1.行動の最中か直後に叱る
犬を叱るうえで、まず大切なポイントが「タイミング」です。人間の言葉を正確に理解することはできない犬に、「それはいけない」と伝えたい場合、叱ろうとしている行動の最中、または直後に叱らなければ意味がありません。
例えば、犬が家具を噛んでいたずらをしているとき、犬が噛んでいるときに“現行犯で”叱るか、噛み終わったあと他の行動に移る前に叱ることが必要です。
これが、いたずらをした後に犬が水を飲んだり、トイレをしたりしてから「いたずらしたらだめでしょう!」などと叱っても、意味がないのです。この叱り方では、飼い主さんが何で怒っているか理解できなかったり、水を飲んだことやトイレをしたことを叱られていると勘違いしたりする可能性があるので気をつけなければなりません。
そのため、犬が留守番をしているときのいたずらや粗相は、飼い主さんの帰宅後に叱っても全く効果がないということになります。
2.短い言葉で叱る
犬は私たち人間が使う言葉の意味を、多少であれば理解することができます。「散歩」「おやつ」など自分に関係のある言葉や、「おすわり」「待て」など日常的に何度もかけられる言葉は、しつけをしたり経験をかさねたりすることで言葉の持つ意味を理解できるようになるのです。
しかし、文章で話しかけられても、犬は意味がわからず聞こうとはしないでしょう。しっかりと飼い主さんの言葉を聞こうとする犬であっても、文章の中にある知っている単語だけを聞き取ることができる程度だと思います。
そのため、犬を効果的に叱りたいのであれば、短い言葉で端的に伝える必要があります。「ダメ」「NO!」「いけない」などの決まった単語を、犬の行動を叱ったり制止したりするときに使うようにするといいでしょう。
短い言葉であれば、緊急事態のときや現行犯で叱りたいときなどに、飼い主さんも口にしやすいので、あらかじめ言葉を決めておくことをおすすめします。
「どうしてこんなことするの?」「忙しいんだからこんなことしないで」「いつも言っているでしょう」といった抽象的な言葉は、犬にとっては何の意味もなさない言葉なので、犬に長々とお説教するのはやめておきましょう。
3.感情的にならず冷静に叱る
犬を叱るとき、ついつい感情的になってヒステリックに騒いだり、怒鳴りつけたりする飼い主さんもいます。確かに、何度も教えたことを覚えてくれなかったり、本当に困るいたずらをくり返されたりすると、イライラして怒鳴りつけたくなる気持ちもわかります。
しかし、飼い主さんが感情的になるほど、犬はただ委縮するだけで、叱られていることの意味を理解できなくなってしまいます。何を怒られているのかわからないうえに、飼い主さんのことが怖すぎて何も考えられなくなってしまうこともあるでしょう。
こうなると、飼い主さん自体に恐怖心や不信感を抱くようになってしまい、望ましい関係性を築くことができなくなってしまうので注意してください。愛犬にイライラしてしまっても、それを犬にぶつけることはせず、一旦離れて気持ちを落ち着かせましょう。
犬を叱るときは、冷静になって毅然とした態度で接することを心がけてくださいね。
まとめ
犬のしつけをしたり、一緒に生活をしたりするなかで、叱らなければならない場面もあると思います。そのような場合、同じことをくり返させないため、そして犬と飼い主さんの関係性を壊さないためには、正しい方法で叱る必要があるということを覚えておきましょう。
犬に伝わりやすいように短い言葉を使い、「現行犯”」や行動の直後に叱ってください。また、飼い主さんの気分次第で叱ったり叱らなかったりすることのないように、一貫した姿勢を見せることも大切です。
愛情を持ってたっぷりほめて、本当に必要なときに効果的な方法で叱るというメリハリのあるしつけを意識して、愛犬と楽しく快適な毎日を過ごしてくださいね。