皿から食事を食べるのは、老犬には辛い体勢です。お皿を少し高い食器台に乗せてあげると、楽になります。
その他にも、フードの固さや温度、量なども、その時その時の愛犬の状況に合わせて、適宜調節しましょう。もちろん食べ過ぎはよくありませんが、適量であればしっかりと食事をしてくれることが、そのまま愛犬の長生きに繋がります。
5.できるだけ刺激的な毎日を過ごさせる
歳をとると徐々に筋肉が落ちていき、関節炎等も発症して動くのが辛くなってくる犬も多いです。しかし、できるだけお散歩は続ける方が良いです。外に出て、さまざまな刺激を受けることで気分転換ができますし、常に新しい刺激を受けることで脳も活性化されます。
歩くのが辛くなってきた場合は、カートに乗せて家の周りを一周するだけでも良い刺激になるでしょう。愛犬自身も、常に新しい刺激を受けられる日々の方が、楽しく過ごせるでしょう。
無理のない刺激的な毎日を!
成長期ではありませんので、老犬に無理をさせても鍛えることはできません。ただ、できるだけ現状を長く維持できる程度には、体を動かしたり知恵を使わせたり、新しい刺激を与えたりすることは大切ですし、愛犬にとっても生きがいになるでしょう。
お散歩にかけられる時間が少なくなってきても、その分家の中で宝探しなどのゲームをする時間を作れば、身体に負荷をかけて無理をさせることなく、刺激的な毎日を送らせてあげられます。
徐々に反応が鈍くなっていくかもしれませんが、視線を向ける、目で追うなど少しでも反応を示してくれる間は、できるだけ一緒に遊ぶ時間を作ってあげましょう。
まとめ
元気でやんちゃだった時代を知っていると、その愛犬が歳をとってぼーっとすることが増え、肉体的にも精神的にも弱々しくなっていく姿を見るのは辛いことです。ただ愛犬自身も、そんな自分の変化に戸惑い、不安を感じているはずです。
歳をとった愛犬と一緒に暮らす飼い主さんは、そんな愛犬をできるだけサポートし、少しでも居心地よく安心して過ごせるように、たくさんの知恵を絞ってさまざまな工夫をしてあげましょう。
歳をとり見た目や行動が変わってしまっても、愛犬の本質は変わっていないはずです。何をすると喜ぶのか、若かった頃の愛犬との思い出をたどりながらいろいろと工夫をし、焦らず一緒の時間をゆっくりと楽しみながら過ごしましょう。