犬にとっての散歩とは
大抵の犬は散歩が大好きです。散歩の効能は、適度な運動による健康の維持だけではなく、ストレス解消や気分転換で心の安定が図れ、家の中よりも多くの刺激を受けて頭を使うため脳も活性化されます。家族以外の人や動物との触れ合いで、社会性も身につきます。
ストレスが溜まると、犬は自分自身を傷つけたり、飼い主さんや他の人に対して攻撃的になったりするため、ストレス発散は飼い主さんにとっても大切です。そして何より、散歩を通して飼い主さんと愛犬との間により深い信頼関係が結ばれます。
これらの点を考慮すると、室内で遊ばせるだけでも必要な運動量をまかなえる超小型犬にとっても、散歩は必要なものだといえるでしょう。
そこで今回は、犬にとって必要な散歩時間の目安や注意点について解説します。
小型犬の散歩の目安
小型犬の散歩時間の目安
一般的に、体重10kg未満の犬を小型犬と分類することが多いです。小型犬の場合、目安は20〜40分の散歩を1日に1〜2回だといわれています。ただし、犬種特性によっても目安時間は変わってきます。
愛玩犬
愛玩犬の場合はそれほど多くの運動量を必要としないため、1回に20〜30分程度が目安です。該当する犬種は、チワワ、シー・ズー、パグ、マルチーズ、キャバリア・キング・チャールズ・スパニエルなどです。
番犬適性を持つ犬種
番犬の適性を持つ小型犬の場合、1回に30〜40分程度が目安です。該当する犬種は、ポメラニアン、日本スピッツ、フレンチブルドッグなどです。
牧羊犬、使役犬、猟犬系の犬種
牧羊犬や使役犬、猟犬の血を引く小型犬の場合、1回に40〜60分程度が目安です。該当する犬種は、トイ・プードル、コーギー、テリア、ミニチュア・ダックスフンドなどです。
小型犬の散歩における注意点
成犬になっても体重が4kg以下の超小型犬は、骨や関節が弱いことが多く、坂道や階段といった負荷の高い要素が多い散歩コースには向きません。一度に長距離を歩かせるのも、避けましょう。
中型犬の散歩の目安
中型犬の散歩時間の目安
一般的に、体重が25kg未満の犬を中型犬と分類することが多いです。中型犬の場合、目安は40〜60分の散歩を1日に2回だといわれています。中型犬の代表的な犬種は、柴犬、シェットランド・シープドッグ、アメリカン・コッカースパニエルなどですが、犬種特性によってはさらに多くの運動量が必要です。
狩猟犬、牧羊犬系の犬種
狩猟犬や牧羊犬の血を引く中型犬の場合、1回に1〜2時間が目安です。該当する犬種は、ボーダー・コリー、ウェルシュ・コーギー、ビーグルなどです。
中型犬の散歩における注意点
普通の散歩だけでは物足りなさそうな場合は、ドッグランの併用などで十分な運動量を確保しましょう。
大型犬の散歩の目安
大型犬の散歩時間の目安
一般的に、体重が25kg以上の犬を大型犬と分類することが多いです。大型犬の場合、目安は30〜60分の散歩を1日に2回だといわれています。該当する犬種は、レトリバーや秋田犬などです。
大型犬の散歩における注意点
大型犬にはあまり激しい運動をさせられません。足、関節、心臓などへの負担が大きいためです。特に1歳になるまでの期間は、関節障害のリスクが高いため、過度な運動は避けましょう。1歳を過ぎたら、ゆっくりと、しかし長距離の散歩を楽しみましょう。
最終的な判断は愛犬の様子を見て確認
散歩量のチェック方法
犬のサイズや犬種特性を意識した散歩時間の目安を紹介しましたが、その犬の健康状態や年齢、体質などによっても適正量は変わってきます。そのため最終的には、愛犬の様子から適正な時間をみつける必要があります。
ポイントは散歩から帰宅した後の呼吸の様子です。口を開けずに呼吸している場合は、運動量不足です。「ハッハッ」という速い呼吸をしている場合は、適正な運動量だったと判断できます。しかし、かなり速い呼吸で苦しそうな場合や舌が青紫色になっている場合は、運動量が多すぎます。
散歩時間を10分減らして様子の確認を繰り返し、徐々に短くしていきます。あまりにもすぐに疲れる場合は、病気かもしれません。動物病院で診てもらいましょう。
他の要素も考慮しましょう
散歩時間が同じでも、散歩コースを変えると運動量も変わります。ずっと平坦な道を歩く場合と、坂道や階段、木の根がむき出しているような場所を歩く場合とでは疲労度が異なります。また若い頃は、長距離で負荷の高いコースを1日に2回散歩していても、高齢になるとつらくなる場合もあるでしょう。
愛犬の様子を見ながらコースを変えたり回数を減らしたり、実際に歩く距離をごく一部だけにするなどで、適宜調整していきましょう。
まとめ
犬と一緒に暮らしていても、散歩に連れて行かない飼い主さんもおられるようです。たとえ愛犬が室内の遊びで十分な運動量をまかなえる超小型犬でも、散歩の効能は多岐にわたります。身体の健康維持の他、精神面の安定や脳の活性化、社会性の習得などです。
散歩によるストレス発散は、問題行動発現のリスクを減らします。なにより、飼い主さんと愛犬との間に深い信頼関係を築くことができます。一緒に散歩をしながら愛犬の様子を観察し、最適な散歩時間をみつけてあげてください。