犬のしつけを考える前にまずは環境を整えることから
犬のしつけを考える前にまずやらなければいけないこと、それは『環境設定』です。
環境設定とは犬の生活環境を整えることですが、それは単に犬の居住スペースであるサークル内を整えるという意味ではありません。犬が生活をするすべての環境を整える必要があるので、室内外全てがその対象になり人間や他動物も必要に応じて対応する必要があります。
環境を整えることもせず、いきなり犬に「あれをしろ、これをするな」と要求するのはあまりにも身勝手です。なぜなら、犬にとって人間が問題と感じる行動には必ず理由があり、犬にとっては正解だからです。
ただその理由があっての行動は人間にとって不都合なことがたびたびあるので、それをどうにかしてコントロールしたいがゆえに『しつけ』という形をとるんですよね。しかし、行動をコントロールする、つまり支配する前にその行動が減るように環境を工夫しましょう、というのが今回の「環境設定」なのです。
環境設定で犬の問題行動を減少
『環境設定をすれば、問題となる行動が減る』ということを聞いて、なんとなくわかる人もいれば、(それって根本的な解決にならないのでは?)と疑問に感じる人もいるでしょう。
確かに犬自身に「やってはいけない行動なのだ」と理解してもらわなければその後も繰り返す可能性が残り、結局意味がないように感じますよね。
ですが、それと同じくらいそもそもの意識を持っていただきたいのが『行動は繰り返すことで定着する』ということです。
つまり「減らしたい」、できれば「ほとんど無い」レベルまでもっていきたいと考えている行動を犬にさせればさせるほど、残念ながらそれは定着していきますし、逆にその行動が出現しなければしないほど行動は減っていく、ということです。
犬のしつけとは犬を支配することではない
「ではやはり犬が問題となる行動をしないように、叱るべきところではしっかり叱ってわからせてやらなければ!」と思う必要は全くありません。
思い出してください。目的は『その行動が出現しない・限りなく減る』ことです。つまり、その行動が出現する機会自体を減らしたり取り除いてしまえばいいのです。
例えば、「吠える」という行動を減らしたい場合、まずは何が吠える原因になっているかを観察し、その原因を特定しください。
そしてその原因となっているものを排除したり、視覚的に遮断してあげましょう。はたまた認識はしているけどその対象や存在が「吠えたくなる対象」ではなく、犬にとってポジティブなことが起こる合図として認識できるようにする、などの工夫をしましょう。
他にも飼い主さん自身が落ち着いて行動することも大事ですし、先回りをして環境に一手間加えるというようなことが必要になる場合もあります。
このように、犬をしつけるというのは、犬に対して一方的に言うことを聞かせようとすることではなく、まずは環境を整え設定し、どのような状況になっても失敗しようがない状況、または限りなく失敗する可能性が低い状況にすることが大事なのです。
大事なのは、犬へのしつけの本質とは、飼い主さんが「言うことを聞きなさい!」と支配的な考えでしつけたり、そしてそれを犬に従わせて時には罰を与えることではない、ということです。
まとめ
「犬のしつけは飼い主としての責任!だからしっかりしつけなきゃ!」と頑張る姿勢は大変素晴らしいです。ですが、しつけとは犬を支配して従わせることではなく、犬に望ましい行動を教える、そしてそれを犬ができるように人間が環境を設定して強化していくことです。
「しつけができた犬」というのは、あくまでも目に見えている結果の姿が、たまたまその人間にとって都合の良い状態というだけ。それはつまり、他の人にとっては「しつけが不十分な犬」に映ることだってあるということです。
「お利口な犬にしつけよう」と安易に考えるのではなく、まずは問題行動を起こしにくい環境を整え、犬が困った行動をついしてしまうことがないような工夫することから考えましょう。