抱っこが苦手な犬は多い
犬は飼い主さんとのスキンシップを好む動物ですが、抱っこに対しては苦手意識を持っている犬が少なくないようです。
人間が立った状態で抱っこをすると、犬にとっては高い位置に抱え上げられることになりますし、安定感のない抱き方をされると体に痛みを感じたり、「落ちるのでは?」と不安になったりします。
実際、海外の大学で行われた研究では、『抱っこをされた犬の80%以上が不安やストレスを示す仕草を見せた』という結果も出ています。
とは言え、犬と生活していると抱っこが必要になる場面もあるでしょう。犬の安全を確保したり、移動したりするときに抱っこをすることもあると思うので、そのようなシーンで犬が安心して身を任せられる安全な抱っこができるように、正しい抱っこの仕方を確認しておきましょう。
正しい抱っこの仕方
座った状態での抱っこから慣らす
抱っこそのものに慣れていない犬の場合、高い場所に持ち上げられること自体に不安を感じてしまいます。そのため、抱き上げられると飼い主さんから逃れようとして、暴れることもあると思います。
誤って落として、抱っこに対してさらに恐怖心を持たれてしまわないように、抱っこに不慣れな犬は飼い主さんが座った状態で抱くことから慣らしましょう。
正しい抱っこの手順
- 突然抱き上げると犬は驚いてしまうので、犬に近づいて軽くなでてあげましょう。その後、犬の体の横に自分の体を密着させるようにして脇の下に腕を差し入れます。
- 体を密着させたまま、わきの下に差し入れた腕を体の反対側まで回し、腕と手のひらで支えて、さらに密着するようにします。
- 反対の手は犬のお尻から下腹部を支えます。外側から飼い主さんの体に向かって犬を押し付けるようにして体を安定させます。
- 犬の胸から上、お腹から下をそれぞれの手で支えるように持ち、犬が落ち着くまで待ってあげてください。
NGな犬の抱っこの仕方
体を立てる
人間の赤ちゃんの場合、頭を上にして体を立てるように抱くことが多いと思います。犬の場合も同じように、腰で座るように体を立てて抱いている人がいますが、これはNGです。
そのような直立姿勢を長時間とらせてしまうと、犬の背骨や腰付近に負担がかかってしまい、ヘルニアなどを発症する可能性があります。特に、ダックスフンドやコーギーのような胴長犬種の場合はそのリスクが高いので、抱っこのときは必ず横向きに抱くようにしてください。
後ろ足を支えない
小型犬の場合など、犬の足が宙ぶらりんになるような抱き方をする人がいますが、こちらも注意が必要です。わきの下に両手を入れて足を支えずに抱っこすると、犬はとても不安になりますし、足腰に負担がかかります。
また、体が軽い犬の場合、前足を引っ張るようにして抱き上げることもあるようですが、これは足の関節を痛めたり、脱臼させたりする可能性があるので絶対にやめてください。
まとめ
犬を抱っこすることは、スキンシップでもあり、生活する中での安全確保のために必要な手段でもあります。しかし、間違った抱っこの仕方をすると、犬を不安にさせたり、怪我を招いてしまったりする恐れがあることも覚えておきましょう。
正しい抱っこの仕方を確認し、犬が安心して身を任せられるような接し方をしてあげてくださいね。