1.お尻にかゆみや違和感を感じている
犬がお尻を床にこすりつけるようにして、ずりずりと引きずりながら移動することを「お尻歩き」と呼びますが、そのような仕草をしているとき、多くの場合お尻にかゆみや違和感を感じている可能性があります。
体にかゆみを感じた場合、犬は前足や後ろ足を使って掻いたり、届かない場所は体を床や壁にこすりつけたりします。お尻の場合は掻くことができないので、床にこすりつけてかゆみを取ろうとするのです。一時的なかゆみや違和感であれば、少しお尻歩きをすることでそれが解消されて、お尻歩き自体もすぐにしなくなると思います。
散歩のときに肛門付近に草などが当たったり、お尻付近を虫に刺されたりとお尻がかゆくなる原因は様々です。また、乾燥が原因でかゆくなっていたり、排泄後にティッシュなどでお尻を拭かれたときに刺激や違和感を感じたりすることもあるでしょう。
さらに、トリミングでカットをした直後は、毛先が丸くなっておらず触るとチクチクと感じることがあるので、それが肛門に当たってかゆくなってしまうこともあるようです。
また、排泄直後にお尻歩きをしている場合は、うんちがすっきりと出切っていないような気持ちの悪さを感じていることもあります。そのような違和感、不快感を解消するために床にお尻をこすりつけることがあるので、排泄後に軽くお尻をチェックしてあげたり、ウェットティッシュなどで優しく拭ってあげるといいでしょう。
2.肛門腺に分泌液が溜まっている
犬がお尻歩きをしている理由として、肛門部分にある肛門腺という機能に分泌液が溜まりすぎてしまっているということも考えられます。この分泌液が溜まると、お尻に違和感や不快感を感じるようになるため、それを解消するためにお尻を固いところにこすりつけるのです。
肛門腺に溜まった分泌液は、多くの場合うんちをするときに一緒に排出されます。踏ん張ってお尻に力を入れたときに、お尻の穴の左右にある肛門腺から分泌液が絞り出されるのですが、小型犬や子犬、老犬のように踏ん張る力が弱い犬の場合はうまく分泌物が排出されないこともあります。そのような場合、溜まり続けてお尻に不快感を感じるだけでなく、炎症を起こしてしまったり、肛門腺が破裂して皮膚に穴が開いてしまうこともあります。
そのため、トリミングサロンや動物病院で定期的に肛門腺絞りというケアをすることが勧められており、家庭でシャンプーを行っている場合も1ヶ月に1回程度行うといいとされています。犬がお尻歩きを頻繁に行っているようであれば、一度肛門腺絞りをしてあげるとすっきりして落ち着くこともあります。
3.肛門まわりの疾患やトラブルが起きている
お尻歩きをする直接的な理由は、お尻に痛みやかゆみ、不快感などを感じていることですが、その原因が一時的な違和感ではない場合もあります。
一時的にかゆいだけであれば、1~2回お尻歩きをすれば解消しますし、肛門腺の分泌液が溜まって不快な場合は肛門腺絞りをすれば解決するでしょう。しかし、肛門腺がすでに炎症を起こしてしまっていたり、肛門付近に腫瘍ができていたりといった疾患やトラブルが原因の場合は、適切な治療を必要とします。
また、お腹の中に回虫や条虫、線虫などの寄生虫がいる場合、排泄時などにお尻から虫が出てくることがあり、それに違和感を感じている可能性もあります。これらの場合、目視でも確認できるのでお尻を気にする様子が見られたら、一度チェックしてあげるといいでしょう。
まとめ
犬がお尻を引きずるようにして歩いているときは、お尻自体に何らかの違和感を感じていることが考えられます。肛門に傷がついて痛みを感じていたり、肛門嚢が溜まって不快感を感じたり、うんちがしっかり出切っていなかったりといったことはよく見られる理由です。
このような理由でお尻歩きをしているときは、それ以外にもお尻付近を気にするような素振りを見せることが多くあります。自分のお尻を舐めていたり、お尻を気にするように何度も振り返ったり、歩きはじめてもすぐに座り込んだりするときは、痛みや違和感、不快感などを感じている可能性があるので、しっかり観察してあげてください。
犬がお尻歩きをくり返すときは、お尻付近にトラブルがないか確認し、異変が見当たらないにもかかわらずお尻歩きが続くなら、一度動物病院で診てもらうといいでしょう。