犬が寝起きに見せてくれる仕草の理由とは
朝目覚めた時に、なんだか頭がぼーっとしていて体も重く、なかなか起き上がれないことはありませんか。このように睡眠から覚醒した状態に切り替えられない、一過性のぼんやりとした状態のことを、「睡眠慣性」といいます。覚醒直後の認知機能はピーク時の65%程度で、徹夜明けの状態よりも低かったという実験結果も報告されています。
この現象が起きるのは、目覚めるときのタイミングが関係しているのだそうです。脳の活動が深い眠りの状態の時に目覚めると睡眠慣性が強く出て、脳の活動が浅い眠りの状態の時に目覚めれば、短時間で睡眠慣性から回復できるのだそうです。
これは犬も同じようで、よく寝起きに見せてくれる仕草や表情は、普段はあまり見かけることのない、我々飼い主の胸をキュンとさせるような愛おしすぎるものであることが多いのではないでしょうか。今回は、そのいくつかをご紹介しようと思います。
犬が寝起きによくする仕草
1.ぼーっとした表情で見つめる
寝起きの愛犬が、ぼーっとした無表情のまま視点がしっかりと定まっていない半開きの眼をこちらに向けていることがありませんか。焦点が定まっていないと分かっていても、こちらを向いていると、寝ぼけながらも頼られているような気がして、嬉しくなりますよね。
2.動きがフリーズする
一旦は確かに起きて何かをやろうとしていた様子なのですが、途中でピタッと動きがフリーズして固まってしまっている姿を見かけたことはありませんか。ハウスから体を半分ほど出した体勢のままとか、伸びをしようとしかけた体勢のままなどです。自分でも、何をしようとしていたのか忘れてしまっているのかもしれません。
3.心配になるほどの大あくび
まだまだ寝たりなかったのか、普段は見せない、あごがはずれるのではないかと心配してしまうほど大きなあくびをすることがあります。あくびで酸素をたっぷり取り込んだのか、なぜかその後にはくりっとした瞳がとても愛らしくて、飼い主の胸をキュンとさせる寝起き仕草の一つです。
4.凄すぎる寝癖
ずっと同じ姿勢で寝ていたのか、顔の毛が逆立っていたり、長い耳がひっくり返ったように反っていたりといったものすごい寝癖ができていることがありませんか。そんな状態でぼーっと見つめられたり、何かしかけている途中でフリーズしていたり、大あくびをされたりしたら、愛おしさ倍増です。
5.目隠しをしながらの二度寝
一度は起きたはずなのに、気が付いたら前足で自分の目を覆って目隠しをしながら、すやすやと二度寝をしている姿を見かけたことはありませんか。朝の光をはねのけて、「もう一度寝るんだ」という強い意志を感じます。
理由もなく熟睡している犬を起こさないで
自然に目覚めた場合は、脳の活動が浅い眠りの状態であることが多いらしく、愛犬も気持ちよく目覚め、睡眠慣性からもすぐに回復できることが多いようです。逆に、脳の活動が深い眠りの時に無理に起こされてしまうと、愛犬は強い睡眠慣性のため、気持ちよく目覚めることができないと思われます。愛犬が熟睡している時は、特別な理由がない限り、無理やり起こすようなことはしないであげましょう。
元々、犬は睡眠時間を長く必要としています。狩猟動物であるため、いざという時のために体力を温存する習性が残っているためです。私達人間と比べると十分に睡眠をとっているように見えても、無理やり起こしてしまうと、私達が思っている以上に強いストレスを与えてしまうことにもなりかねません。
愛犬の睡眠中は、安心してゆっくりと体を休められるように配慮してあげてください。
まとめ
犬は、私達の言葉を文章として理解することはできません。しかし、声のトーンや雰囲気、仕草などから私達の気持ちを汲み取る能力には長けています。どんなに寝起きの様子が可愛くても、それをからかって楽しむのは控えた方が良いでしょう。犬は、からかわれていることを理解し、私達が思っている以上にストレスに感じているようです。
また、寝起きの様子がどんなに可愛いくても、いきなり抱きついたりキスをしたりすることも避けましょう。寝起きのぼーっとした状態の時にいきなり拘束されることは、恐怖以外の何物でもないはずです。
飼い主さんの些細で軽はずみな行動が、愛犬に不信感を抱かせてしまうかもしれません。愛犬が可愛いからこそ、そういう瞬間はぐっとこらえて、やさしく見守ってあげるだけにしておきましょう。