飼い犬に気分転換が必要な理由
犬が野生の環境で暮らしていたら、おそらく餌の確保と自分の身を守ることで精一杯になるでしょう。しかし、飼い犬の場合は食料も安全も確保されています。代わりに、彼らは「退屈」と戦っているともいえるかもしれません。
私達人間は、自らの意思で時や場所を選び、自分の気分転換を図って心身をリフレッシュします。しかし、自分の意思で自由に行動できない飼い犬達は、自分の思うように行動できないため、ある意味私達よりも強いストレスを抱えているといえるかもしれません。
飼い主さんの責任は、食事や住環境の整備と安全の確保、そして身体的な健康管理だけではありません。心の健康管理も、大切な責任なのです。
室内でも簡単にできるおすすめの気分転換方法
気分転換には、毎日行う小さなものと、たまに行う大きなものの2種類があります。小さな気分転換の代表例は、散歩です。大きな気分転換の例は、GW、夏季休暇、年末年始などの大型連休を利用して愛犬と一緒に出かける旅行や、アジリティへの挑戦などが挙げられます。
今回は、雨が降って外に散歩に行けない場合でも気軽に行えるという観点で、適度に体を動かしたり知恵を使ったりできる、室内での小さな気分転換の方法をご紹介します。
1.引っ張り合いっこ
引っ張り合いっこ用の、ロープ状やぬいぐるみなどの丈夫で長いおもちゃの片方を愛犬に咥えさせ、反対側を飼い主さんが握ってお互いに引っ張り合う遊びです。遊びながら、「ハナセ」や「チョウダイ」などのコマンドで咥えたものを離したり、人と一緒に遊ぶ時の力加減などを学習することもできます。
2.取ってこい
投げたボールを取ってこさせる遊びです。外で遊ぶ時と比べたら狭いスペースになるため、物足りなさを感じるかもしれませんが、すぐ近くに投げてキャッチさせたり、隣の部屋に投げて取りに行かせたりと、室内でも工夫次第で楽しく遊ばせることができます。
3.カップシャッフルゲーム
伏せた3個の紙コップの中の1つに、見えるようにおやつを隠します。そして愛犬の目の前でシャッフルし、どのカップにおやつが入っているかを当てさせるゲームです。うまく当てたら、隠していたおやつをご褒美として食べさせてあげるというルールにすると、真剣に参加してくれるでしょう。
4.ノーズワーク(宝探し)
市販のノーズワークマットや家具、文具などを上手に利用して、愛犬が見ていない時におやつを隠し、ニオイを嗅がせて隠したおやつを探させるゲームです。これも、うまく見つけられたらご褒美に見つけたおやつを食べられるというルールにすると良いでしょう。
バリエーションとして、おやつの代わりにおもちゃを隠し、ご褒美にそのおもちゃで一緒に遊ぶ、飼い主さんが隠れ、見つかったら一緒に遊ぶなどと、どんどん新しいルールをつくっていくのも楽しいでしょう。
5.室内アジリティ
小型犬であれば、室内の家具を少し寄せてスペースを作り出し、タオルやダンボール、トイレットペーパーなどの身近なものを利用して、簡易的なアジリティをするのも楽しいでしょう。飼い主さんが愛犬を上手に誘導してあげる必要がありますので、運動量はそれほどにはならないものの、愛犬との信頼の絆を深めるのにも役立つでしょう。
室内で気分転換をする場合の注意点
安全性の確保
気分転換のつもりでケガをしてしまっては元も子もないので、部屋の中を片付け余計なものや家具はできるだけ片側に寄せて、広いスペースを確保してから遊ぶようにしましょう。
またフローリングなどの滑りやすい床材の場合は、カーペットやマットを敷いて滑らないように環境を整えましょう。滑りやすい床は、ケガはもちろんですが、関節を傷めてしまう場合もあります。
遊ぶ時には必ずおもちゃを使うことで、人の手や足を噛ませないようにしましょう。その際、誤飲事故を防ぐために、飲み込めない大きさのおもちゃを選んだり、壊れそうなおもちゃは使わないようにするといった配慮も必要です。
おやつの使い方
ご褒美としてあげるおやつは、1回につき1粒ずつとし、最終的に1日の摂取総カロリーが必要カロリー数を上回らないように調整してください。遊びやしつけのためといっても、ご褒美のおやつをあげすぎてしまうと肥満になり、さまざまな病気を発症する原因になってしまいます。
上手なやめ方
おやつのあげすぎにも関係してきますが、気分転換の上手なやめ方にも工夫が必要です。1つの遊びを飽きるほど続けるのではなく、休憩をはさみながら遊びの種類を変え、愛犬がもうちょっと遊びたいと思う程度のところで切り上げることで、翌日も楽しく気分転換を図ることができるでしょう。
また、使ったおもちゃを回収して飼い主さんに引き渡すまでがワンセットです。使ったおもちゃを出し放しにしないようにしましょう。また前提として、日頃からきちんと基本的なしつけ・トレーニングをしておくことも大切です。「モッテコイ」「ハナセ」「チョウダイ」などのコマンドは、基本コマンドと一緒に普段からトレーニングしておきましょう。
まとめ
小型犬はもちろん大型犬でも、工夫をすれば室内でも体を動かしたり知恵を使ったりして、愛犬を心身共にリフレッシュさせることができます。毎日同じことの繰り返しではなく、常に新しい刺激を与えることで、愛犬は常に前向きで明るい気持ちを持ち続けることができるでしょう。
身体的な健康管理はもちろんですが、愛犬のメンタル面のケアも飼い主さんの責任の一つです。ちょっとした工夫で、雨の日でも楽しく手軽に愛犬を気分転換させてあげてください。