ホリホリと呼ばれる穴掘り行動は犬の習性
愛犬をご自宅の庭で自由に遊ばせていたら、このようなことはないでしょうか。
- 愛犬に庭中に穴を掘られてしまい、せっかくきれいに作った花壇が台無しにされてしまった
- 愛犬がソファを掘るようなホリホリする仕草を繰り返すため、生地が破れそうなほど薄くなってしまった
このような犬のホリホリでお困りの飼い主さんは、少なくないようです。
では、犬がよく見せるこのような穴掘り行動やホリホリする仕草には、どういう意味があるのでしょうか。
実際に庭に穴を掘っている場合はまだ理解できますが、掘ることのできないフローリングの床やソファ、クッションなどに対しても、いつまでもホリホリし続けてなかなかやめない犬が多いのは、なぜでしょうか。
今回は、なかなか犬がホリホリをやめない理由や心理、対策について考えていきたいと思います。
犬がホリホリをなかなかやめない理由
1.快適な寝床づくり
犬の祖先やイヌ科の野生動物は、巣穴を掘って寝床にしていました。そのため、人と一緒に暮らしている犬達も、自分の寝床や休憩場所を、より快適な居心地にしようとして、ホリホリしていると考えられています。
しかし実際には穴が掘れない場所に対してホリホリしていることが多いため、思うように寝床の居心地が改善されずに、いつまでもホリホリをやめようとしないのだろうと考えられます。
このような場合は、寝床の固さやニオイを調整するなどして、愛犬が気に入って安心して使えるように配慮してあげましょう。
2.大切なものを隠す
犬達には、お気に入りのおもちゃや大切なおやつを掘った穴の中に隠しておき、後でじっくりと楽しもうとする習性があります。
この場合も、おもちゃやおやつを隠せるような状態にならないと、いつまでもホリホリをやめられなくなるのだろうと考えられます。
お気に入りのタオルや毛布等を用意して、おもちゃ等を隠せるようにしてあげましょう。ただし、時々予想外のものまで隠していないか確認することが必要です。
3.狩猟本能
テリアやダックスフンドは、アナグマなどの小型獣の狩猟犬として品種改良されてきました。地中にある巣穴に逃げ込んだアナグマを追って巣穴に入り込み、追い出す役割を担っています。
そのため、これらの犬種は、土の中から獲物や生き物(食べ物)のニオイがすると本能的に狩猟モードのスイッチが入り、穴掘りを始めることがあります。そしてそのまま穴を掘ること自体が楽しくなってしまい、なかなかやめられなくなることがあるようです。
このような場合は名前を読んだり、「マテ」「オスワリ」などのコマンドを発してホリホリ動作から注意を反らしてあげましょう。一旦気持ちを反らしてから遊んであげれば、愛犬の気持ちを狩猟モードから遊んで楽しいモードに切り替えてあげられるでしょう。
4.ストレスや常同障害
長期間強いストレスを抱えてしまうと、犬はそのストレスから解放されるためにホリホリする行動を繰り返すことがあります。
その状態がさらに進むと、「常同障害」と呼ばれる無意味な行動をいつまでも繰り返すような心の病気を発症することがあります。その結果、ホリホリする行動をやめることができなくなってしまいます。
この場合は、犬自身が爪や指を痛めてしまうかもしれないということもあり、やめさせた方が良い状態です。
ホリホリする行動が数十分以上続いており、飼い主さんが声を掛けても何も聞こえないように一点を見つめたまま、一心不乱に掘り続けている場合は、明らかに異常な状態です。すぐに動物病院で見てもらうことをおすすめします。その際、行動治療の専門医がいる病院だと安心です。
まとめ
愛犬がストレスや心の病気でホリホリをやめられなくなっている場合は別として、基本的にホリホリする穴掘り行動は、犬が本来持っている自然な行動なので、やめさせることはできません。
しかし、実際に花壇を台無しにしてしまう、ソファやクッションをボロボロにしてしまうといった実害が生じている場合は、愛犬にストレスをかけることなく、実害を回避しなければなりません。
そのための施策としては、「やめさせる」のではなく「やっても良い場所を作る」ことがポイントです。
庭の一部とか、ボロボロになっても良い毛布などを提供して、そこで飼い主さんが愛犬にホリホリする行動を誘導し、褒めるといったことを繰り返すことで、ホリホリしても良い場所でしかホリホリしないようになるでしょう。