果たして犬は飼い主を慰めようとしているのか
犬と一緒に暮らしていると、その存在に癒やされることが多いと感じている飼い主さんは大勢いらっしゃいます。そして、悲しいとか落ち込んでいるといったような、ネガティブな感情の時に、愛犬から慰められたという経験を持つ飼い主さんも多いといわれています。
実際のところ、犬に他者を慰めようとする感覚があるのかどうかについては、現時点では明確なことが解明されていはいません。
ただ、犬は他者に共感する力を持ち、飼い主さんの様子がいつもと違っていると遠くから静かに見守ったり、あるいは積極的に「落ち着いて」というサインを出したりする行動が多く見られる、と言われています。
またある研究では、『犬にはネガティブな感情の人に積極的に近付いて行く傾向があり、かつ側で服従の姿勢を取ることが多かった』という報告もされています。
犬が人と同じ感情を感じ取っているのかどうかは分かりません。しかし、いつもとは違うという変化を感じ取り、過去の経験から、飼い主さんがポジティブな感情になるような行動をとっているのではないかということは、十分に考えられることです。
今回は、愛犬が飼い主さんを慰めているときに見せる行動について、ご紹介します。
犬が飼い主を慰めている時に見せる行動
1.静かに側に寄り添う
犬が飼い主さんを慰めているときに最もよく見せる行動が、「飼い主さんの側に静かに寄り添ってくれる」という行動です。
特に何もしてくれなくても、ただ静かに、そしていつまでも側に寄り添ってくれることで、飼い主さんは愛犬のぬくもりを直接感じ、少しずつ気持ちが穏やかになっていくという経験をしたことがあるのではないでしょうか。
中には、飼い主さんの体に自分の前脚を乗せたり、鼻先を近付けたり、小さくて優しい声でクンクンと話しかけるように鳴いたりする場合もあるでしょう。いずれの場合も、愛犬が飼い主さんのことを心配して、慰めてくれているように感じられる行動です。
2.流している涙を舐める
飼い主さんが涙を流している時には、流れる涙をそっと舐めてくれることもあります。愛犬のこのような行動も、経験したことのある飼い主さんが多いと思われます。普段は飼い主さんの方が愛犬の母親のような存在だとしても、この時ばかりは、飼い主さんが愛犬に身を委ねて、甘える気持ちになってしまうことでしょう。
3.遊ぼうと誘ってくる
中には、いつも飼い主さんと一緒に遊んでいるおもちゃを持ってきて、必死に遊びに誘ってくれる子もいるようです。その様子は、「ほら、いつもみたいに一緒に遊んで元気だそうよ!」と言われているようです。
こんな時は、無理をしてでも愛犬と一緒に遊ぶことで、本当に気分転換することができるかもしれません。遊ぶ気持ちになれなかったとしても、愛犬の優しい行動に、優しい言葉で応えてあげてください。
まとめ
今回は、飼い主さんが悲しんだり落ち込んだりした、ネガティブな感情の時に愛犬が見せてくれる、慰めるような行動をご紹介しました。もちろん、よく見られる代表的な行動に限定してご紹介していますので、愛犬なりに知恵を絞り、他の行動を見せる犬もいると思います。
犬には学習能力があり、過去の経験を活かして、「こうすれば飼い主さんが喜んでくれる」「笑顔になってくれる」という行動を、自分の意思で行ってくれます。
愛犬の慰める行動の目的が、本当に慰めるための行動なのか、それとも興味本位や好奇心から出た行動なのかは、議論の分かれるところです。しかし、愛犬が自分の過去の経験を紐解き、飼い主さんが喜んでくれるようにという思いから出た行動であると考えても、大きく間違ってはいないでしょう。
こんな時は、愛犬の気持ちを素直に受け取り、思いっきり甘えてみてもよいのではないでしょうか。