犬はどのくらいおしっこを我慢できるの?
犬が1日にするおしっこの量は個体差がありますが、体重1kgにつき20〜40mlが目安となっています。そして1日にするおしっこの回数は、子犬で7〜10回、成犬で3〜5回、老犬で5〜6回くらいと言われています。
これもやはり個体差があり、朝晩の散歩の時にしかおしっこをしない犬も少なくありません。1日に2回しかおしっこをしないなんて人間では考えられませんが、一体犬はどのくらいおしっこを我慢できるのでしょうか?
子犬のうちはおしっこを我慢できる時間が短く、月齢プラス1時間と言われています。月齢3ヵ月の子犬なら、4時間程度おしっこを我慢できるということになります。
成犬になると12時間くらいおしっこを我慢できると言われていますが、全ての成犬が12時間我慢できるわけではありません。犬の年齢や体質、飲水量、体調、服用している薬、生活習慣などによって、おしっこを我慢できる時間は異なるのです。
おしっこには、体の中の毒素や老廃物を体の外に排出する役割があります。そのため犬が12時間おしっこを我慢できるとしても、長い時間我慢するのは体によくありません。
犬がおしっこを我慢してしまう理由として、次のようなことが挙げられます。
- 環境の変化
- トイレを失敗して叱られた経験がある
- トイレやトイレシートが汚れているのが嫌
- トイレが落ち着かない場所にある
- 散歩の時に排泄するのが習慣になっている
犬がおしっこを我慢している時に見せる仕草や行動は?
おしっこを我慢するのは体によくないため、もし愛犬がおしっこを我慢しているのなら、そのサインに早く気づいてあげたいものです。犬がおしっこを我慢している時、どのような仕草や行動を見せるのでしょうか?
1.落ち着きがなくなる
人はおしっこを我慢していると、モジモジしてしまいます。おしっこを我慢しながらトイレの順番を待っている間、小刻みにステップを踏んだりします。こうして気を紛らわせているのです。
犬もおしっこを我慢している時、床のにおいを嗅ぎ回ったり、同じ場所を行ったり来たりするなどして、落ち着きがなくなることがあります。人と同じように気を紛らわせているか、おしっこできる場所を探しているのでしょう。
もしかするとトイレが汚れているのが嫌だったり、トイレの場所が分からなかったりして、おしっこをしたいのにできない状況なのかもしれません。
そろそろおしっこかな、というタイミングの時に愛犬がなかなか落ち着かない場合は、トイレの汚れをチェックしたり、トイレに誘導したりしてみましょう。おしっこがしてあるトイレシーツを嫌がって、そこにはおしっこをしない犬は少なくありません。
2.外に出たがる
散歩の時に排泄するのが習慣になっていて、外でしか排泄をしない犬もいます。排泄は外派の犬が玄関のドアをカリカリしたり、玄関でうろうろしたりする場合は、おしっこを我慢しているのかもしれません。「外へ出ておしっこしたい!」と思っているのです。
愛犬が外でしか排泄をしないのなら、室内でも排泄できるようにトイレトレーニングすることが望ましいです。
室内で排泄できれば、おしっこを我慢する必要がなくなり、また天気の悪い日などに無理に散歩に行かなくても大丈夫になります。さらに、飼い主さんがおしっこやうんちの変化に気づきやすく、病気の早期発見にも繋がります。
3.クンクン鳴く
おしっこを我慢している時にクンクン鳴いて「おしっこしたい!」と訴えることもあります。落ち着きなくうろうろしたり、外に出たがったりしながらクンクン鳴いている時は、おしっこの我慢が限界なのかもしれません。
おしっこの我慢は病気に繋がることがあるので要注意!
犬は約半日おしっこを我慢することができますが、長時間おしっこを我慢すると膀胱炎や尿路結石などの病気に繋がる可能性があります。
1.膀胱炎
膀胱炎とは、名前の通り膀胱に炎症が起きる病気です。犬の場合は細菌感染による膀胱炎が多いですが、膀胱結石や膀胱腫瘍などが原因になることもあります。犬が膀胱炎になると血尿や頻尿、排尿痛などの症状が見られ、適切に治療を行っても再発や慢性化しやすいのが特徴です。
おしっこが膀胱に長くとどまると細菌が繁殖しやすくなり、膀胱炎が起こりやすくなるので、なるべくおしっこを我慢させないことが大切です。
2.尿路結石症
犬の尿路結石症とは、尿の通り道の腎臓、尿管、膀胱、尿道のどこかに結石ができてしまう症状の総称です。
尿にはリンやマグネシウム、カルシウムなどのミネラル成分が含まれています。このミネラルのバランスが崩れて高濃度となって結晶化し、目に見えるようになったものが結石です。犬に主に見られる結石は、ストルバイト結石とシュウ酸カルシウム結石です。
膀胱結石が原因で膀胱炎になることがありますが、膀胱炎が原因で尿路結石症になることもあります。細菌性膀胱炎を起こすと尿がアルカリ性に傾き、ストルバイト結石ができやすくなります。
また、おしっこを我慢して膀胱内におしっこがたまっている時間が長くなると、尿中のミネラル濃度が高くなって結石ができやすくなります。
尿路結石症の症状は、血尿や頻尿、排尿痛、排尿の姿勢を取ってもおしっこが出にくい、出ないなどです。
結石が尿道に詰まって完全におしっこが出なくなると、命に関わることもあります。排尿の姿勢を取ってもおしっこが出にくかったり、全く出ない場合は、結石が詰まっている可能性が高いです。
3.おしっこの我慢を避けて病気のリスクを軽減
犬の膀胱炎や尿路結石を予防するには、しっかり水分を摂取することと、おしっこを我慢しないことが重要です。
トイレが汚れていると排泄したがらない犬は多いので、トイレは常に清潔にしておくようにしましょう。トイレを設置する場所は、部屋の隅など落ち着いて用が足せる場所にします。犬の寝床に近い場所や、人目につきやすい場所はNGです。
前述もしましたが、外でしか排泄しない犬は、室内でも排泄できるようにトイレトレーニングすることをおすすめします。
また「ワンツー、ワンツー」などの合図で排泄できるようにトレーニングすると、外出先などいつもと環境が違う場所でもおしっこを我慢せずに済みます。
まとめ
犬は最長12時間程度おしっこを我慢することができますが、長時間おしっこを我慢すると膀胱炎や尿路結石症などの病気に繋がってしまいます。おしっこの我慢が精神的なストレスになることもあるので、おしっこを我慢している仕草や行動が見られたら、トイレへ誘導するなどしてあげましょう。
また愛犬がおしっこを我慢しないように、トイレ環境を整えたりトイレトレーニングをしたりすることも大切です。