飼い主にマイクロチップの情報登録を促すオーストラリアの研究

飼い主にマイクロチップの情報登録を促すオーストラリアの研究

日本でも注目を集めているペットのマイクロチップですが、既に長年の実績のある国ではマイクロチップ運営に関連した調査や研究も行われています。飼い主にMCの情報登録を促すための研究をご紹介します。

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マイクロチップの変更登録を促すための調査研究

マイクロチップを装着されているビーグル

2022年6月から日本でもブリーダーやペットショップで販売される犬や猫にマイクロチップを装着することが義務化されました。

このマイクロチップには飼い主の情報が登録されていないので、動物を迎えた人が自分自身で変更登録を行う必要があります。

諸外国ではブリーダーなどが販売する動物だけでなく、保護施設から譲渡される動物にもマイクロチップ装着が義務化されている自治体が多く、マイクロチップを装着しているペットが圧倒的多数という国も少なくありません。

安全性については数多くの研究が行われ、非常に低いリスクに比べて災害時や迷子になった時の発見率の高さという大きなメリットから獣医師会なども推奨しています。そのような医学的な研究とは別に、マイクロチップの運営についても調査や研究が行われています。

日本で販売されている動物のマイクロチップの情報を変更登録しなければ意味がないように、すでにマイクロチップ義務化が浸透している国でも飼い主が情報変更を忘れてしまい、いざという時に家に戻れないという事態を防ぐための研究も行われています。

オーストラリアのクイーンズランド大学獣医学部による調査結果は、日本でも参考になる点があるかと思います。

メールで情報の変更登録をリマインド

犬と一緒にPCの前に座る男性

犬や猫に装着したマイクロチップの情報は家に迎えた時だけでなく、引っ越しや携帯電話の変更などで連絡先が変わった場合には、すぐに変更登録をする必要があります。

この研究が行われたオーストラリアでも、保護施設に持ち込まれた迷子のペットのマイクロチップの連絡先情報が間違っており、飼い主の元に戻れないという例が多いと報告されています。

飼い主にマイクロチップの情報の変更登録を促すことは、殺処分される動物を減らすためにも重要です。

研究チームは、オーストラリア最大のマイクロチップデータベースに登録された猫39万匹、犬90万匹の飼い主を対象にして、年に一度の「ペットのマイクロチップの情報は最新のものに変更登録していますか?」というメール送信が、マイクロチップ情報の更新頻度にどのように影響するかを調査分析しました。

このデータベースの会社は2013年から、飼い主が初めてマイクロチップ情報の登録をしたのと同じ日に年に一度のメール送信を実施しています。調査分析は2013年から2017年にかけて行われました。

結果は明白で、メール送信直後にはマイクロチップの情報を更新する人が増加する傾向が見られました。

情報の変更に腰が重い飼い主も明らかに

マイクロチップの登録情報と犬のイラスト

データの調査分析は他にも対策すべき点を明らかにしました。チップの情報の更新頻度は、飼い主の居住地域、ペットの種類や年齢によっても異なる傾向が見られました。

具体的には、猫の飼い主、高齢の動物の飼い主、平均所得の低い地域の飼い主が情報の更新頻度が目立って低いことが分かりました。もちろん情報が変わっておらず更新の必要がない場合もあるのですが、このような傾向が明らかになったことで重点的なキャンペーンを行う対象が明確になりました。

年に一度のメール送信という低コストな方法が有効なことが実証されたので、研究チームは他のマイクロチップデータベースの会社にもこの方法を推奨すると述べています。

まとめ

マイクロチップ読み取り機を当てられている犬

ペットのマイクロチップの情報の変更登録を促すための年に1度のメール送信が有効であるというオーストラリアでの調査結果をご紹介しました。

日本ではマイクロチップはまだ初期段階ですが、外国のこのような例も参考にしてスムーズに運営していただけると嬉しいですね。

なお日本でのマイクロチップ情報は、全国動物愛護推進協議会と日本獣医師会で構成される団体AIPO(動物ID普及推進会議)に登録することが大切です。

災害時や迷子になって愛護センターや保健所で保護された時、マイクロチップを読み取ったら必ずAIPOのデータベースに照会されるからです。ペットショップによって独自データベースに登録されている場合がありますが、その場合は万が一の時に照会が行われないこともあります。

日本の過去の災害時にもマイクロチップを装着していたペットが飼い主の元に返還された率の高さが報告されています。広く普及することで殺処分率の低下の一助になると思われます。

《参考URL》
https://www.mdpi.com/2076-2615/8/2/20/htm
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/chip.html
https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/pickup/aipo.html

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