そもそもクーラー病って?
人間でも、夏場にクーラーの効いた部屋にいることで体調が悪くなることを「クーラー病」や「冷房病」と呼びますよね。「クーラー病」とは言っても「糖尿病」などとは違い、正式な疾患名ではありません。
クーラーの効いた涼しい部屋と外気温の温度差によって自律神経が乱れたり、いわゆる「冷え」によって血流が悪くなったりして起こるさまざまな体調不良を、通称「クーラー病」と呼んでいるのです。
この「クーラー病」による体調不良は人間に限らず、わんこでも起こることがわかってきました。
要注意!わんこのクーラー病症状
クーラーが効いた部屋に長くいるわんこに下記のような症状が見られた場合、クーラー病が疑われます。
1.咳
自律神経の乱れと合わせ、クーラーの風による乾燥から咳が増える場合があります。長引くと呼吸器系に深刻なダメージを与えることも否定できませんので、気温だけでなく湿度の管理にも気を配りましょう。
2.鼻水・くしゃみ
一見すると風邪のような症状のため「クーラーで冷えて風邪を引いちゃったかな?」と思いがちですが、これらの症状は自律神経の乱れから来る場合もあります。自律神経の乱れが原因の鼻水・くしゃみの場合は、鼻の粘膜が過剰反応を起こしていることが原因だと考えられます。
3.食欲不振
夏場に食欲がないと暑さによる夏バテを疑うかもしれません。ですが普段あまり暑い環境になく、クーラーの効いた部屋で生活しているなら、それは逆に冷えや自律神経の乱れで消化器官の働きが落ちているせいかもしれません。
4.嘔吐・下痢
消化器官の働きが悪くなることから、嘔吐や下痢の症状も現れやすくなります。あまり長く続くようだと脱水症状を起こしてしまうので注意が必要です。
5.元気がない
クーラーの中にずっといると「何となく体がだるい」と感じることはありませんか?これはわんこも同じ。自律神経の乱れで疲れを感じやすくなるのです。
クーラー病の予防法
1.設定温度を低くしすぎない
わんこがいる部屋のクーラーの設定温度は26度前後が適温と言われています。「26度じゃ暑すぎない?」「寒い分にはいいのでは」と設定温度を下げたくなるかもしれませんが、外気温との差が大きくなればなるほどクーラー病のリスクも上がります。愛犬の様子を見て、ハッハッと激しく息が上がっている状態でなければ問題ありません。
2.クーラーを頼りすぎない
クーラー病の予防法はとにかく「クーラーに依存しすぎないこと」です。室内で放し飼いにしている場合、愛犬の暑い日の過ごし方を見ていると、案外クーラーの効いた部屋にばかりいないという子も多くはないでしょうか?
わんこは家の中でどこが一番快適なのかをよく知っています。実はクーラーに頼らなくても自力で快適な場所を見つけていて、そこで暑さをやり過ごしているということもあるのです。「今日は暑いからクーラーをかけなきゃ!」と飼い主さんは思いがちですが、実はクーラーなしでもやっていけるのかもしれません。
とはいえ、暑さに弱い犬種や高齢のわんこの場合には体温調節が上手にできないこともあり熱中症を起こしてしまうこともあるので、そこはしっかり見極めてあげる必要がありますよ。
3.クーラーの部屋からの逃げ道を作っておく
仕事や学校のために日中わんこをひとりでお留守番させているという場合、クーラーをつけっぱなしにして出かけているという家庭も少なくないでしょう。
特に猛暑日が予想されているような場合であれば、それは当然の処置であり、逆にクーラーをかけずに締め切った部屋でお留守番をさせていたら、熱中症のリスクが一気に高まるのは必然です。
ですがそういった場合には、クーラーの効いた部屋と効いていない部屋を行き来できるような工夫や、クーラーの風を遮ることができるような逃げ場を設けておくことが必要です。わんこがクーラーの風を不快だなと感じたときに自分で対処できるようにしておいてあげましょう。
まとめ
いかがでしょうか?こうして読んでいると「クーラー病は怖いから、クーラーの使用は控えよう!」と思ってしまうかもしれませんが、ちょっと待って。クーラー病は確かに心配ではありますが、命にまで関わることはまれです。
それよりも、クーラーの使用をむやみに控えたことで熱中症になってしまうことの方がよほど致命的なリスクになりえます。クーラーの使いすぎによるリスクをしっかり把握したうえで、上手にクーラーを使用することが暑い夏を愛犬と元気に乗り切るための秘訣なのです。