犬の歯周病を放置するとどうなる?5つのリスクや対策とは

犬の歯周病を放置するとどうなる?5つのリスクや対策とは

人間は高齢になると心臓病、糖尿病など持病を抱えるリスクが高くなります。年齢も関係していますが、歯の状態も原因のひとつだと近年注目されています。犬の場合歯周病を放置するとどうなるのかを解説します。

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記事の監修

日本獣医生命科学大学卒業。北海道の大学病院で獣医師として勤務。一般診療をメインに行いながら、大学にて麻酔の研究も並行して行う。「動物と飼い主さんに寄り添った治療」を目標に掲げ、日々診療に励んでいます。

歯周病を放置した場合に考えられるリスク

犬の歯

1.歯が抜ける

人間は歯のケアをしないと「虫歯」になりますが、犬は「歯周病」になることが多いです。人間の口の中は中性~弱酸性で、犬はアルカリ性であることが理由とされています。どちらも自然治癒することはなく、治療が必要な病気です。

歯周病とは細菌が歯茎に炎症を起こし、最悪歯を支える骨まで溶かしてしまう病気です。軽度のうちは歯茎が腫れるくらいですが、進行すると歯がグラグラして抜けおちてしまいます。口の中が痛くて犬もあまりごはんを食べようとしません。

2.顔に穴が開く

歯周病は、酷い状態になると歯肉に炎症を起こしたり骨を壊してしまう場合があります。初めのうちは歯の周辺だけですが、広がっていくと目の下や顎が腫れてしまいます。進行すると膿が出て穴が開くこともあります。

全身麻酔での手術が必要になり、犬には負担になります。抜歯もすることになり、治療は上手くいってもその後硬いおやつは食べられなくなるかもしれません。

3.顎の骨折

診察中のコーギー

歯周病菌が歯から骨にまで入りこむと、顎の骨も溶かしていきます。その結果骨が薄くなりちょっとした衝撃で骨折しやすくなります。元々顎が小さい小型犬に多いです。

4.鼻炎

上の歯が歯周病になって悪化すると鼻にまで影響します。犬が鼻炎で困っていると思ったら実は歯周病だったというケースは珍しくありません。

犬の犬歯の歯根はとてもしっかりしており鼻の横にまで達しています。また鼻と口は骨で分かれていますが、この骨は薄いので歯が溶けていくと骨まで溶けてしまいます。

5.内臓の疾患

歯茎に溜まっている細菌は傷口から血管に入り、内臓にまで悪影響を及ぼします。これは人間の場合と同じで心臓、肝臓、腎臓病など命に関わる病気を引き起こします。

内臓に疾患のある犬は高齢なこともありますが、歯のケアが不十分なことも多いです。

歯周病を防ぐための対策

シートで歯磨きしてもらう犬

犬が歯周病にならないためには、次のような対策があります。

  • 歯磨きをこまめにする
  • ごはんやおやつはなるべく硬いものを与える
  • 歯磨き効果のあるおもちゃで遊ぶ
  • 人間の食べ物を与えない

犬からすると口を開けっ放しにして歯磨きされるのはとても苦痛でしょう。そのため人間の歯磨きと違って食べカスを完全に落とすのは困難です。

歯ブラシや歯磨きシートで毎日磨くのはもちろん大切です。ですが食べるものはドライフードにし、歯に溜まりやすい柔らかいものはあまり食べさせない、というような食生活も対策になります。

まとめ

歯を診察される犬

日本では人間の歯科医療が簡単に受けられるので、歯の病気なんてたいしたことないと思われがちです。しかし海外では治療費が高額なため治療ができず、放置して死亡するケースが珍しくありません。

歯の病気は動物にとっても命に関わるものであり、近年犬の寿命は長いので歯を使う年数も長いです。美味しく楽しい犬生が送れるよう、犬の歯は大事にしてあげてください。

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