犬を多頭飼いすべきタイミングとは
多頭飼いをするには同時期に飼い始めるか、先住犬がいる上で新入り犬を迎え入れるべきか?その場合は先住犬が何歳ごろがいいのか…と悩む人が少なくありません。実際大多数の人は、先住犬がいる中で新入り犬を迎え入れていますが、その場合はやはり相性が気になるところではないでしょうか。
そしてそれは先住犬が子犬か老犬かで大きく異なり、新入りまたは先住犬のどちらかが保護犬である場合はさらに複雑な状況になりやすいです。また、犬の性別がオスかメスかでも関係性が異なるので、慎重に考えていただきたい問題ですね。
今回は、実際に多頭飼い経験のある人の意見を参考に、多頭飼いにおすすめのタイミングをご紹介します。
2匹同時
まずおすすめしたいのが、『複数の子犬を同時期に育て始める』という飼い方です。生後1年以内の犬で、同じ犬種の兄弟犬であればなおいっそう飼いやすいです。
「子犬がたくさん生まれてしまって困っている」という人から2匹同時に引き取った飼い主さんも多く、「最初はお世話が大変だけどじゃれ合って育ったおかげで仲良しになった」という意見はよく聞きます。
しかし、子犬のお世話というものはたった1匹でも大変です。生活の全般を子犬の世話に預けられる時間と心のゆとり、協力者の存在、そして経験値が求められるでしょう。初めて犬を飼う人や、小さなお子さまがいるご家庭はおすすめできません。
先住のメス犬が1歳を超えた頃
もし『先住犬がメス犬であれば、母性が芽生える頃』に子犬の新入り犬を迎えるのもおすすめです。1歳を過ぎたメス犬は、自分の子供でなくても世話をやいてくれることがあります。
ただし、必ずしも世話をするとは限らず、犬によるともいえるので絶対ではありません。そして、新入り犬は「子犬」であることが条件ですが、メス犬を飼育している人はぜひ検討してみましょう。
先住犬が2歳以上の成犬になった時期
『先住犬が成犬になったあたりの時期』も、多頭飼いにおすすめのタイミングです。やんちゃな時期を少しすぎて、しつけも定着した成犬の時期であれば、飼い主さんも新入り犬を迎える余裕がもてるでしょう。
成犬といってもまだまだパワー全開な先住犬なら、新入り犬と楽しくかつリーダーとして引っ張ってくれる可能性が高いです。ただし、先住犬がオス犬である場合は注意が必要です。
新入り犬が子犬であっても、強いヤキモチや警戒心を持ってしまうことがあります。もしその可能性を感じる場合は、もう少し落ち着いた頃まで時期を待つべきかもしれません。
先住犬がシニア期
犬との生活がすっかり落ち着いた『シニア期』も、多頭飼いにおすすめのタイミングです。犬1匹でのんびりと暮らす生活もいいですが、新入り犬を迎え入れることで新しい刺激になり、犬の認知症予防にもつながります。
多感な成犬よりも受け入れてもらいやすいですが、年齢を重ねた犬に新しい生活をさせるにはいくつか注意しなければなりません。また、新入り犬は成犬よりもやはり子犬の方がスムーズにいきやすいです。
多頭飼いをする際の注意点
多頭飼いは簡単にうまくいく場合もありますが、相性によってはトラブルになることもあります。
初めて多頭飼いをする人は、次の注意点をぜひ忘れずに検討してください。
先住犬の性格をよく考える
犬の性格によって、多頭飼いに対して向き・不向きがどうしても出てきます。普段から社交的なタイプの犬の方が多頭飼いがスムーズにいきやすいですが、警戒心が強かったりわがままタイプだったりする犬は難航しやすいです。
少しづつ時間をかけて性格を直したり多頭飼いに慣らすことはもちろんできます。しかし、先住犬にとって多頭飼いが負担になるケースがあるので、十分考慮する必要があるでしょう。
先住犬を優先する
新入り犬を迎え入れる際に決して忘れてはならないのが、「先住犬を優先する」ということです。ここが多頭飼いの成功のカギともいえるほど大きな影響を与えます。
つい新入り犬をかまってしまいがちですが、群れで暮らしていたルーツをもつ犬にとって優先順位は非常に大きなことです。新入り犬ばかりを可愛がると、先住犬はジェラシーと劣等感をもってしまい、そこからイジメや反抗的な態度がはじまってしまうでしょう。
声をかけるのも食事も散歩も先住犬から行うことで大きな安心感を与え、新入り犬には2番目であることを自覚させることができます。順位がわかると先住犬は新入り犬に対していろいろなことを教えるようになるので、飼い主さんは群れのリーダーになって率先していきましょう。
シニア犬と子犬の組み合わせの場合
シニア期を迎えた先住犬と子犬の新入り犬のコンビはうまくいきやすいですが、2匹の生活がまったく異なることをあらかじめ理解しておきましょう。体力が衰えているシニア犬にとって、元気にはしゃぐ子犬は刺激が強すぎるものです。シニア犬が疲れ過ぎないように十分な配慮をしながら、子犬の成長を見守る気持ちが大切です。
保護犬は心の余裕をもつ
最近は多くの保護犬の引き取り手が求められているため、すでに先住犬がいる人も迎え入れを検討するケースが増えています。ただ、保護犬は育った環境によって強い警戒心や心の傷を負っていることもあるため、十分な時間と静かに過ごせる環境を与えなければなりません。
また、先住犬が元保護犬の場合も慎重になるべきです。ようやく生活に慣れた頃に新入り犬を迎え入れると大きなストレスになり、飼い主に対して不信感を抱く可能性もあります。
犬にとって幸せな生活とは何か十分に考慮を行い、十分な時間を確保できる状態で多頭飼育を検討してください。
異なる犬種の場合
犬種が同じ方が、どちらかといえば多頭飼いはスムーズにいきやすいです。ただこれは、犬のサイズや性格の傾向による意見でしかありません。
その犬がフレンドリーであれば犬種を越えて仲良くしやすく、警戒心が強い犬は多頭飼いがむずかしくなりやすいということです。犬同士の相性が大きく影響するので、それぞれの性格をよく観察してから多頭飼育を考えた方がいいですね。
まとめ
たくさんの犬に囲まれた生活は、犬好きの人にとってこれ以上ない幸せかもしれません。ただ、多頭飼いは一筋縄ではいかないことが多いため、ある程度の経験と時間が求められます。
これから新入り犬を迎え入れようと考えている方は、先住犬のタイプをよく見極めた方がいいでしょう。
もし迷う場合は、かかりつけの獣医師やドッグトレーナーなどの専門家に一度相談してみることをおすすめします。