1.かまってもらえなくなるという不安
人間と一緒に生活をしている犬は、その生活をすべて人間に委ねることになります。そのため、コミュニケーションの時間が少なくなったときなどは、漠然とした不安を感じるようになる可能性があります。それは「このままかまってもらえなくなるのではないか」「捨てられるのではないか」というような、放置されることへの不安です。
飼い主さんと離れて過ごすことに慣れていない犬が、突然長時間の留守番をさせられたときにそのような不安を抱えることは少なくありません。そのため、「コミュニケーションを取る時間」と「お互いにひとりで過ごす時間」を、日頃からバランスよくつくることが大切です。
また、過去に飼育放棄された犬の場合は、特にこうした不安を感じやすいので適切なケアが必要です。犬が完全に飼い主さんを信用できるようになるまで、根気よく接しなければなりません。
2.怖いことが起こるのではないかという不安
犬は様々な感覚が優れているうえに、動物としての防衛本能を持っているため、周囲の様子の変化に敏感です。そのため、いつもと違うことがあると、「何か怖いことが起こるのでは?」といった不安を感じることがあります。
大きな音が苦手な犬は花火や雷に対して不安を感じますし、何が起きているのかわからない地震に不安を感じる犬もいます。家の近くで始まった工事の音に不安を感じることもあるでしょう。
こうした状況の変化は、人間社会の中ではめずらしくないことです。このようなときも必要以上に不安がることなく、落ち着いて過ごせるように、小さな頃から社会化を行って多くの経験をさせて自信をつけさせることが大切です。
犬が不安を感じているときの仕草や行動
吠える、鳴くことが増える
普段はあまり吠えない犬が室内でうるさく吠えるようになったり、クンクンと鳴きながら歩き回ったりする様子が見られたら、精神的に不安定になっている可能性があります。寂しさや不安を感じて鳴いていたり、強いストレスを感じてその発散のために吠えたり、というようなことは珍しくありません。
愛犬にこのような行動が見られるようになったら、不安やストレスを感じている様子はないか、生活を見直して確認するようにしましょう。
トイレの失敗が増える
犬の不安が強くなると、様々な行動の変化が見られます。その中のひとつに「これまでできていたことができなくなる」といったものがあります。特に目立つのが、トイレの失敗や家具などの破壊行為です。
子犬の頃は、こうした行動をすることが多いものの、次第に落ち着いていくことがほとんどです。しかし、成犬になってからこれらが急に増えた場合は、不安やストレスを抱えている可能性が考えられます。
自分の足や体をしつこく舐める
犬は強い不安やストレスを感じたとき、自分の前足を舐めたり尻尾をかじったりする行動を見せます。一時的に舐めたり噛んだりしているだけなら問題ありませんが、長い時間続けると皮膚が炎症を起こしたり出血したりすることもあるので、このような事態にならないように早めのストレスケアをすることが必要です。
犬が不安を解消するためにできること
スキンシップの時間を増やす
愛犬の不安を解消するために、手軽でありながら効果的だとされているのがスキンシップです。多くの犬は飼い主さんのそばにいることで落ち着きますし、実際に触れ合うことや目を合わせることでより一層安心感を感じられます。
犬がスキンシップやアイコンタクトを求めてくるときは不安を感じているときかもしれないので、できるだけ受け入れてあげてくださいね。
体を動かす時間を増やす
犬が不安を感じている時間が長くなると、ストレスになり、うつ状態に陥ってしまうこともあります。そのようなことを防ぐためには、外に出て体を動かすことが効果的です。日光を浴びて運動をすることは、動物が健全な心身を保つために絶対的に必要なことだとされています。
また、おもちゃでひっぱりっこをしたり、ボール投げをしたりと、犬の本能的な欲求を満たすような運動をさせることは、不安やストレスを解消するのに役立ちます。
安心して過ごせる場所をつくる
家の中で犬が安心して過ごせる場所をつくってあげることも大切です。家族と一緒に過ごすことも幸せなことですが、ひとりで静かに過ごせる場所を用意してあげることも犬の精神を安定させるために必要なことだと考えられています。
まとめ
犬はとても繊細な動物で、周囲の様子や飼い主さんの行動を見て、不安やストレスを感じることがあります。
愛犬が不安になっていることに気がついたときは、この記事で紹介したことを参考にして、安心して過ごせるようなケアをしてあげましょう。