犬が噛むのを直すために叱るのは絶対NG
まず結論として、犬が噛むから叱るということは絶対にしないでください。
ここで叱るというと「少しならOK」「少し驚かす程度」「叩く、蹴るではないから大丈夫」「大きな声やあっ!といった声で伝える」といったものは対象外と伝えている人もいますが、それらすべて嫌悪刺激になりますのでNGです。
『嫌悪刺激』とは、犬に不快感や恐怖といったネガティブな刺激を与えるすべてのことを指します。そして、「少し」「驚かす程度」というのはあくまでもそれを行使する人間側の解釈に過ぎず、それを受ける犬が事実として嫌悪感を抱くことは代わりありません。しかも、その嫌悪感をどの程度不快に感じ恐怖を抱くかはその犬にしかわかり得ないことです。
人間にとって「少し」と解釈している嫌悪刺激が、その犬にとってはトラウマを持ってしまったりそれを回避するために攻撃をしてまで身を守ろうと考えるほど、大きなストレスとなってしまうこともあります。
叱るという方法は決して犬と人の関係を良好にすることはなく、むしろ犬にとってはネガティブな経験となり人との関係を崩してしまうので絶対にやめましょう。
なぜ犬が噛むのか原因を知ることが第一ステップ
そもそもなぜ犬が噛むのかという「原因」を探そうとしたことはありますか?
犬をよく観察すると、「噛む」という行動が出るときにはあるパターンが存在しているはずです。
- なにか対象物を目視し、距離が近づいてきたときなのか
- おもちゃで遊んでいるときにヒートアップして歯があたってしまったことがきっかけなのか
- そもそも普段から(時々でも)手をおもちゃにして遊んであげることはないか
- 人間側の愛情表現のつもりだったのに、それをしたら犬が噛み付いてきたのではないか
等々、考えられる原因はたくさんあります。人間にとっては些細なことかもしれませんし、気付いてないことかもしれません。
しかし、「それ」を受けているのは犬自身であり、犬がそれに対して不快感を示していたり、噛むという行動をとってもOKな対象だと認識していれば当然噛むという行動を出します。
「直すぞ!やめさせるぞ!」と焦る前に、まずは犬の日々の様子を注意深く観察して、本当の原因を探すようにしましょう。
噛む原因を排除、または代替を用意
よくある「噛む」という行動には、次のようなものが考えられます。
- 甘噛み(犬は遊んでいるつもりや歯の生え変わり)
- 嫌だからやめてという意思表示
- ネガティブなストレスからくる破壊衝動
これらの行動に対して、頭から叱るのではなく、それぞれの原因に対して対応すればいいのです。
甘噛みであれば、リーチの長いおもちゃやたくさんのボールを使って手を噛むという機会を与えないようにします。また歯の生え変わりでかゆいのであれば、コングのような柔軟で強度のあるおもちゃを使って、手ではない別の噛める物を用意するのです。
犬が不快に感じた際に「嫌だから止めて!」という行動をしてしまうのは当然のことですよね。つまり、その犬にとって嫌だと感じることをしなければいいだけです。
その際に、犬は「噛む」というサインよりもずっと前に、さまざまな小さなサインを出して感情を伝えてきているはずなので、まずはそれをしっかり感知できるようにしましょう。そして犬の気持ちがリフレッシュして落ち着けるように、良質な散歩をしたりたくさん遊んだりすることがおすすめです。
このように、単純にその行動を止めさせるのではなく、その行動の原因に合わせた対応をすることで、そもそも止めさせるという必要がなくなるのです。
もちろんこれらの考えられる原因以外にも、たまたま暇をもてあそんでいたり、目の前のものを噛んで破壊することで得られる触覚的な快感など、犬が噛む行動にはさまざまなことが考えられますが、まずは何が原因となってその行動が出ているのかを、よく観察してください。
まとめ
「犬が噛むのを止めさせるためには?直すためにはどんな方法があるだろう?」そう考えるのは至って自然なことですし、間違いではありません。
しかし、ただ叱って止めようとするのではなく、犬がなぜそんな行動をするのかの原因を確認し、ただ叱って止めるよりも別に方法はないかを考えてみてください。
原因も特定できないままむやみに叱るのでは、本当の意味で何の解決にもなりませんし、むしろ犬との関係や状態を悪化させるだけです。
ただ突発的に叱るのではなく、噛んでしまう「原因」を特定し、「代替の用意」または「原因を排除」して、犬に「噛む」という行動を出させない、もしくは、そもそも犬が噛みたくなるようなきっかけが存在しないような環境にしてあげましょう。