カナダの動物保護団体が犬の声帯切除手術の禁止を呼びかけ

カナダの動物保護団体が犬の声帯切除手術の禁止を呼びかけ

カナダの動物保護団体が犬の声帯切除手術を禁止するよう獣医師らに呼びかけています。手術をすると犬がどうなるのか、考えさせられる問題です。

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犬が吠える声を出なくする手術

手術中の獣医師チーム

カナダのブリティッシュコロンビア州の動物保護団体『BC動物虐待防止協会』が、ブリティッシュコロンビア大学獣医学部に対し、犬の声帯切除手術を禁止するよう呼びかけていることが報道されています。

同団体は過去にも猫の抜爪手術、美容目的の犬の断耳や断尾について獣医師会に働きかけ、2015年に同州でのこれらの手術の禁止が法律で定められた実績を持っています。

犬の声帯切除手術とは、犬の声帯を切断または一部を取り除くことで吠える声を小さくしたり声が出なくなるようにする処置です。この手術はアメリカとカナダの一部の州、イギリス、EU諸国、ニュージーランド、オーストラリアで禁止されています。

声帯切除手術の禁止を求める人々の声

吠えている小型犬

この手術の禁止を求める人々は深刻な健康上の懸念と、手術が根本的な問題の解決にならないことを指摘しています。

気道の手術は、気道閉塞や誤嚥性肺炎のリスクを高くすると警告する獣医師もいます。そして何よりも、犬が吠えること自体は自然な行動であり、吠え行動が過剰である場合には何らかの理由があるはずです。

犬の声を出なくして人間だけが快適になっても、犬にとって吠える理由がそのままの状態ではストレスやフラストレーションはさらに大きくなり、別の問題行動に発展する可能性もあります。

先に挙げたような身体的な病気だけでなく、手術後のストレスがメンタルの病気につながった例もあります。

犬が過剰に吠えるのは分離不安や退屈、認知障害などさまざまな理由があります。その多くは適切なトレーニングや行動療法、場合によっては投薬で解決することができます。

適切なドッグトレーナーを探すなどの対策を立てることなく、問題解決の近道として手術を選ぶことを防ぐためにも、声帯切除手術を禁止することが必要だというのが反対派の意見です。

声帯切除手術禁止に反対する人々の意見

アラスカンマラミュートと人差し指を立てた人

一方で、犬の声帯切除手術は追い詰められた飼い主の最後の手段として禁止するべきではないと主張する人々もいます。

どうしてもトレーニングを受け付けず、このままでは安楽死させるしかないという犬に対して手術をすることで、犬は安楽死を免れ飼い主は愛犬と心やすらかに暮らすことができるというのが代表的な意見です。

この主張に対して禁止派の人々は、「最後の手段」としてのグレーゾーンのケースは確かにあるだろうと認めています。しかしそれはごく少数であり大部分ではありません。

現在のブリティッシュコロンビア州のように全く規制がない状態では、他の対策を探すことをせず安易に手術すること防止できません。実際には必要がないのに犬への負担の大きい手術を防ぐためにも、原則は禁止とした上で「安楽死か手術か」というレアなケースは個々に専門家の見解を仰ぐことが必要というのが禁止派の見解です。

まとめ

芝生の上で吠えているビーグル

カナダの動物保護団体が犬の声帯切除手術の禁止を呼びかけている報道と、手術禁止派と禁止反対派の意見をご紹介しました。

残念ながら日本ではまだ動物福祉という概念や、科学的根拠に基づいたトレーニングが浸透しているとは言えない状態です。猫の抜爪手術や犬の声帯切除手術についても、このような議論が生まれる段階ではありません。

このようなニュースを通じて、海外では禁止されている処置や、議論が起こっている問題について一人でも多くの飼い主さんが知るきっかけになって欲しいと思います。

《参考URL》
https://spca.bc.ca/news/bc-spca-calls-for-ban-on-dog-debarking/
https://vancouver.citynews.ca/2022/04/21/bc-spca-dog-debarking/

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