新しいタイプのドッグスポーツ
元気に遊ぶことが大好きでエネルギーを持て余している愛犬と暮らしている方、何かドッグスポーツを始めてみたいと思っているけれど自分自身の体力に自信がないという方、そんな飼い主さんにぴったりのドッグスポーツがあります。
スポーツの名は『トライボール』と言います。2005年にドイツで生まれたスポーツで、トライはドイツ語のTreibです。英語ではドライブボールやプッシュボールという名で呼ばれることもあります。
その名の通りボールを使った競技なのですが、具体的にはどのようなものなのでしょうか?
犬も人も幅広い層が安全に楽しめる!
トライボールで使用されるのは、人間用のバランスボールと呼ばれる軽くて大きいボールです。あの大きなバランスボールをフィールドにいくつか並べて、ハンドラーが少し離れた場所から犬に指示を出してバランスボールを囲いの中に移動させるというものです。
ちょうど羊のハーディングをボールを使って行うというイメージです。犬たちは鼻先でボールを転がして囲いの中に集めます。ボーダーコリーなどのハーディングタイプの犬にピッタリの競技ですが、どんな犬種の犬でも楽しむことができます。
また速く走ったりジャンプすることがないので幅広い年齢層の犬が参加でき、ハンドラーの身体的負担もほとんどないため、人間も犬と同様に幅広い層の人が楽しめます。
こちらはアメリカのトライボール愛好家協会が公開しているトレーニングの動画です。
犬の心と身体両方への刺激になる競技
この競技は、2005年にドイツでオランダ人ドッグトレーナーのナイボア氏によって考案されました。ナイボア氏はハーディングのトレーニングを終えた後に、犬たちがゴム製の水ボウルを鼻先で押して遊んでいるのを見かけました。それをきっかけに大きなバランスボールを与えてみたところ、犬たちはすぐにボールに馴染んだのだそうです。
この競技はすぐにヨーロッパで人気となり、2007年にはスウエーデンで国際大会が開催されました。競技はアメリカにも伝わり2010年には全米の愛好家協会が発足しました。
トライボールはただ単に犬がボールで自由に遊ぶだけでなく、ボールの転がり方によってハンドラーが犬に的確に指示を出す必要があり、ハンドラーと犬の両方が自分の位置を調整しながら協力し合う必要があります。単純な運動と違って問題解決のための思考が必要なので犬にとって心身両方の刺激になります。
全米トライボール愛好家協会は、犬と人間の関係をより良くするための犬に優しいトレーニング方法を推奨しています。最初からいきなりボールを与えるのではなく、最初はボールのそばで基本的な動作を身につけ、次にボールの扱いなど基本的な技術を学んでいきます。すべてのトレーニングはトリーツを使った報酬ベースで行います。
日本ではまだ知名度の低い競技ですが、興味のある方は犬への報酬ベース方式を取り入れているドッグスポーツのトレーナーに相談してみることをお勧めします。上にリンクを貼った動画チャンネルでは初期段階からのトレーニング方法についての動画もたくさん公開されているので、トレーナーに相談する際の参考になるかと思います。
まとめ
2005年にドイツで生まれた、バランスボールを使ったドッグスポーツ『トライボール』をご紹介しました。
イギリスの諺で「A Tired Dog is a Good Dog 疲れた犬はいい犬だ」という言葉があります。元々は、疲れるほど働くのは良い犬だという意味があったのでしょうが、頭と体をバランス良く使って疲れた犬は家に戻って食事をすると丸くなって眠り、イタズラなどする暇もありませんから間違いなく良い犬です。
トライボールは現代の犬が安全に頭と体をバランス良く使う方法のひとつです。この競技自体には興味がなくても、「うちの子は頭脳と心と身体が良い刺激を受けているかな?」と考えるきっかけになれば幸いです。
《参考URL》
https://www.nationaltreibball.com
https://www.thewildest.com/dog-lifestyle/treibball?utm_medium=social-organic&utm_source=tw&utm_campaign=evergreen