幸せホルモン『オキシトシン』とは?
私たち人間や犬の脳内では、「オキシトシン」と呼ばれるホルモンが分泌されていることを知っていますか?このオキシトシンは、別名「幸せホルモン」「愛情ホルモン」などと呼ばれています。
脳の視床下部で作られて下垂体から分泌されるホルモンで、発見されたときは女性の妊娠・出産、幼少期の子育てに関わるものだとされていました。母子の愛着や信頼関係を築く際に影響を及ぼすホルモンだと考えられていましたが、様々な研究の結果、性別に関わらず分泌されるホルモンで、人間同士の愛着や社会の形成に関わっているということがわかってきました。
そして、このオキシトシンが脳内で分泌されると、ストレスが軽減されて幸福感を感じることができるとも言われています。ストレスを受けたときに分泌されるホルモンを中和して、心を穏やかにする効果が得られます。このようなことから、オキシトシンは「幸せホルモン」などと呼ばれているのです。
オキシトシンの分泌で得られる効果
オキシトシンが分泌されると、母子の間での愛着や絆を形成することができ、お互いの心を落ち着かせることができるとされています。「母親は出産の痛みを忘れる」などと言われることがありますが、出産時のストレスや恐怖を緩和したり、産後に赤ちゃんに対して深い愛情を抱くようになったりすることもオキシトシンが関係しているようです。そして、幸福感で満たされるような感覚になるのもオキシトシンの影響だとされています。
また、オキシトシンの影響は母子関係だけでなく、家族や友人など深い関係にあるパートナーや仲間との親近感や信頼感を高めます。さらに、ストレスが緩和されて気持ちが安定したり社交的になったりして、不安感からくる過食や神経障害などを軽減する効果もあると考えられています。
オキシトシンが分泌されるのはどんなとき?
オキシトシンの影響によって、ストレスが緩和されたり幸福感を感じたりすることがわかっていますが、具体的には愛犬と過ごしているとき、どのように産生・分泌が行われるのでしょうか?
オキシトシンは近しい関係にある人や動物などとスキンシップを取ったり、アイコンタクトをしたりするときに分泌されるとされています。それは、犬と飼い主さんの関係も例外ではありません。
実際、2000年頃から日本の麻布大学などでも、ペットとのふれあいとオキシトシンの関係に関する研究が行われています。そのなかで注目すべきは、飼い主さんが愛犬をなでたときだけに、お互いのオキシトシンの分泌量が増加したということです。
良好な関係にある愛犬と、自然なスキンシップを行うことで、犬も飼い主さんもオキシトシンの分泌が促進されたのです。ほかの動物ではこれと同じ結果は出ず、犬と飼い主さんの特別な関係性に注目が集まりました。ただし、飼い主さんが強引に触りに行ったり、怒りながら触ったりした場合にはこの効果は得られません。
また、『アイコンタクトを取ったときにオキシトシンが分泌されるのは犬だけ』とも言われています。
まとめ
大好きな愛犬とスキンシップを取ると、心や体が疲れていてもそれが和らいだり、幸せな気持ちで満たされたりするという飼い主さんは多いでしょう。
それは勘違いや気のせいではなく、オキシトシンというホルモンが分泌されているからなのです。そして、その幸せな気持ちは私たちだけでなく、犬たちも感じていると思うとうれしいですよね。
犬も飼い主さんもお互い幸せになれるように、心地良いスキンシップやコミュニケーションを心がけてくださいね。