犬が散歩中に負いやすいケガ
衣服や靴を身に着けない犬たちは、人が外を歩くよりずっと無防備です。そのため、外を散歩する際は様々なケガのリスクがあります。
1.肉球の擦り傷・切り傷
犬は靴を履きません。その代わり犬の足裏には、分厚い角質層と弾力成分に覆われた「肉球」があります。
肉球の角質層はとても厚いため熱を通しにくく傷もつきにくい性質があり、ざらざらしているため滑り止めの役割を持っています。また角質層の奥にある弾力成分はクッションの役割をもち、走ったりジャンプしたりする衝撃から関節を守ります。
肉球は表皮に比べるととても固く丈夫ですが、やはり皮膚の一部のためアスファルトでこすれてしまったり、固いもので傷ついたりすることがあります。
散歩のときに一番多いのが肉球のトラブルでしょう。勢いよく走ったり急ブレーキをかけたりすることを繰り返せば肉球に擦り傷ができることもありますし、ガラスや金属片などを踏みつけたりすることで肉球が切れて出血することもあります。
しかし犬たちは痛みに強い場合が多いので、肉球が擦れたり切れたりした程度なら声を上げないことがあります。そのため、散歩途中で歩き方がおかしいのでよく見たら道路に血が点々とついている、などということもありますので、散歩の時はよく観察してあげましょう。
2.肉球のやけど
擦り傷や切り傷以外に多いのが、肉球のやけどです。「散歩をしているだけでやけど?」とびっくりされる方も多いかもしれませんが、夏の太陽に照らされた地面は相当熱くなっています。一度外で靴を脱いで地面につけてみてください。熱さにびっくりすると思います。
日中の気温が30℃になるような天気の日であれば、黒っぽい色のアスファルトは熱を吸収してその表面温度がおよそ60℃になるといわれています。側溝のグレーチングやマンホールなどの金属であれば65℃程度にまで上がり、柔らかい砂に覆われた場所も70℃に達してしまうこともあるようです。
これではいくら肉球が熱を通しにくい角質層で覆われているとはいえ、中の組織に熱が伝わってやけどを負ってしまいます。
3.噛み傷
散歩の最中によその犬と会うこともありますね。初対面の犬やあまり仲が良くない犬同士では、挨拶を無理強いするとけんかになってしまうこともあるかもしれません。フレンドリーな犬同士であったり、すでに仲良しであっても、時にはお互いの機嫌がよくないこともあるでしょう。
飼い主同士が犬の様子を観察し不穏な気配があればすぐ引き離してあげれば、けんかにまで発展することはあまりありません。しかし何事も絶対ということはないので、不穏な気配を感じさせないうちに急にけんかを始めることもあるでしょう。
犬同士の喧嘩ですと、大抵は噛み傷が発生します。鋭利なもので切った傷と異なり、傷口はぎざぎざに裂けてしまうことが多いので治療にも時間がかかります。
飼い主が観察するべきポイント
まずは散歩のルートを確認しましょう。舗装されている道路であればケガをしそうなものが落ちていることも事前に見つけることができますし、でこぼこも比較的少ないので肉球を擦ったり切ったりするリスクは減ります。ただしアスファルトの熱には注意してください。
舗装されていない草むらや路肩については落ちているごみなどで足を切ってしまうこともあるため、歩いているときにしっかり地面を確認してあげることが大切です。歩き方がおかしいなと思ったらすぐに犬の足元を見てあげてください。
散歩の最中にほかの犬と会った際、仲良しであっても挨拶するときはいきなり近寄ったりせず、ゆっくりお互いの犬の気持ちに配慮して距離を縮めてあげましょう。
まとめ
今回は、散歩中にしやすいと言われているケガについてまとめてみました。
厚いソールの靴を履いている人間とは違い、犬の肉球は裸足も同然です。楽しいお散歩が痛い思い出などにならないように気を付けてあげてくださいね。