犬の皮膚は伸びる?
犬を飼育しているほとんどの方は、飼育している犬種を問わず、愛犬のほっぺや首の周りを掴んで伸ばしたことがあるのではないでしょうか。撫でている最中やもみもみと遊んでいる最中にびよーんと伸びる犬の皮膚ですが、調子にのって伸ばしていると愛犬の顔の面積が三倍にもなって驚くことがあります。
しかし、犬の皮が伸びるといっても手足の内側や体の腹側はそれほど伸びないのです。なぜこのように犬の皮膚が良く伸びたり、部位によっては伸びなかったりするのでしょうか。
これは主に犬たちが外敵の攻撃から身を守るためのものと言われています。狩りをするとき、他の動物と戦うときに噛まれやすい顔の周りや体の背中側が、万が一攻撃されたとしても致命傷になりにくくなるように皮膚の下にゆるみがあり、皮膚が伸びやすくなっています。
また母犬が子犬を運ぶ際に首をくわえて移動させますが、これも首周りの皮が伸びやすくなっている理由の一つでしょう。この部分は柔らかい皮膚の下にさらに厚手の脂肪がついていて、たとえ噛まれたとしても大きなケガをしにくくなっています。
よく伸びるところはどこ?
さて愛犬の体を触ってみましょう。どこの皮膚が柔らかく、どこの皮膚が張っている感じがしますか?
犬の体で伸びやすい皮膚がある部位は、まずは頬をはじめとする顔の外周の部分です。こちらは以前SNSで「柴犬のほっぺを伸ばす画像」などで有名になったと思いますが、犬種を問わず良く伸びる部位です。顔の側面にあるので、喧嘩をしたり狩りをしたりするときに攻撃されやすい部分なのでこの伸び方も納得です。
耳、唇も同様に皮膚が柔らかく伸びやすいですね。
また首回りの皮膚もとてもよく伸びます。首の後ろは犬の体の中でもっともよく伸びる部分かもしれません。そこからさらに背中を触ってみてください。背中の皮膚も柔らかくぷるぷるとしているので、こちらも良く伸びます。
反対に伸びにくいところはどこでしょうか。
先程、顔周りの皮膚は良く伸びると言いましたがおでこから頭頂部、眉間などはあまり伸びません。こちらは皮膚の下にある筋肉の層のすぐ下に硬い頭蓋骨があるので皮膚を伸ばして攻撃から守る必要があまりないのかもしれません。
犬をひっくり返して胸のあたりを触ってみても、こちらもあまり皮膚が伸びない部分です。こちらは普通に立っていれば体の下側になり敵から狙われることがほとんどないためでしょう。同様に四肢の内側もあまり伸びません。これも前後の脚は常に動いているので狙いにくいからと言えます。
引っ張り過ぎに注意
犬の皮膚は部位によってよく伸びますが、スキンシップの一環だといって調子にのって引っ張りすぎないよう注意しましょう。
先ほど挙げた伸びやすい部位は犬種によって大きな違いはありません。しかしやはり中でも特に「伸びやすい」犬種がいます。柴犬、パグ、ダックスフンド、ゴールデンやラブラドールレトリバーなどは比較的皮膚が柔らかく、引っ張ると良く伸びる犬種です。
これらの犬種を含め、愛犬の健康チェックのために皮膚の状態を観察することは大切ですが、良く伸びるからといって強く引っ張りすぎることはやめましょう。強い刺激によって痛みを与えてしまったり、皮膚や被毛を傷つけてしまう可能性があります。
特に皮膚がもともとたるんでいる犬種では、たるんで重なった部分に湿気がたまりキズが付きやすい状態になっています。
更に稀な病気ではありますが、皮膚無力症という皮膚が異常に伸びたり裂けたりする病気があります。遺伝子が変異する病気で詳しい原因は分かっていません。伸びるから、といってぐいぐい伸ばしていたら実はこの病気だった、という可能性もゼロではありません。
まとめ
愛犬の体は飼い主がしっかり健康管理する必要があります。皮膚のチェックも重要です。
毎日ちゃんと触ってみることで、「柔らかさが違うな」「今日はちょっと伸びやすいけど戻りにくいな」など、ちょっとした異変に気付くことができます。
スキンシップがてら愛犬の健康チェックを行い、楽しいペットライフを送りましょう。