犬の多頭飼いについて
皆さんは「犬の多頭飼育」についてどのように感じているでしょうか。
犬を飼うと、「一頭だけだと寂しそう」「もっと可愛い犬たちに囲まれたい」と、2頭目や3頭目の犬を迎える方も少なくないようです。
では実際多頭飼育をすることで、どんなメリットがあるのでしょうか。
最大のメリットは、犬同士の社会性を身につけられること、「群れ」という社会を作って犬が安定すること、などと言われています。また一頭だけで飼育しているときより飼い主の愛情が分散されることで、過保護状態ではなくなった、ちゃんとしつけを考えるようになった、という方も。
しかしメリットがあるということは、当然デメリットもあります。
おそらく先住犬にとって、見知らぬ犬が生活スペースに増えることや、ご主人と触れ合える時間が減ることのストレスは相当大きなものになるでしょう。また新しく迎える犬は、先住犬を見習って良いことを覚えるのも悪いことを覚えるのも早いため、その後のトレーニングがなかなか難しいものになってしまう可能性も大きいです。
実際に多頭飼育をしている人にとってのお悩みランキングにも、このデメリットが関係しています。
犬の多頭飼いでの悩みごとランキング
1.先住犬との相性が良くない
こちらは多頭飼育をする場合、一番トラブルのもとになりやすい「先住犬」との関係です。
先住犬が新しい子をいじめる、またはその逆で新しい子に先住犬が遠慮してしまう、あるいは片方が活発すぎて遊びやリラックスのタイミングが合わずにどちらかが大きなストレスをためてしまうなど、犬同士の相性がよくないと結局は犬の負担になってしまいます。
犬たちは人間より友達付き合いなどがクールで、本来であればそこそこ広いパーソナルスペースを保持し、気が向いたときに一緒に遊んだり眠ったりすれば十分な子が多いようです。相性が良くないというのは、このタイミングやパーソナルスペースに違いがありすぎることであり、これが合わないとどちらかが一方的に我慢することになります。
こちらは先住犬の性格をよく把握してあげることが大切です。新しい子を迎え入れる前にお見合い期間を設けたり、ある程度慣れるまでは別室で飼育して時々挨拶させたりといった対応が必要になるでしょう。
また先住犬がやきもちを焼くということが多々見られるので、はじめは何事も先住犬を優先するなどしてあげるとよいでしょう。
2.望ましくない影響を与え合う
多頭飼育をした際、先住犬が人間との暮らし方の手本を見せるため新しく迎える子のしつけが楽になるというメリットがあります。しかしその反対に、望ましくない行動をマネしあうというデメリットもあります。
例を挙げるとすれば無駄吠えなどの問題行動があるでしょう。先住犬がよく吠える犬の場合、新しく迎える子はその影響を受けてよく吠える癖をつけてしまいますし、反対の場合もあるようです。
いたずらも一頭であればおとなしく留守番できていたのに、二頭になったらどちらかがいたずらを始めるとお互いにまねをしあって、結局ものすごいいたずらへエスカレートしてしまう傾向が強くなるようです。
こちらもある程度のトレーニングができるまではお互いの飼育スペースを離しておくのが良いようです。
3.思ったよりお金がかかる
小型・中型犬であっても、1頭増えることでかかる生活費、医療費は、倍になります。愛犬の可愛さに夢中になっていても、日々の食費や年数回のワクチン、健康診断、フィラリアの予防などの料金を見ると、その金額にびっくりする方もいるのではないでしょうか。
これが中型~大型犬になれば、食費だけみても、家にもう一人大きな子供がいるほどに負担が増えることになります。医療費も体重が大きくなるほどにお薬の量なども多くなるため、その分高額になることに注意しましょう。
可愛いからといって後先考えずにもう1頭、とはなかなか言えないほどにお金がかかるんですね。
すでに犬の飼い主であれば、先住犬のサイズや食費から、多頭飼育になったときの経済負担をある程度予測することができます。
しかし犬は生き物ですので、ある日突然病気になったり、食事をすべて切り替えなくてはいけなくなったりします。そのたびに予想だにしない大きな金額が出ていく場合も。
多頭飼育を考える場合は、ご自身(あるいはご家庭)の経済状況をしっかり把握したうえで、さらにお迎えできるかどうか、正しく見極めをすることが大切ですね。
まとめ
犬の多頭飼育は、犬同士の相性が合えばとても楽しく過ごすことができますが、相性が合わないとなるとお互いに大きなストレスになります。
また多頭飼育による経済問題はとても重要です。2頭、3頭と増えていくと、それによってかかる費用は2倍、3倍では済まされません。可愛いからといって「なんとかなるだろう」と勢いで新しい犬を迎えてしまうと、怪我や病気等で予想以上の費用がかかった際に「こんなはずではなかった…」とその犬への愛情が薄れてしまう可能性も。
「平等に愛せるか」、「お金に余裕があるか」、「しつけを行う体力はあるか」など、実際にお迎えする前にしっかり考えておくことが大切ですね。