犬が困っていたら助けるのが飼い主の責務
犬が困っているときは助けてあげてくださいと言われると、ほとんどの飼い主さんは「可愛い愛犬のために助けるなんて当然!」と胸を張ると思います。しかし実際のところは、それとは真逆のことが日常的に多くの飼い主さんのもとで行なわれていることをご存知でしょうか。
思い出してみてください。例えばドッグランやお散歩で他の犬に接近されたとき、あなたの犬が逃げ回っていたり隠れたりすることはありませんか?そんなときあなたはどうしているでしょうか?
「挨拶しなさい」「怖いないんだから逃げなくてもいいのに」「隠れるなんて情けない」「先輩わんちゃんに指導してもらいなさい」
このような言葉とともに、愛犬を放置していませんか?
これではいけません。あなたがやらなければいけないことは「助けて」と合図を出している愛犬を助けることです。決してそれを放置し、何もしないで見ていることではありません。
「あなたはだめな子ね」「頑張りなさい」なんて言わないで
たとえあなたが「あなたはだめな子ね」「そんなに怖がる必要はないのだから頑張りなさい」と声をかけたとしても、犬はその言葉の意味を理解することはできません。
しかし人間のあなたは、あえて犬を助けることはせず、むしろ困っている状態を放置し、ときには「立ち向かえ」と言わんばかりに無理にその環境に適応させようとするでしょう。
そう、犬はその言葉の意味を理解することはできなくても、その言葉とともに『飼い主さんは自分を助けてくれない』ということは理解するのです。
助けてほしいと必死に訴えているのに助けてくれない飼い主さん。結果、犬は他の犬に襲われたり、自分自身を守るために他の犬を攻撃するようになります。そうなれば当然飼い主としては困るので「だめでしょ!」と叱ったり、もしくは愛犬が怪我をして飼い主さんも犬も辛い経験をすることになるでしょう。
「あなたはだめな子ね」「頑張りなさい」等と言って犬を助けないのではなく、「私がいるから大丈夫だよ」「あなたが困っていたら必ず助けるよ」と安心させてあげてください。
すべては「信頼関係」ありき
犬は本当に素晴らしい生き物です。あなたが犬が困っているときそれに気づき必ず助けてくれる存在だと認識するようになると、犬の方もあなたを助けるようになります。
例えばお散歩のときに、ちょっと犬に待ってほしいときってありますよね。すると犬は「どうしたの?」と言わんばかりに動きの止まった飼い主さんの様子を確認し、『マテ』なんて合図を送らなくても側でまってくたりします。また、あなたが辛いときや悲しいとき、それを感じ取り、助けようと側に寄ってなぐさめようとしてくれます。
こうした行動は、教えられて身につくものではありません。犬と飼い主との関係によって自然と出来るようになってくるものです。
犬は社会性のある動物であり人間と古く長く深い関係を築いてきました。それは家庭用の愛玩動物となった今でも変わることはなく、信頼が少しずつ溜まってくることで目に見えて感じるようになります。ですがそれは、犬が困っているときにあなたが助けてくれるし、あなたは決して酷いことをしないポジティブな存在だ、という信頼があってこそです。
犬に「助けてほしい」「なにかしてほしい」と思うなら、まずはあなたが犬を助けてあげることを忘れてはいけません。
まとめ
犬を助けるのは決して過保護ではありません。自分では変えることができない状況・環境に身を置いているとき、助けてくれる存在があると心強いし嬉しいですよね。犬にとってはそれが飼い主さんなんです。
唯一助けを求めることができると考えている飼い主さんが、助けるどころかむしろもっと頑張れ情けないと言って全く助けてくれない。そんな犬の気持ちを考えてみてください。辛く悲しいことです。
ぜひ犬が困っていたら助けてあげてください。そして犬を安心させてあげてください。そうすれば、あなたと愛犬の関係はとても強く深いつながりをもつことができます。