1.シベリアン・ハスキー
シベリアン・ハスキーはその名の通り、ロシアのシベリア地方が原産とされています。極寒のシベリアで遊牧民とともに生活し、雪原で犬ぞりを引く仕事や荷物の運搬を行う仕事をしてきた犬種です。
体高50~60cm、体重25~30kg程度の大型犬で、非常に分厚いダブルコートの被毛で全身が覆われています。体の熱を逃さないようにアンダーコートが密集しているため、寒さに強い犬種です。そのため、日本の蒸し暑い梅雨や厳しい暑さが続く夏は、シベリアン・ハスキーにとってはかなりつらい時期となります。
人間がまだ涼しいと感じる程度の気温でも、春頃からは熱中症にならないように配慮しなければなりません。
2.セント・バーナード
「フランダースの犬」で知られるセント・バーナードは、スイス原産の犬種でアルプス山脈など雪山での山岳遭難救助犬として活躍してきました。重量感のある体格で、大きな個体の場合体高90cm、体重90kg程度になることもあります。
雪山でも問題なく活動ができる犬種だけあって、寒さには非常に強い一方、日本の蒸し暑い気候のなかでは体に負担がかかる場合があります。生活をする地域にもよりますが、北海道や東北の特に寒い地域を除いて、冬以外はエアコンでの室温調整が必要になることを覚悟しておいた方がいいでしょう。
3.サモエド
白くふわふわの被毛が魅力的なサモエドは、シベリアン・ハスキーと同様に極寒のロシア・シベリア地方が原産の犬種です。ボリュームのある見た目の被毛からもわかるように、密集したダブルコートで体温を外に逃がさないようにしています。そのため、雪中でそりを引いたり、共に生活をする遊牧民と猟を行ったり、暖を取るために寄り添ったりと厳しい寒さのなかでも積極的に活動することができるのです。
寒さに強い反面、暑さには非常に弱いため、ハスキーなどと同様に蒸し暑い日本ではエアコンを利用して熱中症対策を十分に行う必要があります。気温25度を超えると飼い主さんがまだ暑いと感じていなくても、サモエドにとってはつらい場合もあるので、様子を見ながらしっかり室温調整をするようにしましょう。
4.ブルドッグなどの短頭犬種
日本では、フレンチブルドッグやパグなどの鼻先が短い短頭(短吻)犬種は「ぶさかわ犬」として非常に高い人気を誇ります。これらの犬種は人懐っこさや陽気さから、飼育しやすい犬種とも考えられていますが、その特殊な呼吸器官の構造から、高温多湿の気候の中でつらさを感じてしまうこともあることを覚えておきましょう。
鼻先が短く呼吸機能がやや弱いとされているため、体の熱を冷ますことが苦手で体温が上昇しやすい傾向があります。汗をかいて熱を冷ますことができない犬にとって、呼吸で熱を下げることができないと熱中症にかかる可能性が高まります。
寒い地方の犬種ではないからと油断しがちですが、これらの犬種も気温や湿度の高さには注意が必要です。
5.グレートデーンなどの超大型犬
ケンネルクラブなどで明確な定義が定められているわけではありませんが、体重約40kg以上の犬種は大型犬の中でも特に大きい「超大型犬」と呼ばれることがあります。
先に紹介したセント・バーナードのほかに、ニューファンドランドやレオンベルガー、アイリッシュ・ウルフハウンド、ロットワイラー、アフガンハウンド、ボルゾイなどの犬種がそれに分類されます。
これらの犬種は日本で飼育することが特別むずかしいわけではありませんが、住環境によってはあまり適さない場合があることも。超大型犬は体が大きな分、生活スペースの広さが必要ですし、運動もたっぷり行う必要があります。運動不足によって肥満に陥ったり、筋力が十分つかず関節を痛めてしまったりすることがあるので、広い場所でしっかりと運動をさせなければなりません。
また、日本の集合住宅では、大型犬の飼育自体を禁止していることもあります。特に都市部で超大型犬を飼いたいと思っている場合は、十分な配慮が必要になることを覚えておきましょう。
また、超大型犬種にはここでご紹介したセント・バーナードをはじめ、ニューファンドランドやグレート・ピレニーズのように暑さに弱い犬が多いのも特徴です。これらの犬種は、様々な点で身体的なトラブルが起こる可能性があるということをしっかりと理解して、適切な飼育環境を整えるようにしましょう。
まとめ
この記事では、日本で飼育することが難しいとされる犬種を紹介しました。ただし、これらの犬が「日本では飼えない、飼わない方がいい」というわけではありません。
ここでご紹介した犬種も、それぞれの特性をしっかりと理解して、適切な環境を用意したり生活において配慮したりすれば、日本でも問題なく飼えるでしょう。
日本では少し配慮が必要な犬を飼う場合は、犬に負担のない環境を整えて楽しく快適に暮らせるようにしてあげてください。