犬は飼い主に似るって本当?
「犬は飼い主に似る」とは、昔からよく言われてきていることですが、それが事実であるということが、近年の研究で明らかにされています。
犬と飼い主の性格に関する調査による解析
まずひとつ目は、犬と飼い主の性格に関する調査による解析です。アメリカの大学で行われた調査で、犬種を問わず1500頭以上の犬と飼い主の性格について、アンケート行いました。
具体的には、「活動的」「興奮しやすいが攻撃的ではない」「慎重」「怖がり」など犬の性格や特徴を飼い主に評価してもらい、自分自身の性格についても回答してもらうというものでした。
その結果、犬の性格の形成には飼い主の性格や生活環境が影響していることがわかり、その性格の傾向も似ているということがわかったのです。落ち着いた性格の飼い主に飼われている犬は落ち着いていて、興奮しやすい性格の飼い主に飼われている犬は興奮しやすい、などという傾向が見られました。
犬と飼い主の顔の類似性に関する研究
ふたつ目は、犬と飼い主の顔の類似性に関する研究です。この研究はさまざまなところで行われていて、2009年には日本でも関西学院大学の心理学教授のもとで統計調査が行われました。
この研究では、犬と人の顔写真を別々に見せて、犬と飼い主のペアを言い当てるということが行われましたが、非常に高い正答率が見られました。
さらに、目や口など一部のパーツを隠した状態で、同じことをした場合、犬と飼い主の両目が見えている状態では、全顔が見えている状態に近い正答率が出ました。目が隠れた状態の写真を見たときは、正答率がかなり下がったことから、犬と飼い主の目元の特徴によって類似性を確認することができると考えられるようになりました。
このように、まことしやかに言われていた「犬は飼い主に似る」ということは、見た目においても性格においても、明確に実証されつつあるのです。
表情や体型が似る
犬と飼い主の見た目が似るということは、よく見られることだと言われています。
これにはいくつかの理由があり、そのひとつが元々親近感を持てる顔や見た目の犬を飼い主が選んで飼っているというものです。人は、見慣れたものに対して安心感や親近感を抱く傾向があるため、顔のつくりや表情が自分や家族に似た犬を自然と選んでいるということがあるのです。
また、犬は信頼している相手の表情をよく観察していて、それを真似ることがあるともいわれています。
もちろん、犬と人間では顔のパーツ自体に大きな違いがあるため、まったく同じ表情をできるわけではありませんが、笑顔を多く見せる飼い主の犬は穏やかな表情を、怒ってばかりいる飼い主の犬は険しい表情をする傾向があります。
性格や行動が似る
見た目だけでなく、性格や行動の傾向も犬と飼い主に類似性が見られることがあります。顔と同様に、自分の性格の傾向に似たタイプの犬を飼い始めるときに選んでいるということも考えられます。
具体的には、明るくアクティブな性格の人は元気いっぱいの犬を、穏やかな性格の人は落ち着いている犬を選ぶ傾向があるのです。これには、どのようなドッグライフを過ごしたいと考えているか、ということも影響しているでしょう。
また、長く一緒に生活をしているなかで、犬が持つ同調性が発揮されて性格や行動の傾向も似て来ることがあります。犬は群れの仲間やリーダーと同調することで、より良い関係性を築くことができると考えているため、本能的に飼い主にも同調することがあるのです。
さらに、同じ生活リズムで暮らし、同じ経験をすることで、状況に合わせた対応や行動も似てくることが考えられます。
まとめ
「犬と飼い主が似る」というのは、顔や体型などの見た目や性格、行動とさまざまな点において見られるものです。その理由は、人が自分に似た顔や性格の犬に対して安心感や親近感を感じることから、飼い始める時点でそうした犬を選んでいるということがあります。
また、犬が飼い主に同調することで、性格や行動が自然と似てくるということも考えられるでしょう。
つまり犬は、私たち飼い主のことを非常によく観察しているということです。そのような理由を含め、可愛い愛犬と似るというのはうれしいものですね♪