犬は反省しないが学習は必ずする
犬は反省をしないと聞いて「えー!?」と驚いたことでしょう。
なぜなら、犬はまるで叱られたことを悪いと思っているかのような仕草や表情を見せるため、それを見た人間は「これは反省をしている、悪いことをしていると自覚しているんだな」と感じるからです。
しかし、実際のところ犬は反省しているのではなく単純に置かれている状況に対してネガティブな感情を示しているに過ぎません。
犬が人間にとって「悪いこと」をしたとき大きな声、音、威圧感、攻撃(鼻ピンなど)を罰として与えられ、それによって恐怖や不安といった感情をいだきます。
そしてその感情をいわゆる「反省している」表情や仕草であなたに伝えているのです。「お願いだからもうやめて、落ち着いて、怖い、不安だからやめて」と。
そして犬は学習します。
「ぼく・わたしは楽しいことをした→飼い主さんが来た→怖いことが起こる→どうしよう・怖い・逃げよう・身を守ろう」
この結果、呼ばれても逃げるようになったり、隠れたり、時には攻撃行動を取るようになってしまいます。
犬にとって本当に必要なこととは
犬が示すひとつひとつの仕草は、ボディランゲージや「カーミングシグナル」と呼ばれる犬の言葉です。それを理解しなければどんどん見当違いなことをしてしまい、犬との信頼関係はみるみるうちに崩れ、構築することができなくなります。
犬を叱ろうとする前にまず考えてみてください。あなたの目的は何ですか?
目的は叱ることですか?犬を怖がらせることですか?反省させることですか?なぜあなたは犬を叱るのでしょう?その目的は?
あなたは犬を叱ることが目的ではなく、困った行動をしないようになってほしいというのが目的ですよね。その困った行動を阻止するために叱っているはずですが、先述したように叱ったところで犬は反省しませんし、行動の良し悪しを理解することはできません。では、どうすればいいのでしょうか?
環境整備とハウストレーニングの重要性
まずは環境を整えましょう。壊したり食べられたりなど危険なものは片付ける。まずはここからです。
犬は思いもよらないところから宝物を発見し、持ってきて遊んでしまいます。目が届かないときは、専用のお部屋で待っててもらうようにしましょう。
そのためにも「ハウストレーニング」が必要です。
数秒からスタートして数分ずつ時間を伸ばしていき、少しずつ自分だけのお気に入りの場所として教えてあげてください。
そうすれば、目が届かないのにわざわざフリーにして危険な状況に置く必要はなくなり、結果あなたが困る行動を犬がすることもなくなります。
目的は愛犬の望ましくない行動の抑制
犬と生活していると犬は賢く表情豊かだからこそ擬人化してしまいがちになります。そのせいで、『叱ることで犬は理解し、問題になる行動をやめるはずだ』と考えてしまいがちです。しかし、当の犬自身には何も伝わっておらず、むしろ怖がらせているだけで、その時間は何かを得るどころか失っていくばかりの時間です。
目的は叱ることではありませんよね。怖がらせて関係を崩すことでもありませんよね。
本来の目的は、犬が人間にとって望ましくないと思える行動をしないようにすること。そしてその方法は、決して叱るなど罰を与える方法ではなく、まずはその困った行動が出ない・出る頻度が減るような環境を作ることです。この環境設定をしっかりするだけでも、状況はかなり変わります。なぜなら、犬はその困った行動をしなくてもいい工夫をするからです。
いかがでしょう?叱るよりもずっと簡単ではないでしょうか。
また、叱りつけることをしないので犬は恐怖を感じることもありません。また、さらに望ましい行動や状態に対して「それが正解だよ!」と褒めて教えることで、さらにそれが強化されていきます。優しい方法で教えられれば、犬も人間もすごく楽しく穏やかな日々を送ることができます。
まとめ
犬は反省はしません。しかし、行動した結果から起こったことによって、どんどん学習をしていくことはできます。
ネガティブな印象を与えれば当然それを回避するための行動を取るようになり、ポジティブな印象を与えればそれを望んでするようになります。すなわち、犬に対して罰を与えてネガティブな印象を与えることは、決しておすすめできる方法ではありません。
そして、そもそも犬を叱りつけることが目的ではなく、あくまでも問題となる行動をさせたくないだけだったはず。どうか方法と目的を間違えないでください。